ガソリンタンクに汚泥が多く溜まった旧車の場合、キャブレターに要注意。今回整備したカワサキ バリオスは、アイドリングも吹け上がりも悪くないが、完調とも思えないので、キースターの燃調キットでリセットした。その燃調キットと作業における注意点をお伝えする。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:キースター(岸田精密工業)
長年乗りっ放しなら、キャブレターも分解洗浄
モトメカニック編集部に入庫中のカワサキ バリオスは、知り合いが販売店でNCNR(ノークレームノーリターン)にて格安購入したもの。調子が悪いので編集部でチェックし整備をしている。固着したリヤブレーキピストンや泥水入りのガソリンタンクなど、なかなかの強敵ぶりを見せつける。NCNRだからこそメンテナンスが必要なのだが、目先の価格に釣られて手入れを怠るとこうなるという典型例だ。
では、キャブレターについてはどうだろう? オーナーは別段不具合を感じることはないと言い、確かにオーバーフローなど目に見える不具合もなさそう。だがガソリンタンクの汚泥がキャブレターに落ちていない保証はなく、過去に誰かがいじり壊していないとも限らない。そこでエアクリーナーボックスを取り外すと、3&4番キャブの吹き返しが多く、フロートチャンバー内には泥やサビがたっぷり溜まっていた…。
肝心なのはジェットやニードルだが、これでは現状の部品を信用する気になれない。ガスケット類の状態から総合的に判断すると過去に分解履歴はないようだが、詰まったジェットを無理やりピンバイスで開通させたことがあったとしても、このバイクなら不思議ではない。
そうなれば、キースターの燃調キットでオーバーホールするのがもっとも確実。社外マフラー付きなのでセッティングできるのも魅力だが、まずはメーカー出荷時のジェットとニードルで初期化を行うのが先決。
もちろん、ガソリンとエアの通路の徹底洗浄も同時に行う。茶色に変色したフロート交換は予算の都合で先送りとなったが、オーナーが“普通”だと思う現状がどれほど変化するかが楽しみだ。
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