【CB750Fファン垂涎の品】経年劣化するキャブのオーバーホールに必須のエアカットバルブとオーバーフローパイプセットが登場

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エンジンやマフラーのカスタムやコンディションの変化に応じて純正キャブレターのセッティングを変更できる燃調キットは、キャブレター車オーナーにとって守護神的な存在として愛用されています。一方で絶版車のキャブレターの状態は千差万別で、中には燃調キットだけでは不調が改善しない場合もあります。そんなキャブレター向けに新たに製品化されたのが「エアカットバルブ付き燃調キット」と「オーバーフローパイプセット」です。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

走行中にスロットルバルブを閉じた際のアフターファイヤーを軽減するエアカットバルブとは

ケーヒンCVKやミクニBSTに代表される負圧式キャブレターは、スロットルワイヤーで開閉するバタフライバルブとエンジンの負圧によって開閉するバキュームピストンが連動することで混合気を作り出しています。

スロットルを低開度からいきなり大きく開いても、エンジン回転が上昇して負圧が充分な値に達するまではバキュームピストンが開かないためベンチュリー内径の変化が少なく、その結果カブリも少なく扱いやすいのが特徴。

ビギナーからベテランまでさまざまなライディングスキルのライダーが使用する市販車では一般的な仕様でした。そんな負圧式キャブレターに装着されたデバイスのひとつに「エアカットバルブ」があります。

エアカットバルブのゴム製ダイヤフラムが劣化すると、2系統あるスローエア通路は常時2系統とも開いたままになり、走行中にスロットルを戻してバタフライバルブが閉じるとスロー系の混合比が薄くなりアフターファイヤーが発生する原因となる。

これは走行中にスロットルを閉じた際にマフラーから「パンパン」と破裂音を発するアフターファイヤーを軽減するための装備です。アフターファイヤーが発生する原因には混合気が濃い場合と薄い場合がありますが、スロットルを閉じた際のアフターファイヤーは混合気が急激に薄くなることで発生します。

エアカットバルブはキャブレターのスロー系のエア通路に組み込まれており、バタフライバルブが開いて通常走行をしている時はキャブ本体のスローエア通路と並行してスロージェットに負圧を供給します。つまり走行時のスローエア通路は2系統あるわけです。

そしてバタフライバルブが閉じてエンジン側の負圧が大きくなると、エアカットバルブ側のスローエア通路が閉じて1系統だけになることで、スロージェットから供給される混合気が濃くなってアフターファイヤーを抑止します。

ホンダCB750FB/FC(RC04)用燃調キット&エアカットバルブセットは、以前から販売されていた燃調キットに新たにエアカットバルブを加えたセット品。燃調キット1気筒分が税込4,400円でエアカットバルブを加えたセットは1気筒分税込6,050円。CBは4気筒なので4セット必要。減速時にアフターファイヤーが発生するキャブはエアカットバルブ交換が必須だが、具体的な症状が出ていなくても経年劣化を勘案してオーバーホールを行うならエアカットバルブも新調したい。

CB750FB/FC(RC04)用燃調キットの内訳。サイズが異なるパイロットジェットやメインジェット、ジェットニードルによって純正キャブのセッティングが可能になると同時に、摩耗や破損しやすいニードルジェットやパイロットスクリュー、経年劣化でシール性が低下するOリングやフロートチャンバーガスケットのゴム部品など、オーバーホールに有効なパーツも多い。

エアカットバルブの作動不良がアフターファイヤー増加につながる

エアカットバルブはすべてのキャブレターに装備されているわけではありませんが、エアカットバルブ付きキャブはバルブが正常に作動することを前提に設計され、セッティングされています。エアカットバルブは薄くて柔軟性のあるゴム製のダイヤフラムとバルブ、スプリングで構成されており、キャブレターに生じる負圧の変化によってスローエア通路を開閉します。

ダイヤフラムが長年に渡って作動するうちにゴムの薄膜が劣化して切れたり穴が開くと、エアカットバルブ側のスローエア通路は開いたままで閉じなくなります。するとバタフライバルブが閉じてもエアカットバルブ側のスローエア通路が閉じず、スロージェットから供給される混合気が薄くなることでアフターファイヤーが発生する原因となります。

スロットルを戻した時にマフラーからアフターファイヤーが発生する場合、スロー系が薄いと考えるのが妥当なので、パイロットスクリューを多く戻したりエアースクリューを閉じたり、場合によってはスロージェットのサイズアップも考慮するかも知れません。

