1976年に登場し、“コンパクトで軽いZ”として親しまれたカワサキZ650。このザッパー(ZAPPER)系統をオマージュして誕生したのがZ650RSだ。ザッパーとは、風を切って走る音である“ZAP”が由来で、市街地の信号から信号の間を速く走れて、軽くてパワーのあることだった。そんな現行ザッパーであるZ650RSは、アクティブの手にかかるとスタイリングもハンドリングも一味違った雰囲気に!
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:石村英治(PHOTO SPACE RS) ●外部リンク:アクティブ
ホイールのサイズ変更をボルトオンでかなえる
ネオクラシックカスタムを楽しむために誕生したアクティブのブランド『153ガレージ』の、セパレートハンドル&バックステップを装着したZ650RS。カフェスタイルならではの低く構えるポジションと、Z特有の火の玉カラーのティアドロップタンク、そして並列2気筒エンジンならではのスリムさがとても良いバランスを見せる。
今回、僕はとても貴重な経験をさせていただくことを楽しみにしていた。それはノーマルの前後17インチホイールで走行後、すぐに前後ホイールをゲイルスピードの18インチに変更して走行するというもの。ホイール交換に留まらず、ホイールのインチ変更を体感するというわけだ。
ホイールは、フロントは350-17(タイヤは120/70-17)から275-18(タイヤは110/80-18)に変更。リヤは450-17(タイヤは160/60-17)から400-18(タイヤは140/70-18)に変更する。ちなみにゲイルスピードの18インチホイールを装着すると、前後ホイールで2.46kgの軽量化を実現できる。
通常、軽量ホイールへのリプレイスの目的は、ハンドリングやブレーキ性能の向上、バイク全体のマスの集中化だったりするが、アクティブの提案はバイクの佇まいや運動性といったキャラクターをガラリと変えてしまうもの。しかもそれをボルトオンで可能にしているのだ。
17インチはサーキットのフルバンクでも安心感抜群!
まずはノーマルの17インチホイールで走り出す。セパレートハンドル&バックステップは、抜群のフィット感を見せ、すぐに一体感が得られるイメージ。ハイパープロ製のフォークスプリングとリヤサスペンションのバランスも良く、安心感を得ながらバンクできるイメージ。しかも、今回はサーキットでのテストのため、深いバンクも簡単に試せる。
幅の狭いコンパクトな並列ツインエンジンは、軽快なハンドリングに大きく貢献。やる気のポジションと合わせて、思わず攻めてみたくなるほどスポーティーだ。ズ、ザザザッ…、あっという間にフルバンクに持ち込み、膝が路面に接地する。パワー感もほどよく、スポーツライディングがとても楽しいパッケージだ。17インチホイールを十分堪能したところで、18インチホイールに換装してもらう。
17インチがオーバーステアに感じる18インチのニュートラルステア感
ホイールの大径化はZ650RSを凛とした佇まいとし、カフェレーサーらしさも大幅にアップ。走り出すとすぐに分かるのが、軽快感の質の違いだった。17インチは、ラジアルタイヤ特有のしなやかさとどこまでも寝ていく今風のクイックさを持っていた。しかし18インチは、直立付近から10度くらいまでは軽快で向きが変わりやすいが、そこからは寝ていかないイメージ。ただ、浅いバンクでもしっかりと向きを変え、軽快感を持ちながらキビキビとコーナーをクリアしていく。走りの組み立て/コーナーへのアプローチ/スポーツライディングの質がまったく異なるのである。
前輪を18インチ化したことでトレール量が増え、前後ホイールの大径化により重心が上がり、さらに前傾ポジションの荷重配分も絶妙。さらに細いタイヤ特有の馴染みやすさも合わさり、それが奇跡的なバランスを伝えてくるのだ。
走り慣れてくると17インチがオーバーステアに感じるほど、18インチ仕様のハンドリングはニュートラル。また、ホイールの大径化はファイナルをロング方向にするため、スロットルの開けやすさも向上。よく回るZ650RSのツインらしいビート感を長く楽しめるのだ。
好みではあるものの、スリムなツインエンジンを持つZ650RSとこの前後18インチ仕様の好相性といったらなかった。さらに、細いタイヤはスリムなZ650RSをより精悍に見せ、スラリと足が長くなったようなスタイルはどこかノスタルジックで、Zの火の玉カラーにもよく似合う。アクティブのZ650は、乗り味もスタイリングも現代に甦ったザッパーにふさわしい完成度だった。
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