
1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回はGSX-Rを引き継ぎ、フルモデルチェンジでその名を新たにしたスズキGSX-R400Rを取り上げる。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ
GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。
フレームは先代のツインスパーに対し、時代に逆行するかのようなアルミ製ダブルクレードルを採用。
ワイドループと呼ばれるGSX-R750伝統のフレームで、剛性は不足しても車体をスリムにできるメリットがある。
1993で53ps化、出力特性を低中速寄りとし、1995で最後の色変更を実施。1999年頃まで販売された。
【1990 SUZUKI GSX-R400R】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 398cc 59ps/12500rpm 4.0kg-m/10000rpm ■167kg ■タイヤサイズF=120/60R17 R=160/60R17 ●発売当時価格:73万9000円
スズキGSX-R400Rの系譜
【1991 SUZUKI GSX-R400R】リヤショックのリザーバータンクを別体式に。Fフォークのアウターなどを金色に変更した。
【1993 SUZUKI GSX-R400R】馬力自主規制で53psとなるも、バルブタイミング変更などで低中速域を強化。1995 の色変更が本当の最終型。
スズキGSX-R400R 上級バージョン
1988 スズキGSX-R400 SP
【1988 SUZUKI GSX-R400 SP】定番のクロスミッションはもちろん、シングルシートカバー、上級サスを装備。
1989 スズキGSX-R400R SP
【1989 SUZUKI GSX-R400R SP】動弁系をチューンし、4in1マフラーや大容量エアクリ、FRPシングルシートを採用。
1990 スズキGSX-R400R SP
【1990 SUZUKI GSX-R400R SP】フルアジャスタブルサスや電子制御キャブのSECS、強化クラッチなどを備える。
1991 スズキGSX-R400R SP-II
【1991 SUZUKI GSX-R400R SP-II】SP仕様のパッケージに、ノーマルミッションを採用。街乗りも得意だ。
スズキGSX-R400R 派生モデル
1988 スズキGSX-F フルカバードの”F”
【1988 SUZUKI GSX-F】R400にフルカウルを与え、ツアラー化。大柄ボディで安定感抜群。3年間のみ販売された。
1993 スズキRF400R エアロスポーツ
【1993 SUZUKI RF400R】GSX-Fをベースに、エアロボディを採用したスポーツツアラー。1995でV仕様も追加。
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