しかしエアカットバルブ付きキャブでエアカットバルブに不具合がある場合、それらの調整はスロットルオフ時のアフターファイヤー軽減には効果的かも知れませんが、通常走行時のスロー系セッティングを濃くする方向に働くため、スロットル低開度領域でカブリの原因になる場合もあります。

つまり、エアカットバルブの不具合でアフターファイヤーが発生する場合は、エアカットバルブを修理するしか正解はないのです。

エアカットバルブとカバーの間にはスプリングが組み込まれており、通常走行時はスローエア通路を開く方向に張力が加わっている。バタフライバルブが閉じてエンジン側の負圧が大きくなると、ダイヤフラム左の小さなOリング部分から負圧が吸い出されてスプリングを縮めながらダイヤフラムがカバー側に吸い寄せられ、裏側のバルブがスローエア通路を閉じることで濃い混合気がエンジンに流れる。

エアカットバルブ付きが追加された燃調キットに注目!

キースターの燃調キットはメーカー純正キャブレターのセッティング変更を可能とするキットとして絶版車オーナーに頼りにされている人気製品です。先に述べた通り、エアカットバルブはすべてのキャブに装着されているわけではありませんが、純正でエアカットバルブを装備するキャブレター向けに、新たにエアカットバルブ付きキットが発売されました。

ここで紹介するのはホンダCB750F用キットで、これ以外にホンダではCB900F、CB1110FのCB-Fシリーズ用、6気筒のCBX用があり、カワサキではZ1000J/R、Z1300用などをラインナップ。ミドルクラスでもヤマハSXR250やTW200、セロー225やトリッカーなどエアカットバルブ付きキャブレター用の製品を発売しています。

既存の燃調キットも引き続き販売されているので、エアカットバルブ「有り」と「無し」を選択できますが、ホンダCB-F系やカワサキZ1000J/Rなどは製造から40年以上経過していることを考慮すれば、経年劣化が避けられないエアカットバルブは交換しておいた方が無難であることは間違いないでしょう。

特にスロットルオフ時のアフターファイヤーをパイロットジェット交換で解消しようと考えて燃調キットを購入するのであれば、アフターファイヤーの真の原因はエアカットバルブではないか?と疑うことが症状解決の近道になるかも知れません。

4連キャブレターの場合、エアカットバルブを交換するためには4個のキャブをバラバラに分割しなくてはならないため、作業が大がかりになり作業スキルも必要になります。それでもエアカットバルブの不具合で本調子が出ない絶版車用キャブレターにとっては、新たなキットの登場は朗報となるはずです。

1980年代のバイクブームの勢いを受け、ナナハンクラスのベストセラーとなったCB750Fシリーズは、同年代の原付や中型クラスと違って市場での現存数が多い機種である。チューニングやカスタムでスペシャルキャブレターに交換された車両もあるが、ノーマル状態で大切に扱われてきたものも多い。それでも経年劣化は年月によって進行するので、純正キャブの要点のひとつであるエアカットバルブのコンディションには配慮すべきだ。

上がりすぎた油面を正常化するために重要なオーバーフローパイプ

エアカットバルブ付き燃調キットと並んで新発売されたユニークな製品が「オーバーフローパイプセット」です。フロートチャンバー底部に圧入されたオーバーフローパイプは、万が一フロートやニードルバルブやバルブシートにトラブルが生じてフロートチャンバー内の油面が過度に上昇した際に、余計なガソリンをキャブの外部に排出します。

仮にオーバーフロー機構がない状態でフロートチャンバー内の油面が上がり続ければ、ベンチュリー内にガソリンが浸入してエンジンやエアクリーナーボックスに流れ込むリスクがあります。

ケーヒンCVKのように、設計時点からオーバーフローパイプを装備していないキャブレターもありますが、想像以上に重要な役割を果たしているのです。

純正サイズのオーバーフローパイプと打ち込み治具がセットとなったオーバーフローパイプセット。ホンダCB750FZ~FC用ケーヒンVBキャブレター(キャブレター号機VB52BB/VB52EA/B52EB)は1セット税込4,400円、ホンダホークⅡ系やGL系のケーヒンVB2気筒車用、カワサキW1S~W3用は1セット税込2,750円。

