みなさまは、マレーシアの田舎でガス欠のバイクを押しながら歩いたことはありますか。
私はあります。たしか2016年くらいのこと。レンタルバイクの燃料メータが正確な値を示さず、まだ走れると思っていたら、全然走れず中途半端なところでガス欠しました。自然豊かな場所を数キロ歩き、ポツンとあった民家の住人にガソリンを売ってもらい、そのときは事なきを得ました。
当時の私は海外での通信環境を持っておらず、レンタルバイク屋に電話して助けを求められなかったのです。スマートフォンはSIMフリーではないため、物理SIMは購入しておらず、レンタルのポケットWi-Fiも大きくて荷物になるため持っていませんでした。
この経験より、私は海外旅行では通信環境を必ず用意するようになりました。ヤバいときに助けを求めることはもちろん、旅先でレストランを探したり、翻訳アプリで現地の人と話したりなど、さまざま活躍します。
今回は、バックパッカーの私が海外で通信環境をどう確保しているかを紹介します。 結論からいうと、私は海外ローミングと現地SIMを旅行によって使い分けています。
現地で通信手段を確保するための4パターン
カフェやホテルのWi-Fiだけに頼る方法もありますが、だいたいの方は以下の4パターンのどれかで通信手段を確保するのではないでしょうか。
だいたいの旅行はこれで十分:海外ローミング
海外ローミングは本当に便利です。だいたいの旅行はこれで問題ありません。
ローミングとは利用者が契約している通信業者のサービス範囲外の地域にいても、他の事業者のサービスを使って契約している通信業者のサービスを使えるようになる仕組みです。例えば、楽天モバイルのユーザーが韓国に行ったときに、韓国の通信業者の回線を使ったインターネット接続できるといったぐあい。海外ローミングをオンの設定にしておけば、海外の空港で勝手に電波を拾ってインターネットを使えるようになります。
ただ、ローミングと聞くと「めっちゃ高いって聞いたことある」って人もいるでしょう。実は今の時代、海外ローミングは意外とお値打ちなんです。
例えば、楽天モバイルだと特定の国で2GBまで無料で1GBごとに500円で追加でき、仮に容量がなくなっても低速通信に切り替わるだけで圏外にはなりません。2024年7月時点で、ハワイやタイ、韓国などメジャーな旅行先を含む、世界73か国という多くの国で楽天モバイルが使えます。スリランカやラオスなど、少しマイナーな国だと対応していない場合がありますが、一般的な海外旅行ならこれで事足りるケースが多いでしょう。
ahamoだと月に20GBを国内外で使えます。世界91か国で使用可能と、楽天モバイルより対応している国が多くありますが、海外では月に15日間という制限があることに注意です。海外で最初に通信した日から数えて15日を過ぎると、20GB使っていなくても低速通信に切り替わります。
契約中のキャリアに海外ローミングプランがあり、それが来訪予定の国に対応しているなら、海外ローミングが一番おすすめです。
少し長めの滞在に:現地SIM
私は、楽天モバイルの海外ローミング以外にも現地の物理SIMをよく買います。2GBで足りないとき、もしくは現地の電話番号が欲しいときにおすすめです。具体的には、ドライブやツーリングする予定があるときですね。トラブルで助けを求めるときなど、いざというときに現地の電話番号を持っておきたいです。
前述の海外ローミングでも電話はできますが、国際通話は高いですし、私のやり方が悪いのかなぜかうまく発信できないことも多く、緊急用には少し心もとないかなと思っています。ちなみに、楽天モバイルの国際通話はタイだと30秒で68円と比較的お安く、高い国だとスリランカが30秒で148円です。
物理SIMは大きな空港ではほぼ確実に売ってます。事前に日本で買ってもいいですね。2024年7月時点で、タイであれば7日間15GBの物理SIMがAmazonで1000円ほど。お安い。
契約中、キャリアが海外ローミングに対応していない方、現地の電話番号がほしい方は現地SIMがよいですね。
ほぼ使わない:レンタルのポケットW-Fi
2017年に友人とドイツに行くときに空港でポケットWi-Fiをレンタルしました。当時は海外ローミングが高価だったこと、一人旅じゃなかったことがレンタルした理由です。Wi-Fiなら電波をシェアできるので良いかと思ったのです。
