BMWモトラッドは、並列2気筒エンジンを搭載するFシリーズ、『F800GS』、『F900GS』、『F900GS Adventure』の3モデルを投入することを発表した。なお、今回の発表はヨーロッパ仕様で、国内仕様や販売時期についての情報はまだない。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●外部リンク:BMW Motorrad
エンジンのパワーアップを中心に快適装備を充実させ完成度を向上
ボクサーGSとは異なる特性を持つアドベンチャーモデルとして定評のあったF750GS、F850GS、F850GSアドベンチャーが、エンジン排気量をアップするとともに各部を改良し、車名を+50ずつ変更して登場する。先行して進化していたF900R、F900XRに次ぐFシリーズのモデルチェンジで、GSシリーズのアップデートによってFシリーズの進化が終了、あるいはひと区切りついた格好となる。
このたびの3モデルにどのようなアップデートがなされたのか、まずはF750GSからモデルチェンジしたF800GSを見ていこう。
エンジンは並列2気筒というレイアウトはそのままに、従来の853ccから895ccへ拡大。これにより最高出力は77psから87psへアップし、トルクも増大した。電子制御デバイスでは、ABSとトラクションコントロール(DTC)、ライディングモードは最新バージョンとなってより高性能化したほか、エンジンブレーキコントロール(DBC)が追加される。
そのほか外装類のブラッシュアップによる空力特性の向上、LEDヘッドライトの進化も図られ、走行特性は全体的に高められている。
また、ライディングモード、6.5インチTFTメーター、リモコンキーなどが標準装備となり、走行性能と利便性が大きく向上している(3モデル共通)。
車名の数字が排気量を示さない点は従来どおりで、F-GSシリーズにおけるビギナー向けモデルとしての位置づけも同様だ。そのため欧州仕様では、A2免許に対応する低出力仕様(最高出力48ps)がラインナップされる。とはいえこの仕様の日本導入はないだろう。
F900GSは、今回のモデルチェンジで3機種中もっとも多岐にわたる変更を受けている。エンジン変更によって最高出力は100ps超えの105psを達成。さらに燃料タンクを従来のスチールから樹脂へ変更したことで約4.5kgも軽量になったことに加え、新設計のリヤセクションも約2.4kg軽くなった。このほかアクラポヴィッチ製サイレンサーの標準装備などにより、装備重量は約14kgも減っている。
さらに倒立フロントフォークも改良し、とくにオフロードにおける走破性を格段に向上させた。また、シート高を55mm下げるローダウンサスペンションがオプション設定される。
装備面ではオフロードで効果を発揮するワイドタイプのステップを採用。サイドスタンドはアルミニウム製となり、ブレーキレバーも改良されている。外装も大幅に変更され、3モデル中で唯一、ヘッドライトをシンメトリー形状に変更した。また、アクションカムなどを装備するためのマウントも標準装備となっている。
F900GSアドベンチャーは、車名のとおりF900GSをベースとしているが、23Lの大型燃料タンクを装備することもあり、F900GSほどの軽量化は図られていない。おもな変更点はフルアジャスタブル倒立フォークの装備、LEDヘッドライトの熟成、従来モデルよりも小型化されたサイドパネル、それに合わせて最適化されたアルミ製エンジンガードだ。
FシリーズはBMWの入門的なモデルと捉えられがちだ。しかしエンジンや電子制御デバイスの強化によって、走行性能だけでなく快適性も大幅に向上しており、今や大排気量ボクサーエンジンのRシリーズか、それとも中間排気量パラレルツインエンジンのFシリーズか、という選択の違いになっている。このたびのモデルチェンジによって、F-GSの存在感はますます高まるはずだ。
BMW F900GS / F900GS Adventure
主要諸元■全長2270[2300] 全幅943[939] 全高─ 軸距1590[1585] シート高870[875](各mm) 車重219[246]kg■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 895cc 105ps/8500rpm 9.48kg-m/6750rpm 変速機6段 燃料タンク容量14.5[23]L■タイヤサイズF=90/90-21 R=150/70R17 ●色:黒、黄、白×青×赤[黒、白] ●価格&発売時期:未発表 ※[ ]内はF900GS Adventure ※諸元は欧州仕様
BMW F800GS
主要諸元■全長2296 全幅910 全高─ 軸距1556 シート高815[875](各mm) 車重227kg■水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 895cc 87ps/6750rpm 9.28kg-m/6750rpm 変速機6段 燃料タンク容量15L■タイヤサイズF=110/80R19 R=150/70R17 ●色:白、青、黒 ●価格&発売時期:未発表 ※諸元は欧州仕様
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
