
「タイプX」というサブネームを持つ1000ccクラスのCBが、ホンダの2024年モデルとしてスタンバイしているとの情報を入手した。ホンダのリッタークラスと言えばエンジンの選択肢は限られるが、まさかの新開発もありえるのか?! その正体を推測してみよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●CG:SRD
空冷1100復活!? それとも奇跡の直6爆誕?!
CBに1000cc級の排気量を持つ「タイプX」なる車両がスタンバイしている…という情報を入手した。しかも2024年に登場するホンダのニューモデルとしては、ヤングマシンでも既報のCB1000ホーネットと並ぶ最大級のトピックになるという。はたしてどのようなモデルになるのだろうか?
ホンダで1000cc級の現行エンジンと言えば、アフリカツイン系のパラツイン1082cc、CB1000Rの4気筒998cc、CBR1000RR-Rの4気筒999cc、生産は終了したが、WEBサイトにはまだ掲載中のCB1100系の空冷4気筒1140ccといったあたり。ざっくり分類すれば「水冷2気筒」「水冷4気筒」「空冷4気筒」のどれかになる。
まずは空冷4気筒だが、CB1100RS/EXはユーロ5および国内の令和2年排ガス規制に対応せず、‘21年のファイナルエディションをもって生産終了となったが、一時は排ガス規制に適合させるための研究が進められていたと聞く。数年の時間は開いたものの、まさかのビッグ空冷四発が復活となれば…これは胸熱以外の何物でもない!!
さらに気になるのは「タイプX」というサブネームだ。1000ccクラスのCBで“X”とくれば、ホンダファンならずとも想起してしまう1台があるだろう。1978年に登場したホンダ伝説の並列6気筒マシン「CBX(1000)」だ。
【HONDA CBX 1978年7月】空冷4ストローク車として、究極の姿を追求。GPレーサーと同じDOHC4バルブ6気筒エンジンを世界で初めて量産化した、ホンダ初の1000cc級スーパースポーツだ。■空冷4ストローク並列6気筒DOHC4バルブ 1047cc 105ps/9000rpm 247kg 5段変速 フロントWディスクブレーキ 6キャブレター
ホンダでは2010年代の後半、並列6気筒モデルを企画していた時期があり、外観の意匠登録もされているほか、エンジン回りの特許も出願されている。900cc前後だったというこのモデルは企画段階で中断したと聞くものの、意匠登録が2023年3月に更新されており、権利はまだ抹消されていない。「CBタイプX」として奇跡の再登板となれば、ホンダの存在感を強烈に高める1台となるのは間違いない。人気街道爆進中のカワサキZ900RSですら首筋が凍るはずだ?!
2018年2月1日に出願されたホンダ6気筒モデルの意匠登録図。前傾したシリンダーやダイヤモンド型のフレーム、ロケットカウル(小型4灯のヘッドライトを持つ)など、1966年の6気筒250ccレーサー・RC166をモチーフとしたデザインを持つ。エンジンは900cc相当の水冷を想定。当時、この車両は実車が存在しており、足回りや電装品の配置も非常に具体的なのが特徴だ。
水冷の並列6気筒エンジンを搭載するとしたら、ホンダのバイク史上初になる。
4気筒ならSUV系、2気筒ならスクランブラー?
かなり話を膨らませてしまったが、関係者の話によると、空冷1100復活の可能性は低いだろうとのこと。確かに数年で復活したら“ファイナルエディション詐欺”のそしりも免れない。ホンダファン感涙のCBX復活も本当であれば最高だが、電動化を推進中のホンダにおいては、直6はもちろんのこと、1000cc級のエンジンを新規開発するのも現実的ではなさそうだ。
つまり、エンジンは既存の水冷パラツインか水冷直4のどちらかだと思われ、車名も「CB1100タイプX」または「CB1000タイプX」といったあたりに落ち着くと考えられる。同時期にCB1000ホーネットという、バリバリの超速ストリートファイターが登場することを考えれば、こちらは一歩引いた性能を持つ、ツアラーかヘリテイジモデルあたりが落としどころになるはずだ。
タイプXというサブネームも、普通に考えれば昨今流行のクロスオーバータイプと捉えていいだろう。このジャンルには方向性が2つあり、ひとつはヤマハのトレーサー9 GTやBMWのS1000XRといった快速SUVモデル。もうひとつがトライアンフのスクランブラー1200やBMWのRナインTスクランブラーに代表される、ヘリテイジ系のスクランブラーモデルだ。
4気筒の「CB1000 Xタイプ」であれば、同時期に登場するホーネットから派生したSUVモデルと見て間違いないだろう。2気筒の「CB1100 Xタイプ」の場合はアフリカツイン一族となるわけだが、既に存在する派生3機種(ホーク11/レブル1100/NT1100)との棲み分けを考えると、SUV系はNT1100との距離感が近すぎるように感じる。であればヘリテイジ系のスクランブラーモデルか?
