2024年6月22日、新東名高速道路NEOPASA清水にて61回目となるヨシムラ・ツーリングブレイクタイムが開催された。「鈴鹿8耐直前スペシャル」と銘打った今回は、EWCでランキングトップを走るYoshimura SERT Motulチーム、そしてスズキからはTeam SUZUKI CN Challengeがそれぞれ登壇し、トークショーを繰り広げた。2024 FIM世界耐久選手権 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会はヨシムラとスズキが話題を振りまきそうだ!
●文/写真:ヤングマシン編集部(Nom) ●外部リンク:ヨシムラジャパン
ヨシムラはライダー2名体制で行く
6月22日土曜日、前日に梅雨入りしたとは思えない快晴の空の下、新東名高速道路NEOPASA清水PAで61回目のヨシムラ・ツーリングブレイクタイムが開催された。
今回は「鈴鹿8耐直前スペシャル」ということで、EWCにフル参戦しているYoshimura SERT Motulチームの加藤陽平ディレクターとダン・リンフット選手、渥美心選手がトークショーに登場。EWCの第3戦にもあたる8耐への抱負を語った。
「6月20日の鈴鹿での公式テストで、ライダーのグレッグ(・ブラック)がケガをしちゃって、8耐の決勝はダンと心の2人で走るとライダーとチームには伝えました。今年の開幕戦のル・マン24時間も3人で8時間ずつ走っているので大丈夫でしょう。ただ、ずっとスタートはグレッグだったので、スタートライダーがいなくなっちゃったのでみんな困っています」
そう言って観衆を沸かせていた。
2人になってしまったとはいえ公式テストでは2分6秒台に入れていて、2日間のテストの総合結果ではベスト5に入っている。
EWCでは第4ライダーで出番のなかった渥美選手は、「冬の期間、やってきた開発の成果が結果につながっています。鈴鹿も公式テストで2日間しっかり走れて、徐々にいいペースにもっていけました。ウチより速いチームはあるけど、決勝に向けてはいい感触です」と自信をのぞかせた。
ダン選手も、「EWCでも堅実な成果が出ているので、これからチームとライダーで8耐に向けて戦略を詰めていきます」とのこと。
いまやEWCの24時間耐久レースも、鈴鹿8耐と同様に1時間のスプリントレースの積み重ねのようなハイアベレージの戦いになっている。その修羅場を経験しているYoshimura SERT Motulチームの準備は万全のようだ。
トップ10トライアルを目指す『チームスズキCNチャレンジ』
イベント会場にはもう1台、GSX-Rが展示されていた。東京モーターサイクルショーでスズキが発表した、EWC仕様のヨシムラマシンをベースにして、燃料をはじめタイヤ、オイル、カウル、ブレーキなどにサステナブルなアイテムを採用した「チームスズキCNチャレンジ」のGSX-R1000Rである。
プロジェクトマネージャーの佐原伸一さんとエティエンヌ・マッソン選手、濱原颯道選手、生形秀之選手が登壇しトークショーを行った。
「2022年にMotoGPから撤退し、スズキのリソースをサステナビリティな開発に向けると発表してから、鈴鹿8耐にカーボンニュートラル燃料で出場しようとプロジェクトを立ち上げました。いろいろな企業さんにお声掛けしたら、うちにもこんな(サステナブルな)アイテムがあると言って協力してくださいました」と佐原さん。
先日のテストでも2分7秒台に入れるなど、マシンの準備は順調なようだ。
マッソン選手は、「ヨシムラのEWCマシンとは、ブレーキ(編注:熱処理していないスチールディスクを使用)のフィーリングやスロットルレスポンスが違うけど、チーム全体でどこをどう調整するか話し合っています。乗り方も含めて。でも、テストの早い段階でいいタイムが出せたし、課題も見つかったので8耐までに解決したいです」。
生形選手も、「ヨシムラのバイクとはちょっとキャラクターが違うけど、特に違和感なく乗れました。バイクのレベルも高いし、仕上がりもいいです」。
そして、濱原選手は「1周目から乗りやすいマシンでした。僕のベストラップは2分6秒1ですが、それ以上いける。ストレートがものすごく速いです。予選のトップ10トライアル出場を目指します」と語った。
チームスズキCNチャレンジは賞典外のエクスペリメンタルクラスでの出場だが、当然レースではEWCマシンとも混走だからヨシムラとのバトルも見られるかもしれない。
「遠慮はしないつもりです」
佐原さんはそう言って、会場を大いに沸かせてトークショーを締めくくった。
ヨシムラ・ツーリングブレイクタイムの会場には2007年の鈴鹿8耐優勝マシンも!
60年前のPOP吉村チューンのCB72がデモラン予定!
1964年、鈴鹿8耐以前に鈴鹿18時間耐久レースが開催されたのをご存じだろうか。そのときにヨシムラから出場した伝説のCB72をアメリカのミュージアムより取り寄せ、息子である吉村不二雄さんが日の丸をあしらったレーシングスーツでデモランを行うという。こちらも大注目だ!