見晴らしがいい! オンロードバイクとアドベンチャー/オフロード/クロスオーバーなどの大きな違いのひとつは、走破性をよくするために車高が高くなっていること(最低地上高も同時に高まる)だろう。加えて、ステ[…]
スマートフォンでルート設定、メーターに情報を表示 BMWは、同社が提供するスマートフォン用アプリ「BMW Motorrad Connected(ビー・エム・ダブリュー・モトラッド・コネクテッド)」に、[…]
プロジェクションの位置は走行中も設定可能、望む視界を手に入れられる! BMWモトラッドは、本国ドイツ・ミュンヘンで「BMW モトラッド コネクテッドライド スマートグラス」を発表。数年前には“まだまだ[…]
車体姿勢の制御に不可欠な“忠実なレスポンス”を具現化する “ユーロ5”や“令和2年排出ガス規制”といった文言を見かける機会がずいぶん増えてきた。今後ますます厳しくなっている一方の環境規制と大型バイクら[…]
より操作に忠実な過給機付きエンジンを実現する! ホンダがアフリカツインに過給機を搭載?! そんなニュースが現実味を帯びてきたかもしれない。2020年の特許公開時には海外メディアを中心に話題となったが、[…]
最新の関連記事(BMWモトラッド)
「BMW R12nineT」ベースで、よりダイナミックに 新型BMW R12Sは、1970年代に数々の伝説を残した究極のレーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとカラーリングに加えて、BM[…]
レーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとオレンジカラー BMWは、BMWモトラッドのヘリテイジカフェレーサー「BMW R12S」を国内200台限定で発売すると発表。1月22日より200台[…]
時期が合えば水仙と桜の共演も 日本の三大水仙群生地と呼ばれているのが、福井県の越前海岸と、兵庫県の淡路島、そして千葉県の南房総:鋸南町である。鋸南町の水仙は12月中旬から1月下旬が見頃で、2025年も[…]
年間6000台が目前に! BMW Motorradは、2024年の新規登録台数が2010年7月の統計開始以来、史上最高を記録。BMW Motorradの登録台数は250cc市場で5,986台(対前年比[…]
BMWモトラッドにおけるヘリテイジカテゴリーとは BMWモトラッドには、Sport/M/Tour/Roadster/Heritage/Adventure/Urban Mobilityの7つのカテゴリー[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
スクエアデザインの1050/800/250SXに対し、650と250は穏やかな意匠 スズキは、「Vストローム650」および「Vストローム650XT」の価格を改定し、2025年2月5日に発売すると発表し[…]
外装デザイン&素材ほか細部にわたり多数のアップデート ホンダは「NC750X」をマイナーチェンジ。通常の燃料タンク位置に容量23Lの収納スペースを設け、欧州では半数のユーザーが選択するというDCT仕様[…]
ワイルドさも残る洗練のクロスオーバー スズキの量産バイクで初めて電子制御サスペンションを採用したGSX-S1000GX(以下GX)は、前後17インチホイールを履いたクロスオーバー・アドベンチャー。欧州[…]
オンロードでも安心感ある良好なコーナリング特性 2024年4月に、従来型の400Xがモデルチェンジされ、同時に車名も変更されてデビューしたのがNX400ですが、そのスタイリングにはラリーマシンのテイス[…]
消えてしまったセロー250の穴をカワサキが埋める?! カワサキの新トレッキングマシン「KLX230 シェルパ」は、2024年11月15日の発表時には11月27日発売とされたが、その後に諸事情で発売日を[…]
人気記事ランキング(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
最新の投稿記事(全体)
「BMW R12nineT」ベースで、よりダイナミックに 新型BMW R12Sは、1970年代に数々の伝説を残した究極のレーシングマシン「R90S」を彷彿とさせるシルエットとカラーリングに加えて、BM[…]
改正道路法による道路空間の活用 神戸市は、瀬戸内海から六甲山地まで、約2~3kmほどの平地に繁華街や住宅地が密集しており、坂道も多い。そのため特に原付バイクの利用が根付いている。 そこで同市は放置駐車[…]
1959年から支持され続けている! 1)作業がとても手軽2)使用できる範囲が広い3)しっかりツヤが出る4)油汚れが場合によってはパーツクリーナーよりもよく落ちる 順に説明していこう。 1)作業が簡単 […]
ガソリン漏れトラブルは突然に これは先日実際に起こった出来事です。 ガソリンを携行缶からバイクのガソリンタンクに注入しようとしたら・・・ボタボタボタッ・・・。 「!!!!」 携行缶のノズルの根元からガ[…]
2001年登場の先代1800/2018年登場の現行1800に適合 ミシュランが新型スポーツツーリングタイヤ「MICHELIN ROAD W GT(ミシュラン ダブリュー ジーディー)」を発表した。20[…]
- 1
- 2