[海外旅行トラブル]韓国で大量の生肉を食べて病院に運ばれ、’90年代の名曲に勇気づけられて得た教訓
●文:[クリエイターチャンネル] 山崎陸
大学時代から通算すると30〜40ヵ国ほどすでに巡っているほど、私は海外旅行が好き。サラリーマンとなった今でも、長期連休の度にどこかへ行っています。
コロナ禍も明けた2023年のある日のこと。YouTubeで海外を紹介する動画を見ていると、韓国の”ユッケ通り”なるものを発見しました。日本では法的に禁止されている生レバーや、ほとんど見かけることのなくなったユッケをお腹いっぱい食べられるそうです。
「次の旅は韓国だな。生肉だけで腹いっぱいにするぞ!」
「ユッケ! 生レバー! あとサンナクチ(イカの踊り食い)もいいよな」
「国際免許が使える国だし、ついでにバイクも借りてツーリングしよう!」
私はPCの前で意気込んでいました。そうと決まれば3連休に有給をくっつけて4日の休みを作り出し、さっそく韓国へ出発です。現地で高熱を出し病院に輸送されることも知らずに…。
生肉だけで満腹になりたくて韓国に行った
私は旅行用に音楽プレイリストを作っています。飛行機の待ち時間に気持ちを高めたり、旅行中のつらいときに気分を落さないように、さまざまな音楽をリストに入れています。この日も大事manブラザーズバンドの「それが大事」という底抜けに明るい曲を聞きながら飛行機に乗り、韓国に出発しました。
2時間30分ぐらいの短いフライトで、寝る暇もなく気が付いたら韓国です。大好きな生肉の食い倒れ旅にとても気分が高まっています。4日間という短い旅行な上に韓国なら足りないものはなんでも現地で手に入るだろうと少しナメており、着替えと軽い洗面用具のみを持っていきました。下調べもほとんどしていません。
初日のホテルにチェックインして、さっそくユッケ通りと呼ばれるユッケやレバ刺しなど生肉を提供するお店がたくさん立ち並ぶエリアに行きました。有名な場所のようで、日本人もたくさんいます。
これがユッケ通りにあるお店の生レバーとユッケ、そして生きたテナガタコを踊り食いするサンナクチです。日本では少量ずつで提供されていた生肉も、韓国では生レバーを冷ややっこのように、ユッケを焼きそばのように食べられます。
「これだよ、これが求めていたものだよ」
こう心でつぶやいて食べている私の隣で、大学生っぽい2人組が「これ量おおすぎ! 生肉ばかり2人でも1皿食えねえよ」と話していました。私はひとりで2皿食べ、ビールも飲み、良い気分でホテルに帰りました。
翌日、若干の体調の悪さを感じましたが「レバーは栄養があるから薬みたいなもんだろ!」と自分を鼓舞して構わず観光しました。韓国でのもうひとつの目的、バイクツーリングをしようと。しかし、下調べが甘く1時間以上、レンタルバイク屋を探したにもかかわらず見つからず…。仕方なく、電車と自転車でソウル市内をめぐりました。
そうして韓国を満喫した夜、本格的に体調が悪くなりました。ベットから起き上がるのもキツく、食事は近くのコンビニで簡素に済ますのが精いっぱい。薬局で購入した体温計で熱を測ったら39℃近くの熱がありました。
タクシーで病院に運ばれる私と自由奔放な通訳さん
翌日の朝、クレジットカードに付帯している海外旅行保険の窓口に電話し、病院へのタクシーと通訳を手配してもらいました。手配には航空券のeチケットと航空券を買ったときのクレカ明細が必要です。ボーっとする頭でスマホの中からそれらを探して送付し手続きを終え、ベットの中で待機していました。
2時間ほど経った後、ホテル前にタクシーと通訳さんが到着。ソウルの白病院という大きな病院に運ばれました。通訳さんはなぜか高熱の私に自身のYouTubeの宣伝をしてきます。「韓国の情報を発信しているから見て!」と言われましたが、私は「後で見てみるよ(今は静かにしてくれ)」と応えるのが精一杯です。
病院についたがすぐには院内に入れない
白病院に着きましたが、週末のせいかコロナのせいか病院内に入れず、まずは外の簡易テントで問診を受けました。
