【ビギナーQ&A】原付で高速は絶対NG! もし間違えて高速道路に乗ってしまったらどうする?
●文:[クリエイターチャンネル]Peacock Blue K.K.
バイクごとの高速道路ルールは?
バイクは道路交通法上、大型自動二輪(大型二輪)/普通自動二輪(普通二輪)/原動機付自転車(原付)の3つに区分されます。50cc以下が原付、原付超え400cc以下が普通自動二輪、そして、400ccを超える排気量のモデルはすべて大型自動二輪となります。
一方、道路運送車両法においては、排気量が50cc超から125cc以下のものは「原付二種」と呼ばれます。原付二種と区別する意味で、排気量が50cc以下のものが「原付一種」とされます。
普通二輪/大型二輪と原付一種/原付二種、また原付一種と原付二種の間でも、公道を走行するうえでのルールに異なる点がいくつかあります。そのなかでも決定的に異なるのが、原付一種/原付二種は、高速道路の走行が認められていないことです。
排気量125cc超のバイクであれば、一般的なクルマと同じように高速道路を走行することが可能ですが、125cc以下の原付二種と原付一種は、いかなる区間であっても高速道路に乗ること自体が禁止されています。
原付一種と原付二種は、一般道路の法定速度が大きく異なり、原付一種は30km/hまで、原付二種は60km/hまでとなっています。この“60km/h”という法定速度は、一般道における普通二輪/大型二輪/クルマと同等の数値であることから、原付二種が高速道路を走行できると勘違いしてしまうケースもあるようです。
排気量125cc超のバイクに関しては、基本的にすべての高速道路を走行することが可能ですが、首都高速の一部の区間などではタンデム走行(二人乗り)が禁止されているなど、気をつけるべき点もあります。
首都高では年間400件も? 高速道路の“誤進入”
しかし、原付一種や原付二種による高速道路の誤進入は後を絶たず、毎年多く発生しています。SNSでも時折「高速道路に原付が!」といった趣旨の投稿が見られ、多くのユーザーが衝撃を受けています。
例えば首都高速では、歩行者や自転車も合わせて年間400件を超える誤進入が発生しています。これはあくまでも首都高速が確認できた件数であるため、未確認の事例も含めるとその数はさらに多くなると見られます。
そして、原付による誤進入はこのうちの約86%に及びます。これは1日に1件程度のペースであり、原付による誤進入がいかに多いかがわかります。首都高速やNEXCO各社では、看板や横断幕、カラー舗装などで出入口を強調するなどさまざまな誤進入対策を講じていますが、原付による誤進入は後を絶ちません。
その背景には、スマートフォンの普及も関係しているようです。スマートフォンなどのナビアプリに従って走行し高速道路に誤進入してしまったという事例は意外に多く、首都高速における自転車や原付の誤進入の約4割はこれが要因になっているといいます。
こうした危険を避けるため、原付に乗っている際にナビアプリを活用する場合は、あらかじめ高速道路の案内を避けるように設定しておく必要があります。そのうえで、ナビアプリの指示だけを頼りにするのではなく、標識や道路標示をしっかりと確認するように心がけなければなりません。
原付で高速道路に侵入した場合、通行禁止違反として2点の減点と5000円)原付二種は6000円)の反則金が科されることになります。
誤進入したらどうする?
では、万が一、原付一種や原付二種で高速道路に誤進入してしまった場合、どのように行動したら良いのでしょうか?
