
レオンアートやスコマディ、ハートフォードといった外国車の輸入販売で知られるウイングフット(東京都足立区)より、英国ブランドBSAの「ゴールドスター」を輸入することが(ほぼ)決まったと報せがあった。さっそく試験的に導入&登録した車両を取材、そして軽くではあるが試乗もさせていただいたのでお届けしたい。
●文/写真:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ウイングフット
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター
世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸することになりそうだ。「なりそう」というのは、輸入を手掛けることになるウイングフットが“ほぼ確定”という段階でフライング気味にお知らせしてくれたから。とはいえ契約はすでに詰めの段階だというので、追って導入時期や価格もお知らせできるはずだ。
BSAとは、バーミンガム・スモール・アームズ(Birmingham Small Arms)の略で、企業としての創業は1861年までさかのぼる。モーターサイクル部門が設立されたのは1903年、そして最初のプロダクションがリリースされたのは1910年だ。
BSAゴールドスターは1938年から1963年まで製造された、同ブランドの代名詞のようなシングルスポーツだ。当時は世界最速の1台として知られ、350ccまたは500ccの単気筒4ストロークエンジンを搭載。今も名車として多くのユーザーに愛され続けている。
そして時は一気に流れ1973年、BSAは63年間におよぶモーターサイクルの生産を終了し、長き眠りについた。これは主に日本車の攻勢によって多くの英国および欧州ブランドがたどった道と同じだ。
そんなBSAブランドをインド・マヒンドラ社が買収し、子会社としてクラシックレジェンズ社(Classic Legends Pvt. Ltd.)を設立したのは2016年。それから5年を経た2021年に、歴史的ビッグネームである「ゴールドスター」が復活したわけだ。そしてこれが新生BSAの最初の量産モデルということになる。
BSA New GOLD STAR
新しいゴールドスターは、最新の排出ガス規制に適合する水冷DOHC単気筒エンジンを、英国で設計されたというスチール製フレームに搭載。ネオクラシックカテゴリーとしては唯一といっていい“500cc超”のビッグシングル、つまり大排気量の単気筒エンジンを採用しているのが最大の特徴だろう。
この652cc単気筒は、かつてBMWのF650シリーズなどが搭載したロータックス設計のエンジンを基にしているというが、シリンダーには冷却フィンが刻まれ、ケースカバーや吸排気系の意匠もクラシカルな雰囲気に改められている。
生産はインドで行われるが、今のところ販売されているのは英国をはじめとした欧州西部地域、そしてアジアで唯一、フィリピンに導入されているのみ。この販売網に日本が加わる。ちなみに生産国であるインドでは販売されていないが、インドではすでに自転車メーカーがBSAブランドを持っているから、という事情もあるようだ。
ツインが主流のカテゴリーにビッグシングルを投入、さすがの力強さ
今回の車両はウイングフットが試験的に輸入したもので、特に日本向けの仕様にはなっていないが、排ガスはクリーンで拍子抜けするほど簡単に検査を通過、登録できてしまったという。
新生ゴールドスターを前にすると、まず目に飛び込んでくるのはやはりビッグサイズの単気筒エンジン。シリンダーにはしっかり冷却効果も得られそうなフィンが存在するものの、冷却方式のメインは水冷だ。
現在のところ、500cc超のクラスで完全なクラシックスタイルの単気筒マシンというのはほかにない。しいていえばハスクバーナのヴィットピレン701があったが、こちらはクラシカル寄りとはいえパフォーマンスシングルであり、さらに最新型は2気筒マシンに置き換えられている。
単気筒エンジンというのは最もシンプルかつバイクの基本。ただ、排気量が大きくなると振動や低速域でのギクシャク感といったネガも出やすく、ゴールドスターではどのように仕上げられているのか気になるところだ。
各部のディテールを見回すと、いい意味で普通。10年以上も前にあったような“インド生産だから”といった生産クオリティの不安は感じさせず、英国スタッフが手掛けたというデザインもよくまとまっている。
サイドカバーに控えめな『GOLD STAR』の文字。元々BSAは銃器を製造する会社だったため3丁の銃がトレードマークになっている。
跨ってみたサイズ感は、ホンダGB350とカワサキW800の中間といったところ。装備重量は213kgあるが、シート高780mmで足着きには安心感があり、それほど重い感じはしない。取り回しでは数値通りの重量感があった。ライディングポジションは旧車の雰囲気に準じたアップライトなもので、タンクへの膝の当たりも自然だ。
エンジンはセル一発で簡単に目覚め、冷えているうちはやや高めの回転を保ちながら単気筒ならではの規則正しいハスキートーンを響かせる。わりと静かだが詰まったような感じはない。丸みのある振動は手元に感じられるものの、652ccと考えれば程よく抑えられていると思う。
