静粛性がスゴい! SHOEIのアドベンチャーヘルメット「ホーネットADV」試用レビュー
●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
CRF250ラリーが納車されたので、アドベンチャーヘルメットが気になっています。そこで今回はSHOEIの「ホーネットADV」を借りて使ってみました。
シールド付きなので、オフロードやアドベンチャーに乗っている人だけでなく、ネイキッドやストリート系ファイター車輛にもピッタリ。
使用感などもしっかりインプレッションします。
ホーネットADVの付属品/カラバリ/価格
ホーネットADVは専用の袋が付属されます。帽体が大きめのフラッグシップX-15やオプティクソン以外は共通ですが、裏起毛/縫い目は塗装やシールドを傷つけないように考慮されています。
また入り口の紐は太めで、しっかり絞ると肩に斜め掛けできるぐらいの長さになります。
シールドにはピンロックシートが貼られていました。冬の雨天時にも抜群の効果を発揮する防曇シートですが、通常は付属品なので、貼り付けは納品後に自分で行う形になります。
シリコンオイルはシールドと淵ゴムの密閉性を保つために使用。ゴムの劣化を防ぐ効果もあるので、シールド清掃やメンテナンスの際などに使うと良いでしょう。繰り返しの脱着などでシールドベースの艶がなくなってしまった時にも少量塗布すると効果があります。
ブレスガードは呼吸がシールドに当たらなくなることで曇りにくくする効果がありますが、ピンロックをつけていると性能的には必要を感じないかもしれません。鼻辺りを隠す効果もあるので、見た目的にもつけておいた方が良いと思いますが、多少視界にも影響するので好みが分かれるところでしょう。
チンカーテンは巻き上げの風が入ってくるのを防ぎ、静粛性を上げる効果があります。筆者は年中つけっぱなしですが、夏場に涼しさを重視したいなら外しても良いでしょう。
安全マニュアルにはヘルメットの基本的な使い方が書いてありますが、保証書も兼ねていますので、購入から3年間は紛失しないように注意が必要です。
取り扱い説明書は英語と日本語の表記で、イラスト入りで細かく書かれているので、操作に困ることはありませんが、ホームページ上からPDFでダウンロードすることもできるので、細かい文字が見にくいという人はパソコンで確認しても良いでしょう。
カラバリは単色は4色で5万7200円。
グラフィックモデルは8色で6万8200円です。2022年10月1日に値上げされていますが、以降も原材料/人件費/電気代などが値上がりしているので、さらに上がる可能性はあるでしょう。
ホーネットADVのデザイン
今回は造形がわかりやすいように艶なし単色を借りましたが、全体的には角が少なく曲線を基調としたデザインです。トップ左右ともに後頭部にかけてはエッジを効かせたデザインを採用。スポーツヘルメットのようにスタビライザーは装備されていませんが、後頭部トップの部分から下にかけてグッと絞り込まれているのは、整流効果を狙ったのかも。
アドベンチャーヘルメットらしく、顎がぐっと張り出したデザインですが、下淵の部分は少し内側に折り込まれているのは左右に風を逃すような構造です。
バイザーは日よけや泥除けの効果が高そうなサイズですが、空力性能を狙うための通気口が設けられています。帽体と異なり、各所にエッジを効かせたデザインが特徴です。
SHOEIロゴは額の部分には貼られておらず、バイザー上と後頭部に1か所ずつ。バイザー上のロゴはコンパクトで、従来のステッカー素材ではなく、厚みとクッション性を備えたものが採用されています。
ホーネットADVの機能性
最大の特徴ともいえるバイザーは、工具なしで取り外しすることが可能です。左右のバイザースクリューを90度回転させ、センターは押しながら引き抜くことで取り外しするのですが、少し強めに力を入れるのがポイント。グラグラするような机の上で作業すると、外しにくいかもしれません。
バイザーを外した状態での使用に関しては想定されておらず、取り付け部の穴が露出してしまうので、風切り音などが発生してしまうでしょう。
個人的にはアドベンチャーヘルメットのバイザーレス仕様が好きなので、オプションでも穴を埋めるようなパーツが欲しかったところです。
バイザーについては、一番上まで上げた状態にすれば、先日紹介したKabutoジオシス同様にオフロードゴーグルを装着することができます。
ただ、シールドとバイザーを併用すると帽体が重くなりますし、シールドの脱着は慣れれば1分もかからないので、外した状態で使用するのがお勧めです。
ベンチレーションは、額/頭頂部/口元にそれぞれレイアウトされていて、口元はライダーの口とシールド方向の2ウェイ。曇りを取りつつも、呼吸を楽にすることができます。
額部は1個のレバーをスライドさせると左右2か所が開閉する形。
頭頂部はバイザーと一体化しており、頭全体が涼しくなりそうです。
