
ファンティックが新しく導入した460㏄の新型エンジンを搭載するキャバレロ・シリーズ。デビューし7年目にして初めてフルモデルチェンジが実施された!そんなキャバレロの実力を、モーターサイクルの世界で、トップクラスの豊富な経験を持つ国際ジャーナリストのクラウス・ネネヴィッツ(Klaus Nennewitz)氏に語っていただいた。
●文&写真:モータリスト ●まとめ:高橋祐介 ●BRAND POST提供:MOTORISTS ●BRAND POST提供:モータリスト
伝統のスクランブラースタイルを貫く「キャバレロ」
「スクランブラーはオフロードモデルが登場するまでの間、自由を謳歌するライダーたちのアイコンであり、特に1950-60年代のアメリカで隆盛を誇ったモデルだ。とりわけアメリカ西部の原野や砂漠で、オフロード・タイヤを装着し、マフラーを引き上げて、マッドガードを取り付ける。そうすれば簡単にそうした冒険に分け入ることができ、夢をかなえてくれる道具だった」と、クラウス・ネネヴィッツは開口一番、そう語った。
多くのモーターサイクルをインプレッションをしてきた、クラウス・ネネヴィッツ氏からファンティック、そしてキャバレロの歴史について話してもらった。
当時免許を持たない14歳の若者でも乗れるように設計された50ccの「ボーイズ・スクランブラー」として、1969年のミラノショーで発表されたFantic Caballero TX9
「ファンティックは、1969年にはスクランブラースタイルをキャバレロ50としてヨーロッパに導入したブランドである。その後、紆余曲折を経てファンティックが2014年に再生すると、2016年に今に続く新しいキャバレロが登場した。続いて125、250、500㏄へとラインアップを拡大して、イタリアはベネト州にある『ファンティック』の魅力を引き立てる役割を担ってきた」
「だが、キャバレロ・シリーズも競合が増えてきている。とりわけスタイルは中国からの安価な刺客に真似られ、またEURO-5+という新しい環境規制への対応も迫まれている。そんな中で、ラインアップのブラッシュアップをする必要に迫られたのだ」
Motori Minarelli社が設計・製造を行う新型エンジンMM460
「モデルチェンジのために、エンジンは2021年にファンティック帝国の一員となった、ボローニャにほど近いモトーリ=ミナレッリが設計をしている。もちろん、このエンジンの製造もミナレッリが担っているのだ」
ブラッシュアップされた牙を研いたエンジンと進化した電子制御
Caballero500 Rally
今回、ブラッシュアップによって具体的に何が変わりましたか?
「新型エンジンは2本のオーバーヘッド・カムシャフトを備え、燃焼を改善するとともに、最高出力は8,000回転時で44HPを発揮する。旧型と比較しても、6HPもの出力向上を得ることとなった。最大トルクも2Nmほど高まり、最大42Nmを7,000回転で発揮する。エンジンマネジメントは、アクセルはライド・バイ・ワイヤ―を採用し、『ストリート』と『オール・テレイン』の2つのモードを選択できるようになった」
エンジンのパワーを受け止める足回りとアクセルの状態を電気信号で管理するライド・バイ・ワイヤーだ
「オール・テレイン・モードはABSのキャンセルも可能にしている。だがトラクションコントロールは用意せず、エンジンパワーを存分に使いこなせる仕様だ。出力の向上に合わせ、エンジン温度を安定すべく新たにオイル・クーラーも追加されている」
Caballero500 Rally
「さらに触れると、フルアジャスタブルの倒立式43㎜系のフロントフォークと、同じくフルアジャスタブルのリアショックユニットはそれぞれ200㎜のホイールトラベルを誇っている。ハンドルバーの高さも引き上げられた新型Rallyは、これまで以上のオフロード走破性を得たうえに、マラソン・レイドでも楽しめる仕様となった」
「新型のエキゾーストシステムは、これまでのモデルよりも右側への張り出しが控えめになりポジションが改善。スタンディング・ポジションでのライディングがさらにやりやすくなった。一方、燃料タンクはこれまでと変わらず、LEDの灯火類もスタイルを変更させつつオリジナル装備品として用意されている。細かなパーツの基本は新型エンジンとフレームの登場に伴ってアップデートされていた」
Caballero500 Rally
「新型のシートの快適性は、座ればすぐにわかるレベルで特筆すべき美点の一つ。高反発性の素材を用いた新型シートは、かつてのようなコシがないまでの柔らかさはない。だが、ライダーとマシンとをつなぐ存在であるシートはマシンの操作感を向上させ、とりわけ長距離の走行では快適に感じられる」
Caballero500 Rally
「シート高はRallyで860㎜と高いが、視界の良さも高い評価ポイントだった。ハンドルバーはキャバレロ700より幅が狭く、扱いやすい。ミラーは簡単に可倒できる優れものだ」
Caballero500 Rally
「キャバレロ500に搭載されるエンジンは、これまでとは比較できないほど洗練されていた。雑味のないノイズ、アルミ製シフトレバーによるしっかりとしたギアタッチ、簡単にニュートラルも出る」
Caballero500 Rally
「実際に試乗すると、エアボックスから発する吸気音がフルスロットルにするとややノイジーで、それだけに低回転域での鼓童感の向上も感じやすい。新しいエンジンは非常にコントロールしやすくトルキーで、信号でも簡単にウィリーを決めることができる」
キャバレロ500はスムーズでパワフルなエンジンと軽量シャーシがGOOD!
