
今年2026年にブランド創立125周年を迎えたアメリカンブランド/インディアン・モーターサイクル。そのラインナップの中核をなすのがScoutシリーズだ。2014年に水冷エンジンを搭載した新生Scoutが登場以来、その累計販売台数は10万台を超える。そして2024年にScoutはフルモデルチェンジした。今回は、そのScoutシリーズの中から「101Scout」を紹介する。
●文:河野 正士 ●写真:山内潤也
クルーザーで、スポーツする!?
久しぶりに走らせたインディアン・モーターサイクル(以下インディアンMC)のパフォーマンスクルーザー「101 Scout(ワン・オー・ワン・スカウト)」は、やっぱり気持ちの良いスポーツバイクだった。ロー&ロングの車体にVツインエンジンを搭載する、かつて“アメリカン”と呼ばれたバイクがスポーツバイク!? と思うかもしれないが、101Scoutは紛れもなくスポーツバイクだ。そのスポーツは、スーパーバイク世界選手権を戦う1000ccスポーツバイクのそれとは違う。しかし高回転域までしっかりとエンジンを回して加速感を楽しみ、バーンッバーンッとシフトダウンしブレーキングしながら減速し、サッと車体を寝かせてコーナーをクリアする。101Scoutは、そんなスポーツライディングにエンジンも車体もしっかりと応える。スポーツできるのだ。
スポーツできるエンジンとフレーム
それには理由がある。まずエンジンだ。2024年にフルモデルチェンジを受けたScoutシリーズは、SpeedPlus(スピードプラス)と名付けた、排気量1250cc水冷60度V型2気筒4バルブDOHCエンジンを採用。最高出力105HP、最大トルク108Nmを発揮する。101Scoutは、全8モデルがラインナップされるScoutファミリーの最高峰モデル(内Scout Sixtyの2モデルは排気量999cc)であり、ECUのセッティング変更のみで最高出力111HP、最大トルクは109Nmへとパワーアップしている。このSpeedPlusエンジンは3000回転付近で最大トルクの約80%を発揮するスーパーフラットなトルク特性が特徴だが、101ScoutはスタンダードのSpeedPlusエンジンに比べ、低中回転域でのトルクは平均して10%程度分厚くなっている。
数字上の変化はわずかだが、クラッチを繋ぎ車体が動き始めた瞬間から、その数字以上の効果を体感することができる。鼓動感は感じるものの振動が少なく、回転上昇も速い。とくに4000回転以降のパンチ力は強烈で、アクセル操作に対する車体の反応がより明確になり、それにより約240kgという車体をワインディングで軽々と切り返すための強い武器となる。
シャシー周りも、ひとあじ違う。2024年にフルモデルチェンジを受けたとき、それまでのアルミフレームからスチールチューブフレームに変更。スイングアームピボット周りやリアフェンダー内に隠れているリアフレームをアルミキャスティングで製作している。燃料タンク前方から見えるステアリングヘッド周りのパイプレイアウトを見るとクラシカルなフレームに見えるが、ロー&ロングのクルーザーらしいスタイルを維持しながら、進化した水冷Vツインエンジンを走らせるために、最先端の解析技術や開発哲学を用いた、とてもモダンなフレームなのだ。
またリアショックを大きく傾けることでフレームラインと繋げ、ステアリングヘッドからリアホイールアクスルまでを美しい曲線で結ぶ、ハードテイルフレームのようなラインを作り上げている。この大きくレイダウンさせたリアショックのレイアウトは、2014年にデビューした旧Scoutシリーズから採用されている。かつて開発陣にインタビューした際に、この様なレイアウトでリアショックをしっかりと機能させるのは決して簡単ではない、と話していたが、インディアンMCはそれを実現し、より排気量も車体も大きな空冷V型2気筒OHVエンジンを搭載するChief(チーフ)シリーズにも同様のレイアウトを採用。クラシカルなスタイルから、クラブスタイルと呼ぶ流行のスポーツ・クルーザーのカスタムスタイルでも、それをしっかりと機能させている。
そのScoutシリーズに共通するシャシーに加え、101Scoutは調整機構付き倒立フォークやリアショックユニット、ダブルでセットしたブレンボ製フロントブレーキシステムを採用して走りを強化。ホイールやシートなど専用装備を採用している。
Scoutは100年前もスポーツモデルだった
これらのトピックスからも分かる通り、101Scout、強いてはインディアンMCは懐かしさを売りにしたクルーザーでもブランドでもない。そもそもScoutというモデル名は1920年に登場。当時インディアンMCは1000ccVツインエンジンを搭載した「Power Plus(パワープラス)」というモデルをすでにラインナップしており(のちに1000ccツインはChiefシリーズへと発展)、そこに登場した排気量606cc(のちに745ccに排気量アップ)Vツインエンジンを搭載したScoutはライトウェイト・スポーツモデルという位置づけだった。したがって、その後に発表されるScoutシリーズは、パフォーマンス向上の新技術がドンドン投入され、当時のインディアンMCの中でも、もっとも進化したモデルシリーズであった。ユニークなのは、2011年にインディアンMCが米国のポラリス傘下で再スタートしたとき、真っ先に登場した新型車「Chief Classic(チーフ・クラシック)」が空冷OHVエンジンにスチールフレームというオーソドックスな車両構成であったのに対して、後にデビューした「Scout」は水冷DOHCエンジンにアルミフレームというモダンな車両構成であったことだ。初代Scoutが登場してから90年という時間が経過したにも関わらず、インディアンMCにおけるScoutの立ち位置は、依然としてモダンやスポーツであったのである。
さらに扱いやすくなった中低速