「体調不良に何か心当たりはありますか?」
「生肉をたくさん食べました、2皿も食べましたよ」
少し誇らしげに話す私のニュアンスをどこまで通訳してくれたが分かりません。問診はすぐに終了しまし、次は時間外出入り口から病院に入り待合室で待っててと指示を受けました。
指示通り出入り口に行くと、鍵が閉まっていて入れません。これは驚き。不安が隠せません。「そこで待ってて」と指示を受け、10分後ぐらいに違うドアから入った通訳さんが入り口を開けてくれました。
待合室では通訳さんが陽気な調子で自身のYouTubeを見せてきます。もはやわけがわかりません。
待合室でなぜか通訳さんといったんお別れ
診察室に呼ばれ中に入ろうとしたら、通訳さんがなぜか動きません。コロナか分かりませんが、通訳さんは診察室に入れないとのことでした。けっきょく、通訳なしで診察を受けることになりました。
診察という一番通訳がほしいところで通訳さんを頼れない。今のところ通訳さんの印象は韓国を紹介してくれる気のいいYouTuberです。私は韓国語はほとんど分からないので、あまり得意でない英語で話さなくてはいけません。しかし、韓国は日本と同じく英語が苦手な国らしく、お互い微妙な英語でやりとりしました。
症状が正確に伝わったかは分かりませんが、原因不明なので過労ということになり点滴を打って薬を処方されました。生肉が体調不良の原因ではなかったようです。たぶん。
点滴で少し元気になったので、ホテルに帰るタクシーに乗り込みました。タクシーの中では、相変わらず通訳さんからYouTubeの紹介されます。
「ホテルでは暇になるよね、ならYouTube見てよ」
「いや、体調悪いから寝ますよ、スマホも見ないと思います」
「病気だからね、それが大事!」
日本で飛行機を待っているときに聞いた大事manブラザーズバンド”それが大事”を思い出し勇気をもらい、ホテルで病床に伏せながら帰国の日を待っていたのでした。
旅行も段取りが大事
その後は何事もなく帰国しました。体調が全快とはならなかったので日本でも病院に行ったら「かなり強い薬だね。飲むのやめてこっち飲んでください。」と新たな薬を処方され、薬を変えたらすぐに回復に向かいました。
今回の失敗は何よりも準備不足が原因。旅行先が栄えていてなんでも手に入る韓国と高を括っていたのがいけませんでした。それはもう、ちょっと繁華街に飲みに行くぐらいの感覚です。
いくら旅行に慣れているとはいえ、体調を崩すときは崩すので薬ぐらい持っていけばよかったなと思います。レンタルバイク屋がないことも調査しておけば、バイク屋を探す時間も韓国観光に当てられましたし。
また、今回は大したことない体調不良でしたが、大きな事故や病気のときはクレジットカード付帯の海外旅行保険では足りないケースもあります。
例えば、2024年4月時点での任意保険”新・海外旅行保険off!”の中間グレード”バランスプラン”と楽天カードの疾病治療費用の補償金額を比較してみましょう。
- 新・海外旅行保険off!のバランスプラン:2000万円
- 楽天カード付帯の海外旅行保険:200万円
なんと1800万円もの差…! もし今回が過労でなく隔離と入院が必要な厄介な伝染病、もしくは韓国でなく医療費が高いアメリカだったらと思うと、200万円ではとても足りません。
事故や病気はいつ降りかかってくるか分かりません。私はいままでほとんど任意保険に入ってきませんでしたが、「任意保険の数千円をケチるのは、本当にコスパがいいといえるのか?」と考えなおしました。
“段取り八分、仕事二分”という言葉もあるように、遊びも8割は準備で決まるなと実感した韓国旅行でした。とはいえ、あの陽気なYoutuberの通訳さんぐらい図太い神経があれば、なんでもうまくいきそうな気もしますけれどね。
病も気から、それが一番大事~。
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