
タイで交通事故に遭遇するリスクは、日本と比較してもかなり高い。もちろん観光旅行中に交通事故に遭うことだって十分あり得る。バイク事故は、日本と同じく車線変更時やスピードの出し過ぎによる単独事故が多いが、「こんなこと本当にあるの?」と思わずビックリするような事故もあったりする。当記事では、そんなタイの交通事情を紹介する。
●文:モーサイ編集部(小泉元暉)
乗客が開けたドアにバイクが衝突する!?
日本のタクシーの場合、運転手が路肩まで寄せて、後ろを確認してから自動でドアを開けてくれるが、タイでは客自らがドアを開け閉めする必要がある。これが良くないないのか、乗客は後方確認もせずにドアを突然開けるため、バイクに乗ったライダーがそのドアにぶつかってしまうケースが少なくない。
タイでは、上半分が黄色/下半分が緑色のタクシーは個人所有車。ピンク/緑/青/赤など単色のタクシーは、すべて社用車だ。
運転手もできるだけ端に寄せて乗客を降ろせばいい話なのだが、タイでは基本的に先を予測して走らない人が多いので、運転手も路肩まで寄せないし、ライダーも似たような事故が多発しているにも関わらず、スピードを落とさない。
タイの首都・バンコクでは、バイクタクシーが普及していることもあって、乗用車のタクシーに乗った客が開けたドアに、日本人観光客を乗せたバイクタクシーがぶつかる事故もたまに起こっている。
また、バンコクは交通渋滞がひどいため、諦めて途中下車をする人が稀にいるのだが、その際に追い越し車線にいるタクシーのドアが急に開くことがある。似たような事故状況の例だと、渋滞で進めなくなった路線バスが走行車線で乗客を下ろした際に、バイクと降車した客が衝突する事故もあった。
ちなみに、タクシー運転手やバスの車掌さんが乗客に向けて事前に注意喚起してくれることもあるのだが、当然ながら事故が起きるときはそういった注意もなく、乗客側やライダー側も往々にして前方/後方を確認しないため、バイクとタクシーとの衝突事故が起きる。
つまり、タイでは路肩に限らず車線の中央寄りでも、交通事故に巻き込まれる危険が潜んでいるのだ。
タイの道路は水はけが悪く、スリップ事故が多い
上述した乗客が開けたドアに衝突する事故のほか、スリップ事故も頻繁に起きている。雨の降り始めは砂/ほこり/泥などがタイヤの凸凹部分に入ってしまって滑りやすいと言うが、タイの場合はザッーと雨が降った後も怖い。
というのも、タイの道路は水はけが非常に悪いので、晴れているときでさえ滑ってしまう危険性があるからだ。雨天時では、まっすぐ直線を走っていても急に滑ることだってある。
タイの国道は、長く続いている直線道路が多いため、バイクやクルマ問わず過度なスピードによる死亡事故が多発している。
また、タイでは毎年5月から10月にかけて雨季が続くので、年間の半分近くがスリップ事故に見舞われる危険性を持ち合わせていることになる。
ちなみに、晴れているときは自治体などが洗剤を使って道路を清掃することもあって、筆者はクルマを運転中に自治体によって撒かれた洗剤が原因で、反対車線までスリップし、タクシーと正面衝突したことがある。
とはいえ、直線道路で単独スリップした場合は、やや長めの距離を滑る程度なので、意外とかすり傷がひとつも付かないのだ。
ただし、運転者の意思で動かすことができず制御不能になる…、もしくは転倒したライダーに驚いたドライバーが急なブレーキによってスリップをしたら、鉄の塊がライダーや歩行者に突っ込んでくるわけなので、想像するだけでもゾッとするだろう。
バンコクについて言えば、交通渋滞がひどいので慎重に運転する人が多く、そもそもスリップ事故が起こりにくい。その一方、バンコク郊外は直線道路が多く交通量も少ないため、過度なスピードを出す人も多く、スリップ事故も起こりやすい。
また、バンコクと北側の隣県の境にある数十kmも直線道路が続くところでは、雨が降ると500mおきに転覆/転落事故などが発生する魔のエリアもあったりするので、現地の人でも注意が必要だ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
モーサイの最新記事
仕事を通じてわかった、足を保護すること、足で確実に操作すること 今回は、乗車ブーツの話をします。バイクに乗る上で、重要な装備の一つとなるのが乗車ブーツです。バイクの装備といえばヘルメットやジャケット、[…]
