
ガソリンタンクに汚泥が多く溜まった旧車の場合、キャブレターに要注意。今回整備したカワサキ バリオスは、アイドリングも吹け上がりも悪くないが、完調とも思えないので、キースターの燃調キットでリセットした。その燃調キットと作業における注意点をお伝えする。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:キースター(岸田精密工業)
長年乗りっ放しなら、キャブレターも分解洗浄
モトメカニック編集部に入庫中のカワサキ バリオスは、知り合いが販売店でNCNR(ノークレームノーリターン)にて格安購入したもの。調子が悪いので編集部でチェックし整備をしている。固着したリヤブレーキピストンや泥水入りのガソリンタンクなど、なかなかの強敵ぶりを見せつける。NCNRだからこそメンテナンスが必要なのだが、目先の価格に釣られて手入れを怠るとこうなるという典型例だ。
では、キャブレターについてはどうだろう? オーナーは別段不具合を感じることはないと言い、確かにオーバーフローなど目に見える不具合もなさそう。だがガソリンタンクの汚泥がキャブレターに落ちていない保証はなく、過去に誰かがいじり壊していないとも限らない。そこでエアクリーナーボックスを取り外すと、3&4番キャブの吹き返しが多く、フロートチャンバー内には泥やサビがたっぷり溜まっていた…。
肝心なのはジェットやニードルだが、これでは現状の部品を信用する気になれない。ガスケット類の状態から総合的に判断すると過去に分解履歴はないようだが、詰まったジェットを無理やりピンバイスで開通させたことがあったとしても、このバイクなら不思議ではない。
そうなれば、キースターの燃調キットでオーバーホールするのがもっとも確実。社外マフラー付きなのでセッティングできるのも魅力だが、まずはメーカー出荷時のジェットとニードルで初期化を行うのが先決。
もちろん、ガソリンとエアの通路の徹底洗浄も同時に行う。茶色に変色したフロート交換は予算の都合で先送りとなったが、オーナーが“普通”だと思う現状がどれほど変化するかが楽しみだ。
【キースター カワサキバリオス(A1 ~ A6)用 キャブレターオーバーホール&セッティングパーツセット FK-5214N】 キースターの燃調キットは、キャブレター1個に対して1セット必要で、4連キャブのバリオスは4セット使用する。ガスケットやフロートバルブなど、メンテナンスで重宝するパーツも含まれているのがありがたい。●価格:4400円(1キャブ分)
生産期間が1991〜2007年と長く、性能/スタイル両面で今も人気が高いカワサキ バリオス。ネイキッドデザインの車体に搭載された250cc4気筒エンジンは、レーサーレプリカのZXR250用がベース。そのためキャブレターは大きく傾いたダウンドラフトタイプが装着されている。モノショックのバリオス/ツインショックのバリオスIIで標準キャブセッティングが異なり、さらにバリオスIIも年式によって2種類のセッティングがあるので、キースターのバリオス用燃調キットは3タイプ存在する。
- 1
- 2
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
サスペンションのプロショップならハイレベルな要望にも応えてくれる コシのある動きで車体の挙動を受け止め、ライダーとの一体感を高める大切な部品、それが前後サスペンションの役割である。ライダー個々の好みに[…]
従来モデルに比べて明らかにスリムになったヘッド周り ネプロスの新製品開発の最大のテーマとなったのは、コンパクト化と使いやすさの向上。狭い場所での使い勝手を左右するラチェットヘッドは全幅を4mm縮めて、[…]
チェーングリスを定期的に吹き付けていれば、側面でも簡単にはサビないもの… バイクを押し歩きした時の“妙な抵抗感”には要注意だ。その理由は様々だが、実は、前後ブレーキの引きずりではなく、ドライブチェーン[…]
20世紀末の400ccネイキッド、ガラパゴスと言うなかれ ’80年代中盤以降のレーサーレプリカブームに対するカウンターパンチのように巻き起こった、ネイキッド旋風。きっかけは1989年に登場したカワサキ[…]
スイングアーム×フレームピボット、単品作動確認でコンディションがわかる!! 沈み込みコンディションばかりを気にしてしまいがちなサスペンションだが、作動状況は全域で重要なことを忘れてはいけない。例えば、[…]
人気記事ランキング(全体)
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 カワサキモータースジャパンは、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開した新型「Z900RS」シリーズについてスペッ[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
ライバルを突き放す90°Vツインと高剛性に低重心の新次元を構築! ヤマハRZ250の切り開いた2スト復活劇から、レーシングマシンのレプリカブームへとエスカレートさせたのは、1983年のスズキRG250[…]
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
アドベンチャールックは伊達じゃない! 大型バイザーの恩恵 まず目を引くのが、オフロードテイストを感じさせる大型ピークバイザーだ。これは単なるファッションではない。 直射日光を遮る“ひさし”としての機能[…]
最新の記事
- 【新型カスタム】ヤマハ(YAMAHA)「WR125R」を自分仕様に! ワイズギア純正アクセサリーが車両発売に先駆け1月上旬より登場
- 【新型試乗】ホンダ(HONDA)CB1000F 3者3様インプレまとめ:レジェンド/プロ/編集者が語る新フラッグシップの魅力
- 【令和の電動モトコンポ】デスクの下に収まる変形バイク「タタメルバイク」がオトクなサンクスキャンペーンを実施中
- 【国産名車】ヤマハ(YAMAHA)SR400/SR500カラー大図鑑:情熱のレッド・マルーン系を年式ごとに紹介
- 12000rpm回る!? ロータリー! 40年前のWRCグループB仕様・マツダ「RX-7 Evo Gr.B」絶品コンディションのノンレース車






























