
サンデーメカニックがリピーターとなって、使用前後の違いがクチコミで広がり、数多くのユーザーが支持しているエンジンオイル添加剤・スーパーゾイル。エンジンオイルの違いが体感性能となって現れるのは、ベテランライダーなら誰もが経験したことがあるはず。走り込みが明らかな旧車エンジンであればなおのこと、将来のコンディションを見据えた様々なケアが必要不可欠だ。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:パパコーポレーション
多くのユーザーがリピートするセミシンセティックゾイル
ホンダ スーパーカブというモデルの凄いところは、50年以上前に誕生しながら、今なお世界中のファンに愛され続け、数多くのモデルが“現役”で走り続けていることだろう。それだけ数多くの車両が販売されたわけだが、他のどのモデルと比べても、スーパーカブのように生き続けているモデルはなかなかない。
今回の作業対象車は、長年に渡って乗り続けられてきたらしいが、数年前にメンテナンスの途中で作業ストップ。欠品部品が多いことからも、部品交換の途中で作業中断になってしまった車両のようだ。エンジン始動とエンジンコンディションの確認を依頼されたので、まずはエンジン始動から作業開始。本来なら迷うことなくエンジン始動だが、オイル汚れが明らかな上にオイルレベルが低かったので、始動前にあらかじめオイル交換を実施することにした。
このような旧車のメンテナンス時に利用したいのが、「スーパーゾイル」シリーズの各種商品だ。ここでは、走り込みによるエンジン内部品の摩耗進行を考慮し、粘度10W-40の「セミシンセティックゾイル」を使うことにした。鉱物油をベースに、分子構造の変換により高性能な半合成オイルとして精製。そこにスーパーゾイル成分を配合した商品だ。
【セミシンセティックゾイル 10W-40 油膜+金属表面改質(半合成油)】高性能な半化学合成オイルをベースに、スーパーゾイル成分を配合。100%化学合成オイルの薄い油膜と比べ、広いクリアランスに強い油膜を形成。オイル滲みの原因になりやすい、高過ぎる浸透性を持たない設計が特徴。旧車をメインに、フリクションロスが大きなモデルに最適なエンジンオイル。●価格:3850円(1000ml)/1万5180円(4000ml)
金属表面は想像以上にただれているもので、顕微鏡レベルで注視するとそのダメージは明らか。摺動面に発生する摩擦熱によって金属化合物を形成し、その後の摩耗や発熱を抑制するのがスーパーゾイルの特徴でもある。したがって、フリクションロス(摺動抵抗)が大きくダメージを受けているエンジンでも、それ以上の摩耗進行を抑える効果があることでもファンに注目されている。
エステルなどをベースにした純粋な100%化学合成オイルの油膜と比べ、旧車にありがちな広いクリアランスでも強い油膜を形成するのが、セミシンセティックゾイルの特徴だ。汗かきのようなオイル滲みが発生しやすい100%化学合成オイルとは違ったアプローチから誕生した経緯もある。特に、旧車をメインにフリクションロスが大きなエンジンに最適なオイルでもある。
旧車オーナーにとってエンジンオイルのチョイスは大きな課題だが、排気量の大小に関わらず、多くのユーザーからリピートされているセミシンセティックゾイル。特に空冷エンジンのユーザーには、定評の実績もありファンが多い。
オイル交換時に気が付いたのだが、ドレンボルトのガスケットが潰れて、ボルトに完全固着していた。原則的には、オイル交換のたびにガスケットも交換するのが基本作業だが、この様子から推測すれば、長年に渡ってガスケット交換されてこなかったようだ。
今回は、へばりついて固着したドレンガスケットをタガネで叩いて抜き取り、不織布×アルミのハイブリッドドレンガスケットを利用した。また、オイル注入時は、表示の規定オイル量を一気に注入するのではなく、オイルレベル“下限注入”にてエンジン始動。その後、エンジン停止後にレベルを確認し、不足分を再注入してオイルレベルを合わせるように心がけるのが良い。
大切なことは、上限レベルを超えるほどオイルを注入しないこと。「多いぶんには大丈夫」という間違った認識もあるようだが、注入量が多いと連続走行中にブリーザー機能からのオイルが吹き出してしまう原因になるため、要注意だ。
久しぶりにエンジン始動するのは明らかなので、まずはスパークプラグを取り外して、腕でキックアームを作動させて火花が飛ぶか確認してみた。
明らかに弱いが、火花を確認できた。今回はエンジンオイルの交換から開始するので、まずは現状把握のみ。真っ黒になるほど墨汁のような汚れ方ではなかったが…。
ドレンボルトのネジ山やクランクケース側のガスケット座は、ウエスでしっかり拭って汚れを除去するように心がけよう。ドレンガスケットが完全に密着固着している!!