インプレッションしてみて、キャバレロにどのような感想を持ちましたか?
「キャバレロはやはりライディングの楽しさにあふれていて、もうそれは何物にも代えがたいレベルといっていいほど。サスペンションも大きく進化し、フロントフォークはハードブレーキングでも激しくボトムすることがなくなった。これまで以上にプログレッシブな挙動が前後ともに与えられているように感じられた」
Caballero500 Rally
「さらに、シフトフィールが非常によく簡単かつ確実だった。これは、オフロード向けにショートなギア比が用意された1速のため、2速からの発進は豊かなトルクもあって非常にやりやすい。エンジンがスムース高回転まで回り、レブリミットまで単気筒独特の大きな振動もないままに吹け上り、トルクやパワーの谷が感じられない。おかげで100㎞/hちょっとくらいの走行は文字通り快適そのものだった」
「不足があるとしたら小さなウインドスクリーンくらいで、それさえ気にしなければRally500は本格的なアドベンチャーモデルといっていい仕上がりだろう。オフロードを含んだ試乗コースでは、キャバレロ500のハンドリングや操作性は特筆すべき素晴らしい点があった。それが150㎏という軽量さで、キャバレロのキャラクターを決定づけており、旧型から重量増はせずに装備は豪華になっているのだ」
Caballero500 Rally
「ファンティックのエンジニアは、新型のボディ・コンポーネンツの一つ一つを最適化することに十分に気を使った設計を行ったものと思われる。エンジンとスロットル・ボディの合計重量はわずか42㎏に過ぎないのだ。このスペックを聞いただけでも、マラソン・アドベンチャーツアーの一員に加わったとしてもキャバレロ・ラリーが飽きることなく楽しいパートナーでいてくれることが容易に想像できるというものだ」
「キャバレロ・スクランブラー500は、ストリートを走行する一般的なライダーにとってはさらに魅力的なマシンといっていい。サスペンション・トラベルは前後ともに150㎜に抑えられるが、シート高も820㎜と低く、快適なツーリングが楽しめることは間違いないだろう」
「その最大の魅力はやはり新型のエンジンによるところが大きい。全体のパフォーマンスは明らかに向上しており、世界中のどのシングル・エンジン・オールラウンダーと比べても間違いなくトップレベルに位置づけられるマシンに仕上がっている」
「マシン全体のエルゴノミクスは向上し、品質も大いに向上した。そう、キャバレロ500は今や成熟したモーターサイクルなのだ。ストリートを多く走るなら選択はスクランブラーで間違いないだろうし、オフロードを好んで走るライダーにはラリーがうってつけである」
ファンティック キャバレロ500・シリーズ 諸元
- 最高出力:44hp/8,000rpm
- 最大トルク:42Nm/7,000rpm
- エンジン:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ
- ボアxストローク:96×64(mm)
- 排気量:463cc
- 圧縮比:12.5:1
- 吸気径(インテークマニフォールド):46mm
- エキゾースト:EU5+排気システム
- クラッチ:湿式多板クラッチ+アンチホッピング機構付き
- ミッション:常時噛合式6速トランスミッション、二次減速はチェーン
- シャーシ:クロモリ鋼製チューブラー・フレーム
- フロントサスペンション:倒立式テレスコピック式フォークφ41mm(ラリーφ43mm)
- スプリング・トラベル:150mm(ラリー200mm)
- リアショックユニット:フルアジャスタブル150mm(ラリー200mm)
- ホイール:スポークホイール
- フロントタイヤ:110/80R19(ラリー90/90R21)チューブタイヤ
- リアタイヤ:140/80R17チューブタイヤ
- フロントブレーキ:φ320mmシングルディスクブレーキ+4ピストンラジアルキャリパー
- リアブレーキ:φ230㎜フローティングディスク+シングルピストンキャリパー
- ホイールベース:1426mm(ラリー1455mm)
- ステリングヘッドアングル:24.5度、トレール118mm(ラリー113mm)
- シート高:820mm(ラリー860mm)
- 燃料タンク容量:12L
- ガソリン抜き重量:150kg
- 基本装備:電子制御スロットル(ライドバイワイヤー)、3.5インチTFTディスプレイ、2種のライディングモード、キャンセル可能ABS、LEDの灯火類。
- メーカー希望小売価格: Caballero500 Rally:1,400,000円、 Caballero500 Scrambler:1,290,000円、 Caballero500 Scrambler DEULUXE:1,340,000円
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