ただ、それ以来はレンタルしたことないです。当時のWi-Fiルータは重くて邪魔だったうえ、別行動すると片方の通信環境がなくなるのでイマイチでした。
海外ローミングや現地SIMが不安な方、複数台のデバイスをネットにつなぎたい方はレンタルのポケットWi-Fiも悪くないと思います。
使いやすさ抜群:eSIM
私のスマートフォンは非対応なので使ったことはないものの、eSIMも便利です。eSIMはざっくりいえば、物理SIMのオンライン版。SIMの抜き差しなど物理的な作業なしで、通信回線の切り替えの手続きができます。楽ですが、電話番号が付属しないことが多いことに注意です。
物理的なSIMカードを持たなくていいのは、大きなメリットかと思います。旅行中は荷物をなくすことが、少なくないですからね。現地の電話番号がいらない、お手持ちのスマートフォンがeSIMに対応しているのなら、アリな選択肢でしょう。
海外で通信関連で困らないようにポイントを抑えよう
海外で通信関係で困るといえば、電波が弱いまたは圏外、制限容量に達した、何かしらの理由でスマートフォンが使えないのどれかでしょう。
電波が弱いのはどうしようもないので、ホテルやカフェのWi-Fiを使うしかないと思います。ただ、部屋や席の位置によってはWi-Fiの電波が弱いこともあるので信じすぎないように注意してください。
私が海外旅行の圏外対策、スマートフォン使えない対策で絶対に実施することをふたつ紹介します。
GoogleMapはオフライン地図を事前にダウンロードしよう
GoogleMapの通信料は1時間当たり約15MBといわれており、大したことはないですが、それでも圏外や電波の悪いところでは使えません。GoogleMapは、事前にオフライン地図をダウンロードしておきましょう。
オフライン地図だと、圏外でも問題なくナビや場所の確認ができます。ちなみにGPSはスマートフォンの電波とは関係ない仕組みなので圏外でも使えます。2024年7月時点で、スマートフォンのGoogleMapアプリで以下の手順でダウンロードできます。
- 右上のアカウント画像をタップ
- “オフラインマップ”をタップ
- “自分の地図を選択”タップ
- ダウンロードする範囲を決めて”ダウンロード”をタップ
ダウンロードしておけば、スマートフォンが生きている限り道に迷うことはないので、私は日本にいるときか、Wi-Fiが確保できるとき、忘れずにダウンロードしています。
サブでスマートフォンをもう1台持っていくのもよい
画面が割れて買い替えたスマートフォンをサブとして使っています
念のために、スマートフォンはふたつ持っていても悪くないでしょう。紛失した、水没したなどでメインが使えなくなっても、現地でSIMを買えばサブを使えるようになります。
私は韓国でスマートフォンを落とし、画面がバキバキに割れたことがあります。使える状態だったので問題ありませんでしたが、拾えない場所に落としたり、衝撃で電源が付かなくなったりすることもあるでしょう。航空券のチケットも全部スマートフォンに入れているので、使えないと本当に困ります。
私はいつもサブを1台持って海外に行きます。今まで活躍したことはないので、お守り代わりですが、持っているだけで安心です。
通信環境を整えて、安全に効率よく旅しよう
通信環境を整えれば、Wi-Fiのある場所に縛られないし、旅の自由度が格段に上がります。私は大学時代はカフェやホテルのWi-Fiのみで旅行していましたが、それは時間のある大学生だからできたことだと思います。社会人になって長期連休が取りにくくなった今、やりたいことを安全に効率よくこなすには、通信環境が必須だと感じています。
海外ローミング、物理SIM、ポケットWi-Fi、eSIMなど、旅のスタイルによってどれが向いているかは違うので、自分に適した方法を選んでください。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(山崎陸)
愛知県と岐阜県の境に位置する犬山市には、人気釣りスポットの入鹿池(いるかいけ)があります。バス、ヘラブナなどのさまざまな釣りが楽しめますが、冬季は産卵期で身が一番大きくなるワカサギがおすすめ。釣りごた[…]
どんなUber Eats配達員でも必ず持っている装備といえば、スマートフォン。これがなければ、仕事を始めることすらできません。 そんなスマートフォンですが、太陽が強く照っている日に使うと画面が真っ黒に[…]