また現行Scoutシリーズは、2026年初旬よりECUのキャリブレーション(エンジンをコントロールする制御ユニットの書き換え)が行われている。これはフルモデルチェンジを受けた2024年モデル以降が対象で、すでに販売された車両へのキャリブレーションも可能。新車で販売されるScoutシリーズには、キャリブレーション済みとなっている。これが101Scoutのダイナミックな走りを、さらに力強くしている。とくに極低回転域でのアクセル操作に対するエンジンの反応が良くなり、中低速域での扱いやすさが増している。
フロント19インチ/リア16インチという前後ホイールサイズに、6インチという高いライザーにバーハンドルをセットした101Scout。それはアメリカで人気の、クラブスタイルという、スポーツクルーザーのカスタムスタイルだ。低く構えた車体に座り、高いハンドル越しにコーナーを狙ってアクセルとハンドルを操作し、コーナーリングや加速のGを腰で受け止めていくスポーツライディングは、スーパースポーツやネイキッドとも違う、101Scoutにしかないスポーツ感覚だ。未経験のライダーには、ぜひ一度味わうことをおすすめする。
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排気量1250cc水冷60度V型2気筒4バルブDOHCエンジンを採用。旧モデルからボアを広げて排気量を拡大している。レイン/スタンダード/スポーツの3つのライディングモードを採用。101スカウトのみECUのセッティング変更で111HPを発揮
2 in 1の排気管。太く、まっすぐに伸びるサイレンサーには「Indian」のロゴが入る。リアブレーキはディスク径298 mmセミフローティングローターに1ピストンキャリパーをセット。クルーザーはリア周りが重い設計のため、制動力とコントロール性を高めるため、大径ディスクが採用されている
2024年のフルモデルチェンジ時に、アルミフレームからスチール鋼管+スイングアームピボット周りやリアフェンダー内に隠れているリアフレームをアルミキャスティングで製作するハイブリッドフレームに変更
このシート下にあるサイドカバーは、ミッドフレームと呼ばれる、スイングアームピボットほかリア周りを構成するアルミキャスティング製のリアフレーム
フロントにはインナーチューブ径43mmフルアジャスタブルタイプの倒立フォークをセット。切削加工が施された19インチフロントホイールに、ラジアルマウントタイプのブレンボ製4ポットキャリパーと320mm径ブレーキディスクをダブルでセット
16インチのリアホイールはベルトドライブで駆動する。給油などの必要がないベルトドライブはメンテナンス性優れるほか、騒音も少ないのが特徴だ
フロントフォーク上部にセットされた減衰力の調整ダイヤル。走行中にセッティング変更することは難しいが、簡単な工具を用いて調整が可能だ
ピギーバッグタイプのリアサスペンションも伸側/圧側の減衰力に加えプリロードの調整も可能。この前後サスペンションのグレードアップは誰もが体感できるもので、調整機構を利用してさらなるパーソナライズも可能だ
クウォーターフェアリングと呼ばれる、ハンドルマウントのカウルを装着。長距離走行およびに高速走行時に高い防風性を発揮するとともに、スポーティなスタイリングを造るキーアイテムでもある
この燃料タンクの形状やセンターコンソールのデザインも、2024年のフルモデルチェンジ時に変更されたもの。張りのある面構成とエッジを絶妙にバランスさせ、モダンなスタイルを作り上げている
6インチライダーを標準装備。トップブリッジから伸びるハンドルライザーによって、ハンドルを高い位置にセットするトレンドのライディングスタイル。ダイレクト感もあり、操作性は良好
バーハンドルと6インチライザー、燃料タンクと丸型ディスプレイとの関係がよくわかる。ハンドルバーはやや前方にあり、腕を大きく前に伸ばしてグリップを握る
101Scoutの専用装備であるガンファイターシート。シート後端がリアフェンダーに伸びる流線型が特徴。シート面が広く、加速時に体をシートに預けやすい形状だ
短く切ったリアフェンダーの内側にアルミ製サブフレームを採用。それによりタンデムにも対応する高い強度を持ちながら、フェンダー外側にフレームが見えないすっきりとしたリア周りのデザインを実現
直径4インチ、タッチスクリーン式カラーディスプレイを採用。メイン画面は2種類から選択可能だ。この画面は中心に速度をデジタル表示し、その周りをデジタルの針式エンジン回転計で囲むシンプルタイプ
ディスプレイは、グローブをしたまま画面をタッチし、ライディングモードなど各種セッティング変更が可能だ。Bluetoothを介してスマートフォンと接続可能で、さまざまな機能と連携することも出来る
101Scout 仕様諸元
101Scout
- ホイールベース 1,562mm
- シート高 654mm
- 車両重量 240kg
- エンジン形式 水冷4ストロークDOHC4バルブ挟角60土V型2気筒セミドライサンプ
- 総排気量 1,250㏄
- ボア×ストローク 104.0×73.6mm
- 圧縮比 12.5:1
- 最高出力 82kW(111hp)/7,250rpm
- 最大トルク 109Nm/6,300rpm
- 燃料供給方式 FI
- 燃料タンク容量 13L
- レイク角 29度
- トレール 123mm
- フレーム スチールチューブフレーム
- サスペンション(前・後)インナーチューブ径43mmセミカートリッジ式倒立タイプ/伸側圧側減衰力およびイニシャル調整/150mmトラベル・ピギーバックタイプショックユニット×2/伸側圧側減衰力およびイニシャル調整&76mmトラベル
- 変速機形式 6速リターン
- ブレーキ形式(前・後)320mmダブルディスク×ブレンボ製ラジアルマウント4ピストンキャリパー・298mmシングルディスク×ワンピストンキャリパー
- タイヤ メッツラー製Cruistec
- タイヤサイズ(前・後)130/60B-19 61H・150/80-16 77H
- 価格 ¥2,680,000から
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