●文:モーサイ編集部
1988年に登場したカブ100EXはタイ由来
現代のカブにも通じる先進的な機構が盛り込まれていて、“走りのカブ”という性格も持っていた「カブ100EX」。とくにカブファンの間では「タイカブ」の愛称がおなじみだが、そう呼ばれるのはその成り立ちに理由がある。
カブ100EXのベースとなったのは、タイの現地法人タイホンダマニュファクチュアリング社で生産され、東南アジア地域で販売されていた「ドリーム100」。使い勝手の良さが評価され、発売を開始した1986年からの2年間でタイ国内だけでも約10万台の販売実績を誇り、現地で人気モデルとなっていた。
そのタイ製のドリーム100をベースに、テレスコピック式フロントサスペンションと、減衰特性を2段階に調整できるリヤサスペンションを装備するなどし、日本向けのアレンジが施されたのがカブ100EXなのだ。生産はタイで行われ、日本へ輸入するという形で販売が行われた。
後に車名は「スーパーカブ100」と改められるが(1994年から発売された)、当時のカブシリーズ中最大の排気量のモデルだったこともあり、走りのカブという立ち位置になったのだった。
C65系最大排気量のエンジンを積んだカブ100EX/スーパーカブ100
エンジンも当然ドリーム100がベースなのだが、そのドリーム100のエンジンのルーツは何かというと、1964年の「C65E」に行き着く。
というのも、現地では1960年代より日本国内向けのスーパーカブをベースにしたC70/C90の生産が行われており、それらをベースに現地の要望を反映したモデルとしてドリーム100が企画されたのだ。既存の生産設備を生かすことが至上命題だったため、クランクケースの寸法や各所のピッチはC65E系と同じ設計となっている。(そのため、左右のカバーの幅が広いため工夫は必要となるが、C65系エンジンを積む車両へのエンジンスワップも可能だ)
排気量アップに伴う発熱量の増大については、シリンダー/ヘッドのフィンを大型化して対応した。また、変速ショック軽減のため“2段クラッチ”が採用されたのもこのエンジンが初である……。
※本記事は2022年7月15日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
キャストでもスポークでもない独自構造のホイール 国産の2輪車にキャストホイール車が登場し始めたのは、1970年代後半のこと。当初は一部の高級モデルにのみ採用されたこともあり、ワイヤースポークとは違う新[…]
イラスト入りのカントリーサイン カントリーサインとは、正式には「市町村案内標識」といい、町と町との境界に設置されています。 市町村案内標識自体は日本各地にありますが、そのほとんどが都道府県章や市町村章[…]
切符処理されないケースもある?! いきなりパトカーからスピーカーで呼び止められたり、旗を持った警察官に停止を求められたりして「違反ですよ」と言われると、誰でも「やってしまった…」と焦るはず。 ところが[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
マルチフューエルストーブならば、白ガスと赤ガスどちらも使える 本記事のお題は“赤ガス使用可能なアウトドアギア”だが、具体的には「マルチフューエルストーブ」と呼ばれるモノのことである。“ストーブ”と言っ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車 | ホンダ [HONDA])
日本メーカーによる大排気量車ブーム、その先駆けが750フォア 「威風堂々!」 「世界を震撼させた脅威のスペック!」 「日本の技術力を名実ともに知らしめた記念すべき名車!」 1969年デビューのホンダC[…]
4メーカーがトライアル車を販売 トッププロのアクションを見たら誰だって感激するはずだし、実際にやってみるとムチャクチャ面白いものの、一般に広く普及しているとは言い難い。近年の日本におけるトライアルは、[…]
世界GP制覇が手に届くとみるや、市販車初のDOHC搭載で英国大型バイクの牙城に斬込んだホンダ ホンダは、1959年にマン島T.T.レースへの挑戦をスタート。まだ輸出もしていない頃に海外レースでの実績で[…]
スペイシー50[1982] 面を強調しながら真横から見た際に三角形を描く未来的なフォルムや、フロントに備わる施錠式のトランク、上級仕様のカスタムが導入したデジタル式速度計やコムキャストホイールなど、1[…]
CB250RS[1980] 昨今では下火になったけれど、1980~1990年代の2輪の世界では、スポーツ指向の4ストシングルが多くのライダーから支持を集めていた。そして当時の日本におけるスポーツシング[…]
人気記事ランキング(全体)
2気筒にもオートマチック『Y-AMT』を投入!! ヤマハは欧州で新型「MT-07」を発表した。先行して登場している最新MT-09と同様に、クラッチ操作とシフト操作を必要としない『Y-AMT』仕様をライ[…]
先代譲りの緻密さは最新電脳で究極化?! 旧CB400はハイパーVTECやABSこそあったものの、従来型(NC42)の登場は2007年だけに、近年の最新電脳デバイスは皆無だった。しかし新型CB400は電[…]
北米で新型4気筒Zと思われるティーザー動画が公開された カワサキが日米でティーザーを展開しはじめた。まず、10月30日に正式発表と予告している北米カワサキのYoutube動画では、『EVOLUTION[…]
ツインエンジンの大型レブル、1100と500がマイナーチェンジ ホンダは欧州と北米で新型「レブル1100」(欧州名:CMX1100レブル/北米名は日本と同じ)をマイナーチェンジし、2025年モデルとし[…]
レーシングイメージの“チームスズキ”グラフィックを採用 スズキイタリアは、GSX-8Sにスペシャルグラフィックと一部特別装備を与えた「GSX-8S Team Suzuki Edition」を発表した。[…]
最新の投稿記事(全体)
[ホンダ] ホットウィールとのコラボイベントを本社で開催(10/24) ホンダは、『ホットウィール体験展 at Hondaウエルカムプラザ青山』を開催すると発表した。 このイベントは、東京都港区青山に[…]
ダイレクトドライブレーシングディスク:過酷なレースの現場で開発 アドバンテージの製品はストリート向けだけではなく、この「ダイレクトドライブレーシングディスク」はモトGPのMoto2/3クラスや全日本モ[…]
1位:ヤマハが新フラッグシップ「YZF-R9」を正式発表 ヤマハは欧州と北米でYZF-R9を発表した。専用にセットアップされたサスペンションやブレンボ製キャリパーを標準装備。R6を上回る空力性能を有し[…]
ハーレーコンテスト/トークショー/愛車撮影会などの人気イベント 開催されたのは2024年5月19日。毎年、梅雨前の天気が安定している時期での開催なので、今年も絶好のツーリング日和となり、数多くのライダ[…]
幻想的な風景から仲間たちとの思い出まで 第67回は「秋は夕暮れマシン」がテーマ。あたりを橙色に染める夕日、街や山のシルエットなど、夜の直前に訪れる特別なひとときと、バイクを収めた写真を募集したぞ! T[…]