サビサビのヤバいボルト、”ネジ回しの基本”を押さえてなんとか外してみました

  • 2023/03/19 17:43
  • [CREATOR POST]DIY道楽テツ

ネジの固着。DIYやバイクのメンテナンスを行なったことがあるなら、誰でも1度は悩んだことがあるはずだ。今回はその中でも特に「最悪の状態」にあるネジにバイクメンテナンス系YouTuberのDIY道楽テツ氏が挑戦する。というのも単に固着しているだけでなく、ネジ山の溝までサビで埋まっており、しかもドライバー以外では対処しようのない奥まった場所に締められているのだ。こうしたときに大事なのは「ネジ回しの基本」を押さえておくことだという。


●文:[クリエイターチャンネル] DIY道楽テツ

【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル)

「最悪のネジ」…この強敵を、どうしてくれようか?

ワタクシ、これまで多くの「固着して外れなくなったボルト外し」をやってきましたが、今回のお客様(?)は手ごわいですよ~! まさに「最悪の状態」。

というのも、あまりにサビが酷すぎてネジ山がほとんど埋まっており、ドライバーすらろくに入らない状態。そもそもネジ山とドライバーが噛み合わなければ回すことなんて不可能ですし、そこをうまく噛みつかせないと、すぐにナメてしまいます。

さらに悪いのが「奥まった場所」にあるということ。というのも、通常のネジならペンチやバイスグリップといった「つかむ」系のアイテムを使うことで回せる可能性があるのですが、こうも奥まった場所ではそれが使えません。

そして、言うまでもなくがっつりと固着してます。しかもこのように奥まった場所だと水分が溜まりやすく、なおのことサビが促進されて固着度はMAXレベルに達していると思われます。

それはつまり、ただでさえ食いつきが悪くて固着も強力なのに、プラスドライバーがナメてしまったら、一巻の終わりということ…!! なんてこった。つまり今回のネジ外しでは「一発で勝負を決められる確実性」が求められているということです!

ただ単に固着しているだけならやりようはいくらでもあるのですが、ネジ山はサビきっており場所もよくない。まさに三重苦です。

ちなみに、今回外したいのはバイクのフロント部を留めているネジ。こうして見ると、やっぱりペンチなど「つかむ系」の器具は使いにくい場所にありますね。

そんなわけで全力で挑ませていただきます!

一撃でボルトを確実に緩めるために必要な事とは? その答えはシンプル。すなわち「基本に忠実であれ」! 押さえておくべきことはたったの3点です。

【ネジ回しの基本】

  • ネジ山の溝にフィットする貫通ドライバーを使う。
  • ハンマーで貫通ドライバーを叩き、その衝撃でネジの固着を緩める。
  • 押す力7:回す力3で回す。

以上の3つを意識して、愚直なまでに基本に忠実に挑んでみましょう。

ドライバーをねじにフィットさせる

まず、使うドライバーはねじにフィットするサイズであることと、それと「貫通ドライバー」であることが条件となります。貫通ドライバーとは、握りのお尻の部分からドライバーの先端まで金属が貫通していて、ハンマーで叩くことができるドライバーの総称です。

今回はネジ頭の溝がサビきっているため、ドライバーをフィットさせるためにサビを除去する必要があります。細いマイナスドライバーや尖った針状の器具、あるいはワイヤーブラシ等でしっかりネジ頭の溝を掃除しておきましょう。サビの粒子があるとドライバーの先端が奥までしっかりフィットせず、トルクを伝えきれずにネジをナメてしまう原因になってしまいます。

この工程をしっかりやることで成功率は格段に向上。逆にこの手間を惜しんでしまうと、どれほど努力したところで効果は半減してしまうので、サビは事前にしっかり落としておきましょう。

こちらが貫通ドライバー。後端部をハンマーで叩くことでネジに直接衝撃を与え、固着を外すことができます。

衝撃と潤滑剤でネジの固着を解除しておく

ネジ頭のサビを除去したら、次は貫通ドライバーとハンマーの出番。ドライバーの先端をキレイになったネジ頭にしっかりとフィットさせ、そのお尻をコンコンとハンマーで叩きます。これは外すというより、ネジとネジ穴との固着を解除して、このあと吹き付ける潤滑剤が浸透しやすいように隙間を作る…という意図。

ネジにしっかり衝撃を与えたら、潤滑スプレーの登場。ネジとネジ穴の隙間に浸透するようにスプレーしてください。それからまた貫通ドライバーを当て、ハンマーで再びコンコンと叩きます。微細な衝撃を与えることで潤滑剤をより浸透させる効果が期待できるからです。

そして…あとは最低30分、可能であれば一晩くらいは放置しましょう。しっかり時間をとることでより奥まで潤滑剤が浸透してくれるので、緩む確率が確実に上がります。

潤滑スプレーは高価なものでなくても大丈夫。ワコーズのラスペネが浸透力が強力ですが、サンデーメカニックの英雄、クレ55-6でも充分効果的です。

いざ尋常に勝負! 基本は押す力7:回す力3、しかも瞬間的なチカラで回します

さぁ、お待たせしました。いよいよ勝負の瞬間です。この瞬間の為に長々と準備してきましたが、ねじ廻しの勝負は本当に一瞬です。基本はあくまで『押す力7:回す力3』ですよ? 「パキッ」という乾いた音とともに、意外にアッサリとネジが回るハズです!!!

ちなみに、ちょいとお高めですがスパナが掛けられる貫通ドライバーもあります。体重をかけてドライバーを押し付けつつ、スパナを掛けて「クイッ」と回せる優れもの。頻繁にネジを回す機会があるならそうした製品がオススメです。

もし回らず、代わりにネジが舐めるような「ヌルッ」って感触が伝わってきたり、単純に回らないときは…そのままストップ!! 無理をしてはいけません。もう一度ドライバーのフィット感を確かめて、ハンマーを使い、潤滑スプレーを吹き付けてください。焦らずしっかり腰を据えて挑めば、ほとんどのネジは外せるはずです。

外れない場合は最初から。固着を剥がして潤滑剤を効かせましょう。何度か繰り返しているうちに、じきに緩んでくるはずです。

油断と焦りは禁物。大切なのは「急がば回れ」の精神!

言葉にするとややこしいネジ回しですが、慣れてしまえばサクサク作業できます。特にバイクや家具などを分解する予定がある時は、少なくとも前日には先に貫通ドライバーで衝撃を与えて、潤滑スプレーを吹き付けておくくらいの事前準備をしておけば、作業の当日は案外すんなり回ってくれます。

最後になりますが、ねじ外しに油断と焦りは禁物です。大切なのは「急がば回れ」の精神。私も若いころ多くのねじをナメまくってきましたが、基本を守るようになってからは余程酷いものでない限り殆どのねじを回せるようになりました。

この記事が、あなたのお役に立てれば嬉しいです。今回もご視聴ありがとうございました~!

動画解説はこちら↓

(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪

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