バイク用インカムとは、ヘルメット内に小型のスピーカーとマイクを搭載し、同じくインカムを持つライダー同士と走行中でも会話ができる装置のこと。インカムがあれば、多人数のマスツーリングでも円滑なコミュニケーションを取ることが可能であり、激しい風切り音のなかでも後席乗員と快適な会話をすることもできます。ただし、使用するシチュエーションや目的によって選ぶべき機能や性能が異なるため、選び方には注意が必要です。
●文:ピーコックブルー(ヤングマシン編集部)
どちらを選ぶべき? ヘッドセット型とトランシーバー型インカム
バイク用のインカムは大きく2種類に分けられます。
ヘッドセット型インカム
スマートフォン等とBluetoothで接続し、通話アプリなどを使って会話をするタイプのインカム。構造や機能は一般的なBluetoothヘッドセットと同じであり、通話以外にもスマートフォンを介した音楽や、ナビ案内の聴取や音声操作操作などが可能です。
トランシーバー型インカム
インカム単体で一定範囲内にいるライダー同士が通話できる、いわば無線機のような機能タイプのインカム。スマートフォンを介さずに直接通話ができるため、スマートフォンのバッテリーを気にせずに使えるというメリットがあります。またBluetooth接続ができれば、ヘッドセット型インカムとしても使用することが可能。
このように、バイク用インカムは種類ごとに特徴が異なるため、選ぶ際にはまず、用途に応じてどちらのインカムが必要なのかを判断しましょう。
もし、ツーリング中にスマートフォンの通話しか利用しないという場合や、運転中に音楽やナビ案内を聞きたいという場合は、比較的安価なBluetoothヘッドセット型でも十分です。
一方で、不特定多数の人とツーリングに出かける機会が多いのであれば、インカム単体で通話のできるトランシーバー型インカムを用意しておくと、接続に電話番号共有などの手間がかからないため便利に使えます。
ただし、機種によってはインカム単体での通話と電話による通話のうち、どちらかひとつの機能しか使えない場合も。そのため、それぞれの機能を同時に使える機種であれば、そのぶん価格が高くなる傾向にあります。
インカム選びに迷ったら注目したい5つのポイント
では、バイク用インカムの選び方には、どのようなポイントがあるのでしょうか。
インカムを選ぶ際に着目したいのは、同時通話台数/通信距離/防水性/バッテリー容量/操作性の5点です。
ポイント1:同時通話台数
まずは同時通話台数について。同時通話台数の理想は10台だと言われています。
同時通話台数は、単体で同時に接続できるインカムの台数を表しています。同時通話台数はツーリングの参加人数が多いほど重要となるため、10台同時接続できる機種なら困るシーンはほとんどないと言えるでしょう。
電話回線を用いて通話するヘッドセット型インカムの場合、同時通話台数は使用するスマートフォンアプリの機能によります。
ポイント2:通信距離
次に通信距離について。通信距離が短いトランシーバー型インカムでは、先頭と後尾のライダーが会話できなかったり、信号で離れた際に通話が途切れるなどの不便が生じることがあります。そのため、ツーリングで使用するのであれば、通信距離が1km以上ある機種が理想です。
ただし、製品に表記されているのはあくまで最大距離であり、遮蔽物や高低差によってその距離は短くなります。
ヘッドセット型インカムの場合は、製品ごとの通信距離は影響せず、ライダーそれぞれが持つスマートフォンの電波状態が重要となります。
ポイント3:防水性
続いて防水性について。インカムの操作端末はヘルメット脇に露出させて取り付けるのが一般的であり、雨に降られても困らない防水性と防塵性が重要です。防水性能規格がIP65/IPX5以上のものを選ぶほか、高速道路を走行する場合はIP67/IPX7を選んでおくと安心です。
ポイント4:バッテリー容量
バッテリー容量については、容量を表す連続最大通話時間は12時間が目安となっています。
長距離のツーリングの際もバッテリー切れを起こさないように、なるべく連続最大通話時間が長いものを選ぶとよいでしょう。ロングツーリングで使う場合は、最低でも連続最大通話時間12時間は欲しいところです。
ポイント5:操作性
最後に操作性について。インカムはグローブをしたまま操作することになるため、なるべくボタンが大きく、直感的に操作することのできる、シンプルな操作形態の製品であるほど操作性が良くなります。また、ヘルメットへの着脱がしやすい商品を選び、インカム盗難防止として常に持ち運ぶことも重要です。
ヘビーユーザーほど高性能なインカムを選びたい
