
日本のラインナップにおける最小排気量のハーレー、ナイトスターに豪華仕様の“スペシャル”が新登場。ビキニカウルやタンデムシート、液晶ディスプレイなどを採用しながら、価格は11万円高に抑えられている。空冷時代を彷彿させるスタイリングは感無量だ!
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:ハーレーダビッドソンジャパン
ハーレーダビッドソン ナイトスタースペシャル 概要
【Harley-Davidson Nightster Special】■全長2265 全高- シート高715(各mm) 車重225kg ■水冷4ストV型2気筒 975cc 90.2ps/7500rpm 9.69kg-m/7000rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11.7L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=150/80B16 ●色:黒 黄 青 ツヤ消し黒 ●価格:237万3800円~
【ライディングポジション】シート高はSTDのナイトスターより10mm高い715mmを公称する。ハンドルやステップは空冷時代よりもやや遠めか。[身長175cm/体重68kg]
[◯] 力強く従順なエンジン。サスペンションの動きに懐かしさ
現在、ハーレーのスポーツファミリーは水冷60度Vツインを搭載しており、排気量は975ccと1252ccの2本立てとなっている。ナイトスターは前者に属し、空冷時代のベーシックなモデルと同様、フロント19/リヤ16インチホイールと、リヤ2本ショックを採用する。’23年に追加された“スペシャル”はナイトスターの上位モデルで、ビキニカウルやタンデムシートなどを装着。車重は4kg増の225kgを公称する。
エンジンは吸気側に可変バルタイ機構を採用しており、ホンダ レブル1100の87psを上回る90psを発生する。走行モードはスポーツ/ロード/レインの3種類で、スポーツモードは突進するかのごとくパワフルだ。可変バルブタイミングが切り替わるタイミングは要件によって変化するとのことで、レッドゾーンの始まる9000rpmまでの豪快な吹け上がりはかなり現代的だ。
一方、レインモードでの優しいレスポンスと低中回転域での鼓動感は、空冷883時代を彷彿させるもので、試乗の多くをこのモードで過ごした。電スロの設定なのか、発進時のクラッチミートがややシビアに感じたが、気になるのはそれぐらいだ。
ハンドリングは、空冷時代よりも明らかにクセが少なくて扱いやすいと感じた。空冷スポーツスターは舵の入り方がやや強めで、それを生かせるようになると、文字どおり峠道でもスポーティな運動性を披露してくれるが、慣れるまではその切れ込みを腕で抑えようとしてしまいがちだ。これに対してナイトスタースペシャルは、発進時からふらつくことなく、車体の傾きに対してスムーズに舵角が発生する。加えてリーンアングルは左右とも各32度確保されているので、峠道で少々ペースを上げてもステップが擦ることはない。
特に感心したのは乗り心地の雰囲気だ。サスペンションストロークは短めではあるものの、バネ下が積極的に動いて衝撃を緩和する印象は限りなく空冷時代に近く、それでいてダンピング性能はモダンになっている。外観だけでなく、走りでも空冷時代を再現していると感じた大きな要素だ。
[△] 価格設定はかなり高め。右足の熱さには覚悟を
プラス17万6000円でビッグツインのソフテイルスタンダードが買える価格だけに、エントリーモデルと呼ぶことに躊躇。それと、リヤバンクのシリンダーヘッドが右足に触れやすい位置にあるため、カバーされているとはいえけっこう熱い。
[こんな人におすすめ] 外観は古典的。中身はモダンなハーレーダビッドソン流ネオクラシック
水冷化に賛否両論あるスポーツファミリーだが、ナイトスターに関してはハーレー自身がネオクラシックに挑戦したと考えると合点がいく。排気量と価格からもライバルはBMWのRナインTシリーズで、装備面ではハーレーに軍配か。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ハーレーダビッドソン)
最新ストアデザイン「FUEL」を関東初採用 ハーレーダビッドソンの正規ディーラーを運営する株式会社陸友・モータースが、神奈川県横浜市鶴見区に新店舗となる「ハーレーダビッドソン横浜鶴見(以下HD横浜鶴見[…]