実際のサウンドはコチラ
1964年 #鈴鹿サーキット で行われた 鈴鹿18時間耐久出場マシンのCB72が、アメリカ・Barber Vintage Motorsports Museumより到着!
— ヨシムラジャパン YoshimuraJPN (@Yoshimura_JPN) June 20, 2024
#鈴鹿8耐 デモランにて走行予定で、今週末の清水のツーリングブレイクタイムでも展示します!
POP吉村が手掛けたCB72のサウンドに不二雄相談役も思わずニッコリ😊 pic.twitter.com/blgCMnq8vd
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヨシムラ)
“ヨシムラ”がまだ世間で知られていない1970年代初頭のお話 世界初となる二輪用の集合マフラーが登場したのは、1971年のアメリカAMAオンタリオでのレース。当時のバイク用マフラーは1気筒につき1本出[…]
2024年は鈴鹿8耐3位そしてEWCで二度目の王座に ポップが切り拓き、不二雄が繋いできたヨシムラのレース活動はいま、主戦場をFIM世界耐久選手権(EWC)へと移し、陽平がヨシムラSERT Motul[…]
保険料500円でヨシムラ車、乗り放題ッ!! ヨシムラファンにとって秋の定例イベントとなっている「ヨシムラミーティング」。ヨシムラが那須モータースポーツランドでイベントを行ったのは2014年の60周年記[…]
ポップ吉村は優しくて冗談好きのおじいちゃんだった ヨシムラの新社長に今年の3月に就任した加藤陽平は、ポップ吉村(以下ポップ)の次女の由美子(故人)と加藤昇平(レーシングライダーでテスト中の事故で死去)[…]
ホンダ研究所チームを打ち負かしたCB77の相棒マシン 2024 FIM世界耐久選手権第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会は、ヨシムラジャパンにとって歴史的な大会になった。……[…]
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI])
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
シリーズの中心的な存在、語り継がれる名車の予感 昨年3月に発売されたVストローム800DEと、その7か月後に登場した同800は、ともにミドルネイキッドのGSX-8Sとプラットフォームを共有している。 […]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
品質がよければ年式は関係ナシ!! レッドバロンで取り扱う中古車のじつに90%以上が『5つ星品質』の条件をクリアしている。それを証明するべく、メディア向けに5つ星品質中古車の試乗会が行われた。 『レッド[…]
緑×金、銀×青、黒×黒の3バリエーション スズキは北米で2025年モデルを一挙発表した。全モデルともカラーチェンジであり、「GSX-S1000」「GSX-8S」「GSX250R」「SV650」「GSX[…]
人気記事ランキング(全体)
2025年こそ直4のヘリテイジネイキッドに期待! カワサキの躍進が著しい。2023年にはEVやハイブリッド、そして2024年には待望のW230&メグロS1が市販化。ひと通り大きな峠を超えた。となれば、[…]
一定以上のスピードの車両を自動的に撮影する「オービス」 結論から言うと、基本的にバイクはオービスに撮影されても捕まらない。そもそもオービスはバイクを取り締まるつもりがない。ただし警察にもメンツがあるか[…]
第1位:JW-145 タッチパネル対応 蓄熱インナーグローブ [おたふく手袋] 2024年11月現在、インナーウェアの売れ筋1位に輝いたのは、おたふく手袋が販売する「JW-145 蓄熱インナーグローブ[…]
新色×2に加え、継続色も一部変更 ホンダは、水冷4バルブの「eSP+」エンジンを搭載するアドベンチャースタイルの軽二輪スクーター「ADV160」に、スポーティ感のある「ミレニアムレッド」と上質感のある[…]
寒い時期のツーリング 冬はライダーにとって、本当に過酷な季節です。急激に気温が下がったりしてきましたが、オートバイに乗られているみなさんは、どういった寒さ対策をしていますか。 とにかく着込む、重ね着す[…]
最新の投稿記事(全体)
今シーズンに続き富樫虎太郎選手を起用、新加入は木村隆之介 元MotoGPライダーの中野真矢さんが率いるレーシングチーム「56RACING(56レーシング)」が、2025年のレース活動概要を発表した。 […]
全日本ST1000とASB1000の両カテゴリーを制す! 開幕2連勝を飾り、常にポイントリードし最終戦を待たずにチャンピオンを決めた全日本ST1000クラスに比べ、ARRC ASB1000クラスは、ポ[…]
一度掴んだ税金は離さない! というお役所論理は、もういいでしょう 12月20日に与党(自民党と公明党)が取りまとめた「令和7年度税制改正大綱」の「令和7年度税制改正大綱の基本的な考え」の3ページ目に「[…]
ヤマハの最先端技術の結晶、それがYZF-R1だ 今からちょうど10年前の2014年11月。イタリアはミラノで開催されたEICMAにおいて、7代目となるヤマハのフラッグシップ“YZF-R1”が華々しくデ[…]
場所によっては恒例行事なバイクの冬眠(長期保管) 「バイクの冬眠」…雪が多い地域の皆様にとっては、冬から春にかけて毎年恒例の行事かもしれませんね。また、雪国じゃなかったとしても、諸事情により長期間バイ[…]
- 1
- 2