インカムは、マスツーリングやタンデム走行時の安全にも関わるライダー必須のアイテムです。ソロツーリングでも、インカムがあるとバイクの運転がより楽しく便利になります。
ただし、通話や音楽に集中して安全確認や運転がおろそかにならないように注意が必要です。
また、以下の要件もインカムを快適に使うための重要なポイントになります。
- マイク/スピーカーの音質
- 他社製品とのつながりやすさ
- 通信の途切れにくさ
- その他機能(ラジオ/ノイズキャンセリング機能など)
ヘビーユーザーほど高性能で信頼性の高い商品を選びたいところですが、細かな点は実際に使用してみなければ判断できません。そのため、インターネット通販サイトのレビューやモトブロガーの実際に使用した感想、もしくはツーリング仲間の口コミなどを参考にしてみるとよいでしょう。
インカムは高機能な製品ほど価格も高額になるため、用途や予算を明確にして、それに応じて選び分けることが大切です。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(インカム)
みなさんは「バイク用のインカム」に最低限必要な機能はなに? と聞かれたら何だと答えますか? 近年はインカム市場にもさまざまなメーカーが参入してきており、いちユーザーとしては選べる選択肢が多いのは嬉しい[…]
様々なイベントで製品を伝えるサイン・ハウス サイン・ハウスは、様々なイベントに出向いてユーザー接点を多くとっている。最新モデルを直接体感してもらい、それぞれの特徴を的確にユーザーに伝える。活用方法や操[…]
第1位:B+COM SB6XR [サインハウス] インカム売れ筋第1位にランクインしたのは、SYGN HOUSE(サインハウス)の製品「B+COM SB6XR」です。 SB6XRは、シンプルなデザイン[…]
こんなに小さくて良いんですか!?? オートバイ用インカム CIEL(シエル)総発売元の株式会社 LINKS は、インターナショナルメーカーとして、10年以上 OEM 生産を行ってきた製造元[…]
PACKTALKシリーズのハイエンド「PRO」 2004年に世界で初めて二輪用ブルートゥースインカムを発売したカルド。現在のラインナップは上から「PACKTALK」、「FREECOM X」、「SPIR[…]
人気記事ランキング(全体)
『通称』と『道路交通法における区分』、『道路運送車両法による区分』がある バイク雑誌やWEBヤングマシンの記事を読んでいて「これってどうなってるの?」と混乱したことがある方もいらっしゃると思う。のっけ[…]
これが後のGL500につながったかは不明 これはいろいろなエンジン型式の可能性を探るために開発された1台で、クランク軸縦置きの200㏄空冷Vツインを搭載したもの。製造コストが高く、商品化できなかったと[…]
クロスオーバー系レトロがアップグレード! インディアヤマハは、ブロックパターンタイヤを履いたネオレトロスタイルの「FZ-X」をマイナーチェンジして発表した。ロングストローク設定の空冷149ccエンジン[…]
さとみ(すとぷり)がアンバサダーに就任! 日本二輪車普及安全協会は、2025年3月かいさいの「第41回 大阪モーターサイクルショー2025」および「第52回 東京モーターサイクルショー」の開催概要を発[…]
通勤からツーリング、サーキット走行まで使えるカウル付き軽二輪スポーツ 日本の道に最適といえるサイズ感や、通勤/通学からツーリングまで使える万能さが軽二輪(126~250cc)の長所。スクーターやレジャ[…]
最新の投稿記事(全体)
【読み飛ばしOK】自動車損害賠償責任保険審議会の結果、基準料率の改定は必要ないと判断【料金表は下の方に】 金融庁が令和7年1月10日および1月17日に行った第150回・第151回自動車損害賠償責任保険[…]
125ccスクーターは16歳から取得可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限[…]
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。 20年ほど前はシートカ[…]
免許返納後もアクティブに楽しむための小型低速EV パワーユニットに自社の電動モーターを、バッテリーにホンダの「モバイルパワーパックe:」を採用した汎用EVプラットフォームをヤマハが初公開したのは、20[…]
アライの最高峰スポーツフルフェイスに長島哲太選手の最新グラフィックが登場 長島哲太選手は、2008年にGPモノクラスから全日本ロードレース選手権にデビューし、3年後の2011年にはシーズンチャンピオン[…]
- 1
- 2