筑波サーキットにH-D Xたちが集合 H-D Xでのサーキット走行をおすすめしたい。X350はあきらかにXR750をモチーフとしたデザイン。「スポーツライディングを楽しんでほしい」というメーカーからの[…]
〈WEBIKE FESTIVAL〉2024.10.19 SAT. ロングウッドステーション(千葉県長柄町) 【X500 ヒデヨリさん】「見た目など、あえてハーレーらしさを捨てたチャレンジ精神の塊のよう[…]
7年のブランクを感じさせない”74歳”! “チームイワキ”や”K’s Garage”の名前で知られた岩城滉一さんが率いるチームは、昨シーズンから”51ガレージ”と名乗って、7年ぶりに活動を再開しました[…]
論より証拠! 試して実感その効果!! カーシャンプーやワックスなど、多彩なカー用品を手がける老舗ブランド・シュアラスター。そのガソリン添加剤シリーズ・LOOPのフラッグシップモデルが「LOOPパワーシ[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
ホンダCBR250RR(2021) 試乗レビュー 全方位にスペックアップした2021年モデル 2020年モデルからの変更箇所は多岐に渡る。 ピストン、ピストンリング、コンロッド、バランサーシャフト、バ[…]
カワサキW800(2022) 試乗レビュー カワサキW800(2022) 概要 ■全長2190 全高1075 軸距1465 シート高790(各mm) 車重226kg ■水冷4スト2気筒SOHC4バルブ[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
※この記事は別冊モーターサイクリスト2010年11月号の特集「YAMAHA RZ250伝説」の一部を再構成したものです。 ヤマハ RZ250のエンジン「2ストロークスポーツの純粋なピーキー特性」 ヤマ[…]
従順で力強いエンジンと軽快な旋回性を生む車体 2024年はついに全日本ロードレース選手権で表彰台に立ち、次の目標はもちろん初優勝なのですが、先輩たちから「レースは積み重ねが大事。開幕から優勝狙いではな[…]
人気記事ランキング(全体)
4気筒CBRシリーズの末弟として登場か EICMA 2024が盛況のうちに終了し、各メーカーの2025年モデルが出そろったのち、ホンダが「CBR500R FOUR」なる商標を出願していたことがわかって[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
ネオクラシックながら”新しさ”で対抗 ヘリテージやネオクラシックと呼ばれるカテゴリーで、登場以来絶対的な人気を誇るカワサキのZ900RSシリーズ。現代スポーツネイキッドをベースに、名車Z1を絶妙にアレ[…]
実は”ホンダエンジン”時代からの愛車だった マンセルがF1のパドックで乗っていたのは、ホンダのダックス70(CT70)でした。1988年モデルとも、1987モデルとも言われていますが、いずれにしろ当時[…]
◆今回のPRO解説者:以前にはネオクラ車の解説記事もお願いしたバイクデザインのプロフェッショナル。1980年代前半に某社に入社したベテランで、オンロード系をメインに排気量の大小を問わずさまざまな機種を[…]
最新の投稿記事(全体)
総合力を高めたスポーツツーリング 欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電[…]
二輪事業では、世界6000万台の時代に世界シェア5割を狙う! ホンダが発表した2025年3月期における二輪販売台数は、世界シェア約40%の2057万台。37の国と地域において過去最高を達成したという。[…]
空冷Zと日産のL型エンジンに特化したパムス カワサキのZ1やZ2など空冷Zのオーナー、あるいはファンの方にとってパムスは有名すぎるほどのファクトリーに違いありません。 レース畑だった私(今井伸一朗)で[…]
RZ誕生の契機は「北米から欧州市場への転換」 ──1979年にプロトタイプが公開され、1980/1981年から発売が始まったRZ250/350は、当時としては非常にエポックメイキングな車両だった。まず[…]
構造もデザインも新設計! アールズ・ギアでは、すでにホンダGB350/S用のスリップオンマフラーを販売しているが、よりクラシックテイストのGB350Cがラインナップに追加されたことを受け、C専用のマフ[…]