
風を切る爽快感、どこまでも続く道、そして満点の星空の下で過ごす夜。バイクキャンプは、日常を離れ、自然を全身で感じられる最高の旅の形だろう。そんな特別な体験をより快適で安全なものにするために、もっとも重要なアイテムのひとつが“ツーリングテント”だ。本記事では、バイクキャンプ初心者の方から、より快適性を求めるベテランライダーまで、あなたの旅をグレードアップさせるツーリングテントの選び方を徹底解説する。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:武田大祐 ●モデル:谷田貝洋暁
なぜツーリングテント選びが重要なのか?
当然ながらバイクに積載できる荷物の量には限りがある。そのため、テントには軽量コンパクトであること、そして過酷な自然環境にも耐えうる丈夫さが求められる。また、キャンプ地での設営/撤収の手軽さも、疲れた体には重要な要素となる。
ツーリングテント選びを間違えてしまうと、積載に苦労したり、悪天候時に不安を感じたり、設営に手間取ってキャンプの時間を十分に楽しめなかったりする可能性が。逆に、自分にぴったりのテントを選べば、旅の快適性は格段に向上し、より深く自然を満喫できるはずだ。
設営が簡単な自立式ドームテントがおすすめ
バイクキャンプ初心者はだけでなくおすすめしたいのが、設営が簡単な自立式のドームテントだ。
自立式とは?
自立式テントは、フレームを組み立てるだけで自立するため、ペグを打つ場所がない砂地やコンクリートの上でも設営が可能。バイクキャンプ場は必ずしも地面が柔らかいとは限らないが、自立式であれば場所を選ばずに設営できる。
ドーム型とは?
ドーム型テントは、半円状のフレームを交差させて立ち上げるシンプルな構造が特徴。風に強く安定性があり、コンパクトに収納できるモデルが多いのも魅力だ。設営も比較的簡単で、初めてテントを立てる方でも比較的扱いやすい。
2本のポールを弓形にしならせてテントの生地で固定&自立させるドーム型テント。自立するので展開した後にちょっと持ち上げて移動することも可能だ。
テント選びで考慮すべき7つのポイント
快適なバイクキャンプを実現するために、テントを選ぶ際には以下の7つのポイントを考慮しよう。
サイズ(収容人数)
ソロキャンプがメインであれば1〜2人用、デュオキャンプであれば2〜3人用を目安に選ぼう。荷物を置くスペースも考慮して、少し余裕のあるサイズを選ぶのもおすすめ。
寝るだけなら自分の肩幅ぐらいのスペースがあればいいが、荷物を置くならせめて肩幅の倍。快適性を求めるなら+100cmぐらいは欲しい。
通気性
テント内の結露は、寝具を濡らし、不快感や体温低下の原因に。メッシュ素材のインナーテントやベンチレーション機能が充実しているモデルを選ぼう。とくに夏場のキャンプでは、通気性の良さが重要になる。
生存が優先される登山用テントは、保温性第一のため平地で使うと暑すぎることも。バイク旅なら保温性よりも、まず通気性だ。
耐候性
雨や風から身を守るために、耐水圧と耐風性は重要な要素。フライシートの耐水圧は1500mm以上、フロアの耐水圧は2000mm以上を目安に選ぶこと。風の強い場所での使用を考慮するなら、フレームの強度や形状も確認しておくと安心だ。
雨が降ったから走りたくない! そんな日も居住性が高ければ、炊事もできるしくつろげるのだ。
収納性
バイクに積載することを考えると、収納時のサイズと重量はとても重要だ。できるだけコンパクトで軽量なモデルを選ぼう。収納袋のサイズだけでなく、形状も考慮するとパッキングしやすい。
軽量コンパクトということは、それだけ内部が狭かったり、生地が薄く丁寧な扱いが必要になるということ。バランスが大切なのだ。
前室の広さ