ドレンボルトの六角二面幅を万力にクランプして、タガネとハンマーを使って固着しているアルミ製ガスケットを叩いて除去した。長年繰り返し使われ続けたのだろう。
めくれ上がった旧ドレンガスケットと新品のドレンガスケット。新しいガスケットは、オイルが漏れにくいハイブリッド仕様を使った。基本はオイル交換のたびに毎回交換だ。
C50系エンジンなら、オイル交換時に700cc程度でレベル上限だが、旧型のC90系エンジンは900ccがレベル上限となる。まずは700cc程度注入し、エンジン始動後にオイルレベルを調整する。
最初からエンジンオイルを入れ過ぎてしまうと、後々面倒なことになるので要注意。まずはディップスティック下限程度まで注入しよう。
スパークプラグへの着火力が弱かったので、ポイント接点の汚れを疑ってみた。短冊に折ったコピー紙を閉じたポイントに挟んで引き抜いた。するとポイント接点のカタチに汚れが!!
ポイントベース越しにポイントカムが正常に動くか!? この作動が悪いと点火進角しなくなるので、必ず確認しよう。動かない場合はポイントベースを取り外し、その下にあるスパークアドバンサーの作動を確認しよう。
ポイントカムは逆転方向へ作動する。ポイントカムとポイントヒールの潤滑を保つのがオイルフェルトだ。先細プライヤーでフェルトのズッコケを修正しながら、ポイントカムに押し付ける。
ドライブチェーン用の粘りがあるチェーンルーブスプレーを、ポイントフェルトに吹き付けて染み込ませた。この潤滑グリスがポイントヒールの摩耗をなくす。ポイント接点のクリーニングとバッテリーの接続によって、エンジンはスムーズに始動することができた。
【スーパーゾイル チェーンルーブ 金属表面改質剤配合スプレーグリース】シールチェーン、ノンシールチェーンに限らず、ドライブチェーン用潤滑スプレーとして開発されたのがスーパーゾイルのチェーンルーブ。その使い勝手を応用すれば、ドライブチェーンに限らず様々な個所で利用することができる。●価格:2200円(220ml)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
手持ち式で200〜500℃の範囲で1℃刻みの温度調整が可能 goot(グット)ブランドで知られる太洋電機産業の「デジタル温調はんだこてPX-280/280E」は、ステーション型と呼ばれる製造現場向けは[…]
レストア/カスタム/未再生を問わず、10回目のヤマハミニミーティングで“またがり系"の魅力を実感 バイクメーカーがニューモデルの開発を海外市場を含めて行わなければならない現在、存在感が薄くなりつつある[…]
4連バキューム調整でアイドル安定。吹けもヨシ! 前編ではキャブレターを分解/洗浄し、一部のジェット類の交換を行った。今回の後編では、スロットルの開け締めで動きがイマイチな点をまず改善する。 問題がある[…]
完全分解ではなく連結分解でパーツ交換 まず、インテークマニホールドのバンドを緩めて、フレームの隙間から上方に引き抜いて作業開始。マニホールドのひび割れや亀裂は二次空気を吸い込む原因になるので、劣化が進[…]
長年乗りっ放しなら、キャブレターも分解洗浄 モトメカニック編集部に入庫中のカワサキ バリオスは、知り合いが販売店でNCNR(ノークレームノーリターン)にて格安購入したもの。調子が悪いので編集部でチェッ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
入れないとどうなる?フロントフォークのオイル はいどうも、みなさんこんにちは。本日は愛車DT50のフロントフォーク定期メンテナンスをやっております。 トップのキャップボルトを外してカラーを取り出して、[…]
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
Honda純正オイルは新ブランド「Pro Honda」へ Hondaのバイクのエンジン性能を100%発揮させる純正オイルが、2025年4月より新ブランド「Pro Honda(プロホンダ)」として生まれ[…]
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