まず、高速道路に誤進入したことに気づいた場合、料金所やインターチェンジが近ければ安全に留意しながらそこまで走行し、係員に事情を伝えるようにしましょう。
本線上で料金所やインターチェンジなどが近くにない場合には、安全確認を行ったうえでバイクを路肩に止め、自身はガードレールの外側など安全な場所に退避します。その後、高速道路の路肩に設置されている非常電話を利用するか、自身のスマートフォンなどを活用して警察や高速道路の管制センターに連絡します。
非常電話は、本線の路肩に500m〜1km、トンネル内では200mの間隔で設置されています。受話器を取ることで自動的に管制センターなどに繋がるため、電話番号を入力する必要もありません。さらに、非常電話では電話をかけているおおよその位置も把握できるようになっているので、いま自分が高速道路のどのあたりにいるのか明確でなくても問題はありません。
電話が通じたら誤進入してしまった旨を伝え、電話先の指示に応じた対応を取るようにしましょう。基本的にはその場で待機し、係員や警察官が来るのを待つことになりますが、その際には常に身の回りの安全を確認しなければなりません。
待機する場所はガードレールの外が基本です。後続車に追突される危険があるため、乗車しながらの待機や、バイクに近い場所での待機は絶対にやめましょう。
当然のことながら、誤進入にすぐに気が付いたとしても、逆走して一般道路に戻ることは絶対にしてはいけません。高速道路ではなにがあっても逆走はNGです。速度域の高い状態でほかのクルマと正面衝突した場合、命の保証はありません。
誤進入に気が付いた際には、まずは焦らず状況を把握し、落ち着いた行動を取るようにすることが重要です。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(Q&A)
自賠責保険をカバーする任意加入の保険 自賠責保険との違い 任意保険は、自賠責保険と同じく、事故で生じた莫大な損害を金銭で解決するため仕組みではありますが、両者では賠償額および適用範囲が異なっています。[…]
スマートモニターとは? スマホ車載型との違い スマートモニターとは、バイクに取り付けることでライダーにさまざまな情報を表示してくれるバイク用ディスプレイです。 スマホとのWi-Fi接続によってナビゲー[…]
じつはベテランも毎回同じにできていない 半クラッチはブレーキやギヤチェンジに次いでリクエストの多い課題。その半クラ発進、じつはベテランでもその都度少し違ったクラッチミートになっていて、毎回ピッタリ同じ[…]
幼い頃、ファーストフードのドライブスルーを「自転車でもできるのかな!?」と想像したことがある。大人になった今となっては、もうそんなことはしないが、実際はどこまで可能なのだろうか? と考えたときに、ひと[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 旧車とネオクラシックの違い、そしてネオクラシックバイクの特長や選ばれる理由を、知り合いのバイク屋に聞いた。 旧車とクラシックバイクの違いは? ほぼ同じ意味合いで、設計が古[…]
人気記事ランキング(全体)
110ccベースの4kW制限モデル=新基準原付か 2025年11月の新排出ガス規制導入によって現行モデルの継続生産が困難になり、新たに110~125ccのモデルをベースとした車両に4kW(5.4ps)[…]
※タイトル写真は欧州仕様 デイタイムランニングライトにウインカーを統合 ホンダが新型「X-ADV」を国内でも正式発表。EICMA 2024で初公開されたもので、ヘッドライトまわりを含むフェイスリフトに[…]
“ヨシムラ”がまだ世間で知られていない1970年代初頭のお話 世界初となる二輪用の集合マフラーが登場したのは、1971年のアメリカAMAオンタリオでのレース。当時のバイク用マフラーは1気筒につき1本出[…]
モデルチェンジしたKLX230Sに加え、シェルパの名を復活させたブランニューモデルが登場 カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やS[…]
復活の軽二輪レトロは足着き性抜群、エンジンは大部分が専用設計だ 現在の国内メーカー軽二輪クラスでは唯一となるネオクラシック/レトロスタイルのモデルが待望の登場を果たした。 カワサキが以前ラインナップし[…]
最新の投稿記事(全体)
ひと昔のバイクは一年中暖機運転が必須でした 昔のバイク…と行かないまでも、1990年代末ぐらいまでのバイクは、一年中エンジンの暖気が必要不可欠でした。とくに2サイクルエンジン車は、冬はなかなかエンジン[…]
旅館の一室でFRP製ヘルメットを手探りで作り始めた 東京・新橋で経営していた旅館の一室で、創業者の鎌田栄太郎がFRP製ヘルメットの製作をはじめたのが今日のSHOEIのはじまりだ。 その旅館はホンダの社[…]
冬のUber Eats配達は過酷です。寒さと路面の凍結の両方と戦わなくてはいけません。しかし、それゆえに配達員が少なくなるため、やり方次第で1年を通してもっとも高額な収入を得られるチャンスの季節だと思[…]
110ccベースの4kW制限モデル=新基準原付か 2025年11月の新排出ガス規制導入によって現行モデルの継続生産が困難になり、新たに110~125ccのモデルをベースとした車両に4kW(5.4ps)[…]
トラベル・エンデューロの最高峰に自動クラッチ制御が装備! BMWモトラッドのロングセラーモデルであるGSシリーズ。その最上位モデルにあたるのがGSアドベンチャーだ。初代モデルの登場は’02年のR115[…]
- 1
- 2