【燃料タンク容量考察】大きければ良いってもんではないが、頻繁な給油は面倒だ 当たり前の話ではあるけれど、燃費性能とともに、バイクの航続距離(無給油で連続して走れる距離)に関係してくるのが、燃料タンクの[…]
バイクいじりで手が真っ黒、そんな時どうしてる? バイクいじりにつきものの、手の汚れ。 特に、チェーンのメンテナンスやオイル交換など、油を使った作業となるとタチが悪い。 ニトリル手袋やメカニックグローブ[…]
松戸市〜成田市を結ぶ国道464号の発展 かつて、千葉県の北総地区は高速道路のアクセスが今ひとつ芳しくなかった。 常磐自動車道・柏インターや京葉道路・原木インターからもちょっとばかり離れているため、例[…]
創業100年を迎えた青島文化教材社「草創期から異端派だった?」 中西英登さん●服飾の専門学校を卒業するも、全く畑違い(!?)の青島文化教材社に2000年に入社。現在に至るまで企画一筋。最初に手がけたの[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
1903年以降、ナンバーはずっと使い続けることができる英国 ナンバープレートがオークションなどの売り物になること、じつはイギリスではさほど珍しいものではありません。 イギリスでは一度登録したナンバーを[…]
出展テーマは「By Your Side」 スズキは、2025 年10 月30 日から11 月9 日まで、東京ビッグサイトで開催されるJapan Mobility Show 2025 (ジャパンモビリテ[…]
7.3リッターとなる心臓部はコスワースがカスタマイズ 今でこそアストンマーティンの限定車はさほど珍しくもありませんが、2000年代初頭、すなわちフォード傘下から放り出された頃の彼らにとってスペシャルモ[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
新型「アドレス125」がコスパ最強で登場! 原付二種スクーターのド定番「アドレス125」が、9月10日にフルモデルチェンジして発売された。フレームを新設計して剛性を上げつつ軽量化し、エンジンもカムシャ[…]
人気記事ランキング(全体)
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
ネイキッドブームの立役者もライバル続出で遂に対抗刷新! 1989年、カワサキがリリースしたZEPHYR(ゼファー)は、レーサーレプリカ熱が冷めたタイミングもあって、瞬く間に400ccクラスの販売トップ[…]
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
前年モデルでTFTディスプレイを獲得した無印 北米スズキは、2005年型GSX-R1000(通称K5)由来の痛快な並列4気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッド「GSX-S1000」およびスポーツツア[…]
最新の投稿記事(全体)
多忙なライダーに送る、半日の自由を快適に! 今回発売するのは、『一日をかけてツーリングに行くことができないライダーに「半日」でも息抜きのツーリングに行っていただきたい!』をコンセプトにハーフデイツーリ[…]
ヤマハの3気筒スーパースポーツがついに国内登場! ヤマハは国内向けモデルのYZF-R9をついに正式発表。鈴鹿8耐などで展示して注目を集めてきたが、ファンが待たされた甲斐はある150万円切り(149万6[…]
薄い︕安い︕温かい︕で話題を呼んだ蓄熱インナーグローブの系譜。足元までワンランク上の暖かさを 2020年に発売した 「蓄熱インナーグローブ」 は、薄手ながら暖かさを実現し、価格の手頃さも相まって口コミ[…]
トップス&インナー 機能性抜群な冬用パーカー JK-630:1万3000円台~ 伸縮性の高い透湿防水生地を使用したウインターパーカー。保温性に優れた中綿入りなので、暖かさをキープし快適なライディングを[…]
1903年以降、ナンバーはずっと使い続けることができる英国 ナンバープレートがオークションなどの売り物になること、じつはイギリスではさほど珍しいものではありません。 イギリスでは一度登録したナンバーを[…]
- 1
- 2