古いゴムは硬化するのが自然の節理、だが・・・ ゴム部品は古くなると硬くなります。これは熱・酸素・紫外線などによる化学変化(酸化劣化)で、柔軟性の元である分子の網目構造が変化したり、柔らかくする成分(可[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
Honda純正オイルは新ブランド「Pro Honda」へ Hondaのバイクのエンジン性能を100%発揮させる純正オイルが、2025年4月より新ブランド「Pro Honda(プロホンダ)」として生まれ[…]
古いゴムは硬化するのが自然の節理、だが・・・ ゴム部品は古くなると硬くなります。これは熱・酸素・紫外線などによる化学変化(酸化劣化)で、柔軟性の元である分子の網目構造が変化したり、柔らかくする成分(可[…]
原付バイクのオイル交換目安とは? 交換頻度のポイント 内燃エンジンにとって、潤滑/冷却/密封/清浄分散/防錆を担うエンジンオイルは、まさに血液とも言うべき重要なパーツです。 常に高温にさらされてエンジ[…]
単気筒1ボディと4連キャブでは洗浄段取りに違いあり。 超音波洗浄が可能なら、完璧に近い仕上がりに!! いつかそのうち乗るつもり…という「いつか」が数ヶ月から数年になり、もうダメか…となるのが長期放置車[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! 世界的に知られるプレミアムカー用品ブランド・シュアラスターが、アメリカのカリフォルニア州ロングビーチで創業したのは1947年のこと。以来、カーシャンプーやワックス[…]
人気記事ランキング(全体)
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
Z1100とZ1100 SEの国内販売を正式発表 先に欧州で発表されたスーパーネイキッド“Zシリーズ”の長兄たるZ1100 SEがジャパンモビリティショーで日本初公開され、国内販売画正式発表された。ス[…]
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 ジャパンモビリティショー2025でカワサキが新型「Z900RS」シリーズを世界初公開した。主軸となる変更はエンジンまわり[…]
KATANAというバイク 一昨年のこと、キリンと同じ年齢になったことをキッカケにKATANA乗りになったYです。 ノーマルでも十分乗り易いKATANAですが、各部をカスタムすることで、よりカタナ(GS[…]
RZ250を上回る新テクノロジー満載! 1979年にホンダがリリースした、まさかの2ストローク50ccスポーツのMB50(広告なでの名称はMB-5)。 250ccやビッグバイクのスケールダウン・デザイ[…]
最新の投稿記事(全体)
Zを知り尽くしたエンジニアならではの勘ドコロを押えた絶品設計! 1989年のゼファー(400)が巻き起こしたネイキッド・ブーム。 カワサキはこの勢いをビッグバイクでもと、1990年にゼファー750と1[…]
とにかく目立つサイケデリックなカラーを使った新たなグラフィック 新しいグラフィックは、風の流れあるいはゼブラ模様にも見える流線の組み合わせをカラフルに仕上げたモデルだ。アライヘルメットによれば「オフロ[…]
バイクファッションブランド『ロアーズオリジナル』とのコラボレーションモデル第2弾が登場 このたび発売される『TX-STRADA ROARS』は、2020年に発売された『RAPIDE-NEO ROARS[…]
原付免許で乗れる『新しい区分の原付バイク』にHondaが4モデルを投入! 新たな排ガス規制の適用に伴い2025年10月末をもってHondaの50cc車両は生産を終了しますが、2025年4月1日に行われ[…]
ヨーロッパの伝統建築や美術をモチーフとした新グラフィック かなり込み入ったグラフィックが描かれた新製品オルロイは、チェコの首都プラハの旧市庁舎の塔にある天文時計をモチーフとしている。時間を表示するだけ[…]
- 1
- 2
























