冬のUber Eats配達は過酷です。寒さと路面の凍結の両方と戦わなくてはいけません。しかし、それゆえに配達員が少なくなるため、やり方次第で1年を通してもっとも高額な収入を得られるチャンスの季節だと思[…]
私はホンダPCXでUber Eats配達員をやっています。3000回ぐらい配達してきましたが、いつしか「ピザ屋やハンバーガー屋などのデリバリーいいなぁ」と思うようになっていました。なにせ彼らの相棒は、[…]
標高2172メートルに位置する渋峠は、長野県と群馬県の県境にあるバイクツーリングの聖地として名高い日本最高所の国道です。冬季は厳しい寒さになるため、4月末から11月中頃の限られた期間のみ開通しています[…]
最新の関連記事(ツーリング)
長距離ツーリング休憩時の立ち寄り場所の参考に 本記事の作成にあたり、AIの補助を借りつつ、「東名高速道路 グルメ おすすめ」「サービスエリア ランキング」「各SA PA名 グルメ」といったキーワードで[…]
空と大地が出会う場所に生まれた最新グルメスポット 明治期の開墾以来、総面積約5000ヘクタールの「牧之原大茶園」を中心に豊かな茶文化が息づいていた日本一の茶畑を誇る“お茶のまち”静岡県牧之原市。 空へ[…]
レイザーラモンRGほかスペシャルゲストも多数参加 株式会社バイカーズパラダイスが、神奈川県南足柄市とタッグを組み、本格的にバイク乗りを歓迎する取り組みをスタートさせる。これは「バイク乗りによる地域創生[…]
日本が誇る雄大な自然を体感する一大ツーリングイベント 「日本三霊山ラリー」は、古来より日本の山岳信仰の対象とされてきた富士山、立山、白山という3つの頂を巡る壮大なツーリングイベントだ。石川、富山、静岡[…]
ドラマの熱を受けて6年ぶりの精進湖涼湖祭を8月4日(月)に開催 脚本のバカリズム&主要キャストからも特別応援メッセージが!! 涼湖祭の復活を祝して、脚本のバカリズムさん、主演の市川実日子さん、[…]
最新の関連記事(ライフスタイル)
若月佑美が初のバイクを納車、購入モデルは? 2025年の2月に免許を取得したという若月佑美さん。 当時の話は以下インタビューで詳しく語ってもらったが、以降はどのバイクを買うか悩みに悩んだという。 そん[…]
愛車のカスタムXSR700 ふだんは、女優/タレント/バイク/サウナ/SUP等々アクティブなライフスタイルすぎる日々なのですが、コラムを執筆するときは落ち着いて、ソファーや移動の際ケータイ片手に、真面[…]
1万4000人が詰めかけたブルスカ2025 山下ふ頭の特設会場は横浜ベイブリッジを臨む広大なもので、世界限定 1990台限りのアイコン コレクション「ファットボーイ グレイゴースト」のお披露目をはじめ[…]
かつての人気モデル「キャンパー」のDNAと手巻きムーブメントの融合 「MK1ハンドワインド」のルーツは、1980年代に登場し、シンプルかつ実用的なデザインで人気を博したキャンパーモデルに遡る。そのデザ[…]
高まるペット移動ニーズに応える革新的モビリティ ガソリン価格の高騰と50ccクラス原付の製造終了という時代の転換期において、経済的かつ環境に優しい移動手段への需要が急速に高まっている。その一方で、近年[…]
人気記事ランキング(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
最新の投稿記事(全体)
2026年以降のFIM安全基準に合致したレーシング仕様フルフェイスヘルメット このたびRX-7Xに追加される『RX-7X FIMレーシング#2』は、2020年よりFIMカテゴリーのレースにおいて義務化[…]
RVF400参戦でV4パフォーマンスに優れたハンドリングと闘えるトラクションが加味され最強に! ホンダのV型4気筒戦略がスタートしたのは1982年。 VF750系に続いてVF400系も加わり、当初は高[…]
初心者からベテランまで、老若男女だれもが一日中楽しめる オフロードバイクさえあれば、初心者だろうとベテランだろうと、老若男女だれもが一日中楽しめるフリーライドイベントとして企画されたのがエンジョイライ[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
「走る」を変える次世代の相棒 一般的なガソリンバイクが燃料を燃焼させてエンジンを駆動するのに対し、電動バイクはバッテリーに充電した電気でモーターを回して走行する。そのため、排気ガスを一切排出しない、環[…]