最初に述べたように、この“タイプX”はホーネットに並ぶホンダ2024モデルの代表機種となるらしい。となればホンダの既存ラインナップには存在しない、ビッグスクランブラー誕生のセンが有力なのかもしれない。2024モデルのため、登場は今秋のミラノショーで確定。同じく秋のジャパンモビリティショーで披露される可能性も高いだろう。期待して答え合わせを待ちたい!!
2017年に噂が上った際に制作した予想CG。 ※無断転載禁止
同じく2017年の予想CG(左)で、こちらはカフェレーサータイプ。右はホンダ6気筒の祖と言える、1966年のワークスGPレーサー・RC166。 ※無断転載禁止
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念という[…]
CB400SFのリニューアルではなく、完全新設計の可能性 ヤングマシンでは以前より、ホンダが400〜500ccクラスのミドル4気筒を開発中と報じてきたが、それはCB400SF/SBを最新規制に合わせア[…]
次世代のCBとして計画されていた、ホンダのCB‐Fコンセプトが開発中止となってしまったのは非常に残念だが、次期CB計画そのものがなくなってしまったわけではない。それどころか、ヤングマシン編集部ではかな[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
過渡期に生まれながらもマシン全体の完成度は抜群 ’59年にCB92を発売して以来、各時代の旗艦を含めたロードスポーツの多くに、ホンダはCBという車名を使用してきた。そして昨今では、ネイキッド:CB、カ[…]
Nプロジェクトを彷彿とさせる魅力的なデザイン スクエアX125最大の魅力は、その名の通り「スクエア(四角)」を体現した、垂直の箱型ボディだ。空気抵抗を減らすカウルを持つことが主流の現代のスクーターデザ[…]
250cc水冷90°V型2気筒でDOHC8バルブが、たった2年でいとも容易くパワーアップ! ホンダが1982年5月、V型エンジン・レボリューションのVF750Fに次ぐ第2弾としてVT250Fをリリース[…]
戦闘力を高めるヘッドギア「ダインギア ヘッドアーマー」 クロスカブ110の個性をさらに際立たせ、カスタムの方向性を決定づけるほどの高いデザイン性を持つパーツが登場した。それがダイバディプロダクションが[…]
ハイエンドユーザーに向けたスーパーフラッグシップは何と乗りやすく調教済み! 1980年代に入ると、ホンダが切り札としていたV型4気筒は世界のレースで圧倒的な強みを発揮、それまでの主流だった並列(インラ[…]
人気記事ランキング(全体)
250cc水冷90°V型2気筒でDOHC8バルブが、たった2年でいとも容易くパワーアップ! ホンダが1982年5月、V型エンジン・レボリューションのVF750Fに次ぐ第2弾としてVT250Fをリリース[…]
インカムが使えない状況は突然やって来る!ハンドサインは現代でも有効 走行中は基本的に1人きりになるバイク。たとえ複数人でのマスツーリングだとしても、運転中は他のライダーと会話ができないため、何か伝えた[…]
悪質な交通違反の一つ、「無免許運転」 今回は無免許運転をして捕まってしまったときに、軽微な違反とはどのような違いがあるのか紹介していきます。 ■違反内容により異なる処理無免許運転の人が違反で捕まった場[…]
6/30:スズキの謎ティーザー、正体判明! スズキが公開した謎のティーザー、その正体が遂に判明したことを報じたのは6月30日のこと。ビリヤードの8番玉を写した予告画像は、やはりヤングマシンが以前からス[…]
RZ250の歴代モデル 1980 RZ250(4L3):白と黒の2色で登場 ’80年8月から日本での発売が始まった初代RZ250のカラーは、ニューヤマハブラックとニューパールホワイトの2色。発売前から[…]
最新の投稿記事(全体)
進化した単気筒TRエンジンは5%パワーアップの42psを発揮! トライアンフは、2026年モデルとして400シリーズの最新作×2を発表した。すでにインドで先行発表されていたカフェレーサースタイルの「ス[…]
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
鮮やかな“パールビガーブルー”のスペシャルエディション登場 スズキは「ハヤブサ」をマイナーチェンジし、2025年12月24日に発売すると発表した。アルティメットスポーツを標ぼうするマシンは、リチウムイ[…]
過渡期に生まれながらもマシン全体の完成度は抜群 ’59年にCB92を発売して以来、各時代の旗艦を含めたロードスポーツの多くに、ホンダはCBという車名を使用してきた。そして昨今では、ネイキッド:CB、カ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
- 1
- 2







