オーバーフローパイプが破損すると油面が下がって不調につながる

経年劣化や腐食によって金属製のオーバーフローパイプに穴が開いたり亀裂が入ると、フロートチャンバー内の油面の高さが正常値より低い状態でガソリンが漏れ出します。

油面が上がらずフロートバルブが閉じないため、燃料コックが重力式ならばレバーをオンにすると同時にフロートチャンバー底のドレンパイプからガソリンが流れ出し、負圧式コックならエンジンを始動してコックが開くとガソリンが流出します。

またパイプの破損位置によっては、ガソリンが漏れる上に油面が低すぎてエンジンが始動できない場合もあります。絶版車の場合、フロートチャンバーを何度も着脱する間にオーバーフローパイプをどこかにぶつけて折ってしまうこともあります。それに気づかず中古品を手に入れてしまい、ガソリン漏れに悩むユーザーも少なくありません。

純正キャブのオーバーフローパイプは非分解設定で、純正部品の設定はありません。パイプの側面に亀裂が入った場合は、ハンダを流して塞ぐこともできます。しかし根元から折れてしまった場合には対処できません。

部品が販売終了になっていることが多い絶版車の場合は、オーバーフローパイプが使える中古部品を探して交換するというのが一般的な対処方法でした。

フロートチャンバーの底部に圧入されたオーバーフローパイプは、ボディとの合わせ面よりいくらか上まで伸びている。フロート内のガソリン油面がパイプの上端を超えるとパイプから外部に排出されることで、混合気が過剰に濃くなることを防止する。オーバーフローパイプはすべてのキャブレターに装備されているわけではなく、そもそも付いていないキャブもある。

傷んだオーバーフローパイプを交換する「オーバーフローパイプセット」

キースターのオーバーフローパイプセットは、劣化や破損した純正オーバーフローパイプを交換するパーツです。

第一弾としてリリースしたのはホンダCB750Fシリーズ(FZ~FC)ケーヒンVB4気筒車用、ホンダホークⅡ系やGL系のケーヒンVB2気筒車用、カワサキW1S~W3用の3種類です。いずれもパイプ外径と全長は純正と同一で、古いオーバーフローパイプを取り除いてセット付属の打ち込み治具を使って圧入します。

工程はシンプルですが、古いオーバーフローパイプがスムーズに抜けるか否かによって作業の難易度は大きく変わります。経年変化によりパイプの圧入が甘くなっているフロートチャンバーであれば、ペンチやプライヤーなどで比較的容易に引き抜けることもあります。

しかし簡単に抜けないパイプをプライヤーで掴むと途中で切断してしまう場合もあり、根元から折れたパイプはそもそも掴めません。

この場合はボール盤を使って折れ残ったパイプを取り出します。CB750F用の場合、パイプ外径がφ3mmなので3mmのドリルで垂直に穴を掘ることで、残ったパイプの先端部分を取り出すことができました。

ハンドドリルで作業できなくもないのですが、刃が傾くとフロートチャンバー側の下穴が拡大してパイプがガバガバになるので、ボール盤を活用した方がリスクを低減できます。

古いパイプを抜く際にテクニックが必要なものの、純正パイプと同じ寸法で製作されたキースター製オーバーフローパイプを圧入するのは難しいことではありません。

真鍮パイプは柔らかくデリケートですが、付属の打ち込み治具を使えば先端を潰したり途中で曲がったりすることなく圧入できます。また治具の先端がフロートチャンバーに当たるまで圧入すれば、パイプの突き出し量は純正と同じになるので、微調整も不要です。

キャブセッティングにとって基準となるフロート内油面の高さが、オーバーフローパイプの状態次第で変化することを知れば、オーバーフローパイプセットの有効性を理解頂けると思います。

腐食などでパイプの圧入部分が痩せている場合は、プライヤーなどで引き抜くことができる場合もある。一方、圧入状態が良好で強固な場合、プライヤー強く掴むとパイプが潰れて切断してしまうこともあるので要注意。

フロートチャンバー側が無傷なら圧入部分からガソリンが漏れることはないが、念のため圧入前のパイプ先端に耐ガソリンタイプの液状ガスケットを塗布しておく。

打ち込み治具をパイプにかぶせてハンマーで軽く叩いて圧入する。治具の先端がフロートチャンバーに接触するまで圧入すれば良い。

真新しいオーバーフローパイプが輝くフロートチャンバー。パイプに穴が開いたり折れたりしたフロートチャンバーも再使用できるのは、絶版車ユーザーにとって朗報だ。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。