徐々に進む電動化! 電動バイクはどの免許で運転できるのか
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
カーボンニュートラル社会実現の一環として、走行時のCO2排出量の少ない電動バイクの開発が進められています。いずれはエンジン車の立ち位置に置き換わると言われている電動バイクですが、エンジン車と同様、現行の免許区分に応じて運転できる定格出力が区分けされています。
そもそもカーボンニュートラルとは何か?
昨今、耳にしない日はないと言えるほど世界中で話題となっている“カーボンニュートラル”。「ネットゼロ」とも呼ばれるこの言葉は、地球温暖化の要因とされている温室効果ガスに関して、人間の社会活動による排出量/植物の光合成など自然活動による吸収量が均衡である状態を指します。
経済産業省の”グリーン成長戦略”によると、日本では2030年までに温室効果ガス排出量を対2013年比で46%削減するというマイルストーンを設定しており、この目標に向けて現在、輸送機器業界を中心とした多くの企業がさまざまな方針を打ち出し、活動しています。
国内2輪業界を例にとると、ホンダは2022年9月に次のような方針を発表しました。
「まず2025年までに、グローバルで電動二輪車を合計10モデル以上投入。今後5年以内に100万台、2030年には同社の総販売台数の約15%に当たる年間350万台レベルの電動2輪車の販売を目指す。そして2040年にはすべての2輪製品でのカーボンニュートラル化の実現を目指す」
そして2023年5月19日に、同社初の国内一般向けとなる電動バイク「EM1 e:」を発表しました。定格出力は0.58kwで、ヤマハ イービーノと同様、道路運送車両法上の第一種原動機付自転車に分類される車格です。
また、他の国内メーカーも電動バイクの開発には積極的です。カワサキは2022年11月のミラノショーで、電動の「ニンジャEV/Z EV」を公開。2023年4月には、スズキが電動スクーター「e-バーグマン」の実証実験を都内で実施するなど、電動モデルのラインナップは着実に充実していくことが窺えます。
電動バイクはどの免許で運転できる?
さて、定格出力に応じた免許が必要となる電動バイクですが、具体的には次の4種に区分されます。
定格出力0.6kw以下=原付免許
定格出力0.6kw以下のモデルは、エンジン規格50cc以下と同等とみなされるため、原付免許で運転することができます。
車格が小さいためバッテリーも小さく、航続距離は50km以下程度で、通勤通学/買い物等での活用を想定したモデルが主となります。
前述のホンダ EM1 e:やヤマハ イービーノなど従来の原付スクータータイプのほか、海外モデルの「トロモックス ミノ」といったオンロードタイプ、また「ライドオン アイオーン」に代表される軽量折り畳みモデルなど、変わり種も数多く展開されているクラスです。
定格出力0.6kw超〜1.0kW以下=小型二輪免許
定格出力0.6kw超〜1.0kW以下の電動バイクは、エンジン規格50cc超125cc以下と同等とみなされる出力で、小型二輪免許で運転可能です。
タンデム走行が可能なほか、航続距離が100kmに迫るモデルもあり、ツーリングもこなすことができます。なお、前述のニンジャEV/Z EV/e-バーグマンはこの規格に該当します。
定格出力1.0kw超〜20kw以下=普通二輪免許
定格出力1.0kw超〜20kw以下の電動バイクは、エンジン規格125cc超400cc以下と同等とみなされる出力で、普通自動二輪免許で運転することができます。高速道路も走行可能な上に、航続距離は100kmを軽く超えるモデルがほとんどで、高い瞬発力を活かしたオフロードモデルも多く登場しています。
スーパーソコCPX/ゼロモーターサイクルズ TC MAX/BMW CE04など海外メーカーのモデルが代表的で、現時点では国内メーカーのモデルは発表されていません。しかし、このクラスは日本の道路事情にもマッチしているので、今後国内からも数多くのモデルが展開されることが期待されます。
定格出力20kw超=大型二輪免許
定格出力20kw超の電動バイクは、大型自動二輪免許で運転可能です。
エンジン規格400cc超と同等とみなされる出力で、他区分に比べラインナップは少ないものの、エンジン車では実現できないような加速性能/トルク感を持つことから、注目度も非常に高いクラスです。
ただし、他区分と同様に航続距離の短さが課題であり、充電タイミングを確保しないと長距離ツーリングは難しいといえます。
現行モデルとしては、ゼロモーターサイクルズ SR/F/SR/S/BMW Cエボリューション」/ライブワイヤーなどが挙げられます。
このように、電動バイクは温室効果ガスの排出量が少なく、カーボンニュートラル社会を実現するためのひとつの手段です。そのため、今後も各メーカーから続々と新モデルが展開されることが期待できます。
ただし、エンジン車と同様、定格出力によって免許区分が異なるので、乗りたいバイクの出力を確認しておくことが重要です。
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