バイク エンジン かからない原因と対処法|セルが回る・回らない・キック式のチェックポイント

バイク エンジン かからない原因と対処法|セルが回る・回らない・キック式のチェックポイント

バイクのエンジンがかからないトラブルは、ライダーなら誰もが一度は経験する悩みです。セルが回るのにかからない、セルすら回らない、キックしてもかからない……。その原因はさまざまですが、落ち着いて確認すれば自分で対応できるケースもあります。本記事では、症状別に原因と対処法をわかりやすく解説します。


●文:ヤングマシン編集部(カイ) ●写真:橘 祐一

バイク エンジン かからない原因を症状別に解説

さあ、ツーリングに出かけよう! 荷物をシートにくくりつけ、ヘルメットとグローブを装着してキーをシリンダーに差し、セルスイッチをプッシュ……え、エンジンがかからない!?

あるいはコンビニで一服して、そろそろ走り出すかとキック一発……え、何回蹴っても火が入らない!?

そんな目に遭ったライダーはたくさんいるでしょう。かく言う筆者も経験者です。出発前なら一気に萎えるし、出先で途方に暮れて夕日を眺め続けたことも度々……。

これからツーリングを楽しもうとしているビギナーはもちろん、過去にエンジンがかからず焦ったことのあるベテランも、焦ってドツボにはまる前に是非この記事に一度目を通してください!

セルが回るのにエンジンがかからない場合

エンジンがかからない場合、症状を切り分けると原因を把握しやすくなります。例えばセルが回るのにエンジンがかからない場合は、以下の原因が考えられます。順番にチェックしましょう。

・燃料系のトラブル(ガソリン不足・フューエルホースの詰まり)
・スパークプラグの不良/点火不良
・インジェクションシステムの不具合
・エンジン内部の圧縮不良

キーをシリンダーに差し、イグニッション位置に回した際にメーターの各種インジケーターが光るか、リレーが動く音が聞こえるか確認。キーシリンダーそのものにトラブルがあるケースも有る。

セルが回ってもエンジンがかからないからといって、原因が掴めないうちにセルを回しすぎるとバッテリーが上がってしまうことも。また車種によってはクラッチレバーを握ってセルを回さないとエンジンがかからないケースもある。

セルが回らない場合

そもそもセルをプッシュしてもうんともすんとも言わない場合もあります。そんな時は下記の原因を疑って確認していきましょう。バッテリー上がりは特にメジャーなトラブル原因です。

・バッテリー上がり
・スターターリレーやスイッチの不良
・ヒューズ切れ
・サイドスタンドやクラッチスイッチの作動不良

キック式バイクでエンジンがかからない場合

続いてキックスターターでキックしてもエンジンがかからない場合は、下記の原因が考えられます。疲れてくるとキックスターターを蹴る力が普段より弱まってかかりにくくなったりします。

・キックの踏み方が甘い/始動手順ミス
・スパークプラグのかぶりや劣化
・キャブレターのトラブル

意外と多いのがキルスイッチが原因でエンジンがかからないケース。普段、キーをオフにしてエンジンを止めている人ほど陥りやすい罠で、初心者はもちろんベテランでも気づかずパニックに陥ることもある。エンジン不動時は真っ先に確認したい。

自分でできるチェックポイントと対処法

続いては、エンジン不動時に自分でできる原因の確認フローがこちら。順番にひとつひとつ確認していけば大概のケースに当てはまるので、落ち着いて対処しましょう。

セルが回る場合の確認手順

・燃料が十分に入っているか確認
・スパークプラグの状態確認(外して火花チェック)
・インジェクション車の場合はエラーランプ/警告灯確認

ガス欠も意外と多いトラブル原因。フューエルキャップを外して残量があるか確認。その際、絶対ライターの明かりで覗こうとしないこと! スパークプラグは焼けすぎて白くなっていたり、逆にガソリンで真っ黒に濡れている場合もエンジン不動の原因になる。

セルが回らない場合の確認手順

最近のバイクはハイテクが進んでほぼ電子制御の塊。バッテリーが弱るとすぐにエンジン不動に陥ってしまいます。長期間乗らなかったりする場合はバッテリーを外しておくと未然にトラブルを防げます。また、バッテリーチェッカーを携帯するのも転ばぬ先の杖になります。

・バッテリー電圧の確認
・ヒューズ切れ、リレー不良のチェック
・安全装置(サイドスタンド/クラッチ)の確認

バッテリーチェッカーを携行するのは大げさに思えるかもしれないが、万が一のトラブルを未然に防ぐお守りと考えれば悪くない。ヒューズは目視で切れているかすぐわかるので、セルが回らない時は要確認。できればスペアも用意しておけばモアベター。

通常、ヒューズボックスは防水されているとはいえ、バイクの保管状況によっては雨水がどこからか染み込むなどトラブルを発生することもある。高温多湿な日本では思わぬ錆が発生することも。また、サイドスタンドが降りているとセルが回らないモデルもあるから注意だ。

キーをイグニッションに回して「カチカチ」音や電子音が鳴らなければリレーのトラブルを疑おう。最悪、リレーが動いてなくてもモデルによっては押しがけでエンジンをスタートさせることもできる。

キック式バイクの確認ポイント

セルスターターオンリーのバイクはバッテリーがあがったら終了だが、キックスターターのバイクの場合は頑張れば何とかなる場合もあります。

・正しいキックの踏み方を再確認
・スパークプラグの状態確認/清掃/交換
・キャブレターのガソリン供給確認

キックスターター装着車であれば、エンジン不動トラブルの遭遇率はセルスターター車より若干低い(と思う)。キックの踏み込み加減や、回数をこなす根性でリカバリーできるケースは多いだろう。ただしスパークプラグの状態は要チェックだ。

それでもエンジンがかからない場合は?

以上のトラブル原因確認フローを確認してもエンジンがかからない場合は、残念ながらプロの整備士に点検・修理依頼を行うのがベター。下手に分解して症状を重くする最悪のケースも存在します。インジェクション車は特に自己診断が難しい場合があるので、潔くプロに任せてしまいましょう。

整備工場までの運搬は、JAFやバイク専門ロードサービスを呼ぶほか、任意保険の契約によっては保険会社経由で運んでもらうこともできます。任意保険に加入する際は、ロードサービスの有無もチェックしてください。

エンジン不動の原因は、走行状況やバイクの特性、保管状況など多岐にわたり絞り込むのは容易ではない。普段のメンテナンスが重要なのは当然だが、トラブルは前触れなくやってくるもの。潔く諦めてプロに任せてしまうのも手だ。

落ち着いて原因を探すのが大事

バイクのエンジンがかからない原因は、症状によって異なります。セルが回る/回らない/キック式かどうかでチェックポイントを絞り込み、落ち着いて確認しましょう。

自分で解決できる場合も多いですが、不安な場合は早めにプロへ相談することが安心・安全につながります。特に初心者の場合、下手にイジってしまうと症状を悪化させたり、最悪の場合はエンジンが一時的にかかっても走行中に止まり、大事故につながる場合もあります。

常に安全を第一にしたバイクライフを心がけましょう!

バイクはモデルにもよるがワーニングランプが少ないのでトラブル原因の切り分けが自動車に比べて難しい。一通り原因を調べてもわからなかったらその日のツーリングは潔く諦め、後日万全の状態で仕切り直そう。

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