『コンニチハ、エブリバディ。今日は、ようこそきてくれました。2019年からは新型コロナウイルスの影響で、こういったイベントをなかなかできなかったけど、SHOEIファミリーの1人として、こうして日本を回ることができて光栄です』。とてもリラックスした雰囲気で話し出したレプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケス。この日はSHOEI Gallery YOKOHAMAに集まった15人のファンと時間を共有しながら、SHOEI、ホンダ、レース、日常、フィジカル、2023年のことを語ってくれた。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:小川勤、ミシュラン ●外部リンク:SHOEI
15人のファンと過ごす特別なイベント
とてもリラックスした表情でSHOEI Gallery YOKOHAMAに集まったファンに挨拶をするマルク・マルケス。2022年シーズンは怪我による戦線離脱があったが、後半戦ではマルクらしさを発揮。それは、2023年シーズンの走りを期待させる強さだった。そんなマルクも29歳、MotoGPライダーとしてはベテランだ。そして信じられないほどの栄光の後に、挫折も経験している。
この日はSHOEIの「X-Fourteen MARQUEZ 6」特別仕様セット(16万5000円)の即売会およびトークショー、サイン会、フォトセッションが行われ、抽選でこのアイテムを購入することのできたラッキーな15名が集まった。
ホンダレーシングサンクスディやこのイベントのために来日したマルク。前日はSHOEI Gallery OSAKAで同様のイベントに参加。久しぶりにレース以外で来日する日本を楽しんでいるようだった。
インタビュアーは上田昇さん。ここからは当日の模様を対談形式でお届けしていこう。
「毎日、しっかりとしたルーティンで生活しているよ!」
ーー上田:レースのことはよく聞かれると思うので、まずは普段はどんな生活をしてるのかを聞いてきたいと思います。僕もライダーを目指す子供たちに教えることがあるので、プロがどうあるべきかを教えてもらえますか? 普段の生活のルーティーンとかも。
ーーマルク:もちろん全員がチャンピオンシップに出られるかはわからないけど、まずは情熱を持つことが大切。バイクが好きであることが大切なんだ。あとは見守ることかな。プッシュして「やれ、やれ」って言わない方が良いと思う。
僕も小さな頃に父や母から「やれ」って言われたことはなかったよ。遊び感覚でバイクに触れてほしい。そうやって楽しんでいるとステップ バイ ステップで成長して、自然に真面目にやるようになったんだと思うよ。
もちろんトレーニングは大切。プロとしての責任も出てくるからね。ルーティーンが大切で、毎日よくトレーニングをして、よく寝て、よく食べることも重要。フィジカルトレーニングは朝は自転車やジョギング、午後はジムに行って1時間半ほど、セラピーも週に3-4回。セラピーは怪我をしてから少し増えたかな。毎日しっかりしたルーティンで生活しているよ。
あとは自分1人で頑張るのでなく、自分の周りにチームをつくることが大事。支えてくれる、信頼のできる、サポートしてくれるみんなが必要なんだ。もちろん良いブランドに支えてもらうことも大切。僕の場合、SHOEIに支えてもらっているからとても光栄だよ。
でも、僕も人間だから普段の生活も大事。友達と過ごす時間も大切にしているし、オフもあるよ。パーティにもいくしね。
「優勝するために常に身体をつくっているんだ!」
ーー上田:2023年シーズンは土曜日にレースが増えるけど、フィジカル的に大変だと思いますか?
ーーマルク:2年前に大怪我をして4回手術している。だからこの冬には特別なトレーニングをする。もちろんバイクも改良が必要で、ホンダともたくさん話をしているよ。まだまだ物足りないからレーシングサンクスデイでも、たくさんホンダと話をしたよ。勝てるバイクをつくるためにベストつくし、ディスカッションしていかないとね。
土曜日のレースは体力的にきついかもしれないけど、僕はレースが大好きだからモチベーションは高いよ。楽しみだね。
ーー上田:この2日間けっこう一緒にいるんだけど、マルクは常に腕のトレーニングをしてますね。
ーーマルク:肩の怪我をしたのでそこの筋肉を作らないといけないんだ。だからチャンスがある限りトレーニングをしているんだ。でもずっとやっていてもだめだからプログラムを組んでそのタイミングでやってるんだ。でも、電車の中とか、上田さんが振り向いた時もやっていることが多かったかもね。
レーシングライダーのいちばん大切なことは優勝すること。ニコニコしていればいい子かもしれないけど、僕はそうじゃない。優勝が第一の目標だから、常に身体をつくっているんだ。
「僕も歳を取ったのかもね(笑)」
ーー上田:今日来てくれているお客様は、みんなマルクのヘルメット購入してくれた方。マルクのスペシャルヘルメットはたくさんあるけど、全部覚えている?
ーーマルク:本当に僕のヘルメットはたくさんある。でも歳を取ったから(笑)かもしれないけど昔のヘルメットを見ると「僕の?」って思うこともあるよ。でもスペャルヘルヘルメットをつくる時もチームワークが大切。僕とスペインのデザイナーと日本のSHOEIのデザイナーのね。スペインのデザイナーは僕の家のすぐ近くに住んでいるから、よく僕の家で打ち合わせをするんだ。それをSHOEIのデザイナーに伝えて、お互いのアイデアを入れながらつくっていくんだ。
日本GPスペシャルは逆のパターン。SHOEIのデザイナーから案をもらって、僕がここをもう少しってアイデアを出すんだ。大切なのは情報交換とチームワークだね。