前室とは、インナーテントの前にある空間のこと。靴や雨具を置いたり、簡単な調理をしたりするのに役立つ。雨の日でも濡れずに過ごせるため、前室が広いほど快適性は向上する。
靴やヘルメットならまだいいが、ゴミや汚れた食器などは室内に入れたくないもの。前室があればそれらが置けるし、いちいち炊事道具を片付ける必要もない。
天井の高さ
テント内で着替えたり、くつろいだりする際に、天井の高さは重要。ソロ用でも、ある程度の高さがあれば圧迫感を軽減できる。ツーリングの疲れを癒すためにも、快適に過ごせる高さのモデルを選びたいところだ。
高さが100cmなら、中央でなんとかあぐらで座れるくらい。120cmあれば立膝で内部を移動することが可能だ。
入り口の数と位置
出入りがしやすいように、入り口の数や位置も確認しよう。複数人で使用する場合は、入り口が複数あると便利。また、風向きなどを考慮して、入り口の位置を選ぶことも重要だ。
おすすめ自立式テント×5選
マエヒロドームプラス(デイトナ)
- 特長:なんといっても圧倒的な広さの前室が一番の特長。雨天時でも荷物を濡らさずに置けるだけでなく、テーブルや椅子を置いてくつろいだり、簡単な調理をしたりするのに十分なスペースだ。バイク用品メーカーならではの、ライダーのニーズを捉えた設計がなされている。
- 他のテントとの違い:他のツーリングテントと比較して、前室の広さが際立っている。雨天時の快適性を重視する方/荷物が多い方/前室でゆったり過ごしたい方におすすめしたい。
ステイシーST-II(オガワ)
- 特長:前後2ヶ所に設けられた大きなメッシュパネルによる優れた通気性が特長。夏場のキャンプでも快適に過ごしやすく、結露の軽減にも貢献する。また、別売りのセルフスタンディングテープを使用することで、インナーテントのみでの自立や、フライシートのみでのシェルター設営も可能。
- 他のテントとの違い:前後のメッシュパネルによる高い通気性は他のテントにはあまり見られない特徴。また、多様な設営方法に対応できる点も魅力だ。夏場のキャンプや、より自由な設営を楽しみたい方に向いている。
Tradcanvas ツーリングドゥーブル DUO-BJ(ロゴス)
- 特長:バイクを横付けできるほど横幅のある広い前室が最大の魅力。雨天時にバイクを濡らさずに置けたり、メンテナンスをしたりするスペースとしても活用できる。落ち着いた色合いの生地も特徴的だ。
- 他のテントとの違い:バイクを前室に入れられるほどの広さは、他のツーリングテントにはないメリット。バイクを大切にしたいライダーや、雨天時のバイクの保管に気を遣う方におすすめ。
ヘキサイーズ 1(スノーピーク)
- 特長:ソロキャンプに特化した設計で、居住空間と前室のバランスが良く、快適なソロキャンプを楽しめる。シンプルで美しい六角形タープも特徴的で、設営も比較的容易だ。高品質な素材を使用しており、耐久性も期待できる。
- 他のテントとの違い:他のテントがデュオキャンプも視野に入れているのに対し、ソロキャンプに特化している点が大きな違い。また、スノーピークならではの高い品質とデザイン性も魅力だ。ソロキャンプをじっくり楽しみたい、品質にこだわりたいライダーにおすすめ。
ツーリングドーム/ST(コールマン)
- 特長:設営のしやすとコンパクトな収納性、そしてコストパフォーマンスの高さが魅力。シンプルな構造で素早く設営/撤収ができるため、ツーリング先での時間を有効に使えます。必要十分な居住性を備えながら、手頃な価格で購入できるため、初心者ライダーにもおすすめだ。
- 他のテントとの違い:特化した機能はないが、バランスの取れた性能と価格が強みだ。初めてのツーリングテントとして、手軽に始めたいライダーに最適。
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