最新のアシスト&スリッパークラッチに慣れた方だと少し重く感じるかもしれないクラッチレバーを握り、1速に落とす。シフトタッチには節度感があり(走行中もギヤ抜けなど皆無だった)、クラッチの切れやシフトペダルの剛性感も文句のないレベルだ。
エンジンが少し暖まると回転数は1400rpmあたりで落ち着くが、その前に走り出してもストールする気配はない。アイドリングでクラッチをつないでもスルスルと発進でき、スロットル操作には穏やかに追従する。スロットルを急開するとさすがにグズるものの、普通の操作かつアイドリング回転より低くならなければギクシャクすることもなかった。
力強さが感じられるのは2000rpmからで、街中ではほとんどの場面を3000rpm以下でこなすことができる。そこから4000、5000rpmと回していっても嫌な振動は出ずにトルクが増していき、最高出力45hpを発生する6500rpmを超えて7000rpmあたりまでスムーズに吹け切ってくれる。味わいという点では652cc単気筒という言葉からイメージするほど濃くはないが、ビッグシングルならではのトルクを生かしながら気持ちよく流すことができる特性だ。
このあたり、ロングストロークならではの鼓動感があるロイヤルエンフィールドやホンダの350ccと比べても、2倍近い排気量によるトルク感の違いは明白。ゴールドスターはややショートストローク傾向とはいえ排気量からくる鼓動感があり、中間域での力強さは別ものレベルだった。
インプレといいつつ走行写真がないのは自撮りする技術と機材がなかったため。ご容赦くだせぇ。
扱いやすく従順、カスタムも楽しめそう!
今回はウイングフット周辺、都内一般道のみでの試乗だったので基本的には街乗りのインプレッションだが、多少はカーブや交差点を曲がった感じもお伝えしたい。
基本的にはニュートラルな特性で、低速域でのブレーキコントロールもしやすい。制動力については慣らしがきちんと済んでいない状態だったのでそこそこだったが、何度か強めに掛けてみたところ当たりがついたようで十分といえるレベルになった。
直進安定性がよく、クルーザーのようなイメージで走らせることも可能。そして曲がるときも難しいことを考える必要はなく、交差点でも多少のカーブでも自然に扱えた。5速のワイドなトランスミッションによって各ギヤの守備範囲は広く、ギヤチェンジに忙しさはない。
ただ、装着してあったピレリ製タイヤ(ファントムスポーツコンプ)はこの車体とあまり相性のよくない場面があり、おおらかに走りたいときにもややシャープさを見せる。また、リヤサスペンション(こちらは慣らしが進んでいないせいかも?)やシートにもシットリ感はあまりなく、ちょっと質素な感じは否めない。
このあたりはウイングフットも認識しており、日本に正規輸入する仕様では改良できないか交渉する予定とのこと。また、仮にこのまま輸入されたとしても、そのぶん廉価になるのであればカスタムでどうにでもできそうな部分ではある。
※YOUTUBEで「bsa gold star exhaust」と検索するとさまざまなカスタムマフラーのサウンドも聴ける
このほか、ハンドルバーにはUSB端子×2(タイプAおよびタイプC)、左サイドカバー前には12Vアクセサリー端子を備え、最新ガジェットへの電源供給も万全だ。ミラーの視認性は悪くなく、メーターも見やすかった。
クラシカルな車体にビッグシングルという唯一無二の個性を持ち、街乗りやツーリングが得意分野、かつカスタムベースとしても楽しめそうな新生BSAゴールドスター。ちなみに英国での価格は20%の消費税込みで7000ポンド(日本円換算約136万円・5/28現在)前後だが、日本向け仕様はどうなるだろうか?
近日中の吉報、お待ちしてまーす!
BSA New GOLD STAR
BSA New GOLD STAR
BSA New GOLD STAR スペックとスタイリング
主要諸元■軸距1425mm シート高780mm 車重213kg(装備)■水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 652cc 45ps/6500rpm 5.61kg-m/4000rpm 変速機5段 燃料タンク容量12L(WMTCモード燃費24.99km/L)■タイヤサイズF=100/90-18 R=150/70R17 ※諸元は英国仕様
BSA New GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA New GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA New GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
BSA New GOLD STAR ※写真はハイランドグリーン
各部のディテール
BSA New GOLD STAR
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