アウトレット側は後頭部上側に2か所と下側にも設けられており、しっかりと熱気を排出する設計です。
顎紐は軽量なDリングを採用。
万が一の際に第三者がヘルメットの取り外しを容易にするEQRSにも対応。チークパッド下の赤いリングに指をかけて引っ張ることで、頬をホールドするチークパッドが外れて脱がしやすくするというものです。
ホーネットADVの内装
内装は、トップ/チークパッド左右/イヤーカップ左右/顎紐カバー左右の7点が脱着可能。
肌に触れる面に関しては、吸湿速乾性に優れた東レ製ナイロン素材・キュープを採用。ベンチレーションを併用することで蒸れなどを解消し、着用時の快適性を高いものとしています。
トップ内装は、頭頂部や左右でクッションの色が切り替えられていますが、硬さも異なり、最適な着用感となっています。
額のクッションは大きくパンチングされており、ベンチレーション開放時に風を取り込みやすくなっています。差し色の赤も良いアクセントに。
チークパッドは各サイズ互換性があり、説明書によればS~XLまでは35mm。XXLは31mmが標準になっていて、31mmと39mmがオプションで用意されています。
また、こめかみ部分には硬さの異なる柔らかめのクッションが採用されていて、眼鏡のツルが通しやすくなっていますが、さらに薄いクッションを1枚剥がすことも可能。被り口の部分は、見た目に配慮した合皮が採用されています。
顎紐カバーは、肌に触れる面は起毛、外側は見た目に配慮した合皮が採用されており、イヤーカップは帽体に差し込んで脱着します。インカムを使用しない時は装着しておくことで、耳回りへの巻き上げ風を防ぐなど、静粛性に効果があります。
内装を外した帽体側を見てみると、深めのスピーカーホールが確認できました。たいていのインカム用スピーカーを収めることができるでしょう。
チンガードの裏側は、木の年輪を彷彿させるようなパターンになっていることに気が付きました。アドベンチャーヘルメットらしく、アウトドアを感じさせます。
ホーネットADVの重さ
ホーネットADV(マットディープグレー/Mサイズ)の重さを図ってみたところ、1640gでした。
試乗する前だったため、オプションのブレスガード/ピンロックシート/チンカーテンの3つを付けた状態での測定でしたが、バイザーが付いているアドベンチャーヘルメットとしては軽量といえるでしょう。
※ヘルメットは製造時に重さに個体差が生じます。また単色とグラフィックモデルだと、後者の方が使う塗料やステッカーの量が多くなるので重くなる傾向があります。
ホーネットADVのフィット感
筆者はArai/SHOEI/KabutoいずれもMサイズ。ふだん着用しているSHOEIのヘルメットは、縦横ともにパーソナルフィッティングでクッションを追加しています。
ホーネットADVもMサイズでピッタリでしたが、被り口が広くて脱着がしやすく、チークパッドの圧迫も弱め。
SHOEIの他フルフェイスヘルメットと比べると、頬全体ではなく、下半分がフィットしている印象でした。
CRF250ラリーに乗ってホーネットADVを使ってみた
まさにホーネットADVにピッタリのバイク・CRF250ラリーに乗って性能をチェックしてみました。
気温30度、風は弱めの状況でしたが、バイザーがついているのに風切り音を感じず、チークパッドが首まわりにしっかりフィットし、チンカーテンを付けることでヘルメット内に巻き込みの風が入ってくることもありません。
視界は広く、ピンロックシートの曇り止め効果は抜群。さらに口元も広めなので、フルフェイスヘルメットが窮屈で苦手という方にもピッタリ。
最初に被った時の印象としては、若干重量バランスを前側に感じたため、バイザーが付いていることで走行風による抵抗を感じているのかと思いましたが、高速道路走行中やレーンチェンジで顔を横に振った時なども抵抗を感じることがありませんでした。
しばらく走った後にベンチレーションを開けてみましたが、操作はグローブをしていても操作ノブの節度を感じやすく、簡単でした。
下道の低速走行でも額のベンチレーション効果は感じやすく、60km/hぐらいからは頭頂部も機能し始め、頭全体が涼しくなります。
口元に関しては、軽く風が入ってくる程度で、スピードを上げていっても効果は変わりませんでした。CRF250ラリーはコンパクトですが、スクリーンが装着されているため、ウインドプロテクション効果で口回りへの風が弱かった可能性もあるかもしれません。
静かなヘルメットが欲しい人にお勧め!
色々なヘルメットを仕事で借りていますが、ホーネットADVについて特に際立って素晴らしいと感じたのは、静粛性です。
CL250やVストロームSXなどアドベンチャーバイクのラインナップが増えてきているので、バイクに合ったデザインのヘルメットが欲しいという方にもお勧めですが、モトブログの撮影などで静かなヘルメットが欲しいという方にもお勧めです。
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