ホンダコレクションホール20周年特集#15

量産車世界初 DOHC24バルブ6気筒のCBX(1000)が走行

2018年7月16日と9月24日、ツインリンクもてぎの南コースでホンダコレクションホール開館20周年記念イベントが開催された。いつもの動態確認テストはレーサーなどが多かったが、今回は20周年記念ということで市販製品特別走行が実施され、ホンダの黎明期から現在までのエポックメイキングなモデルが走行を披露した。

6気筒はX=究極のCBと名付けれらた

多気筒化によるエンジンの高出力化は、1960年代の世界GPでホンダが実証していた。多気筒化によりエンジンストロークをショートストロークにでき、さらに1気筒当たりの動弁系を軽くすることにより、多気筒=高回転高出力が可能になったといえる。そして250ccクラスにはRC166という6気筒レーサーを投入し、全戦全勝という圧倒的なパフォーマンス見せつけたのだ。市販車においても’69年にホンダが世界初の量産市販車4気筒マシンCB750フォア発表すると、市場では大排気量多気筒という戦国時代に突入する。すでにリッター4気筒は当然の時代に移り変わり、各メーカーは新しいフラッグシップの模索を開始していくのだった。

そして、’78年に満を持してホンダが発表したのが、空冷6気筒マシンのCBXだ。6気筒の市販車自体は、イタリアのベネリ750セイが存在していたが、これは日本車4気筒マシンの台頭に対して、CB500フォアを模して作った4気筒の500クアトロに、2気筒を加えて開発したもの。これに対してCBXは、ホンダのフラッグシップに相応しい完全な新設計だった。コンセプトはRC166。排気量こそ4倍ではあるが、空冷DOHC4バルブ6気筒にダイヤモンドフレームを採用。細かいところでは長くなってしまうカムシャフトを3気筒×2本とし、オルダムジョイント連結して熱歪みや振動対策を施す手法までも、RC166に準じていた。

【HONDA CBX 1978年7月】空冷4ストローク車として、究極の姿を追求。GPレーサーと同じDOHC4バルブ6気筒エンジンを世界で初めて量産化。ホンダ初の1000cc級スーパースポーツ。■空冷4ストローク6気筒DOHC4バルブ 1047cc 105ps/9000rpm 247kg 5段変速 フロントWディスクブレーキ 6キャブレター
【HONDA RC166 1967年】’60年代の世界GP250/350ccクラスに、ホンダはDOHC4バルブ空冷6気筒のRC166/174を投入し、圧倒的な強さを発揮していた。■空冷4スト並列6気筒DOHC4バルブ 249.43㏄ 60ps以上/18000rpm 112㎏

エンジン幅はCB750フォアよりも狭くバンク角は41.5度を確保

バンク角を深くする目的とエンジンフリクションの低減を狙い、クランクシャフトはジャーナル径およびピン軸径を小さくし、慣性マスが大きなACGはクランクシャフト端部ではなくシリンダー背面に配置している。その結果、エンジン幅は当時のCB750フォアより狭く、車体バンク角は41.5度を確保することに成功。プライマリーシャフトはエンジンの後方に配置され、その両端にACGと点火装置を取り付け、スターターモーターはプライマリーシャフトを駆動する機構としている。さらに、自然なライディングポジションを確保し、ニーグリップも可能になるように、シリンダーヘッドの吸気ポートを車体中心方向へ集中するように配置。左右の3連キャブレターが中央でV字型になるようにしている。

高回転高出力型エンジンを狙ってバルブ系の重量を最小にするために、直押し式バルブリフターを採用し、またタペットクリアランスの調整が容易なように、シムはリフター頭部に配置している。
キャブレターはΦ28mmのケーヒン製負圧式。ホイールはホンダ独自のコムスターでリヤショックにはFVQダンパーを導入している。メーターは戦闘機をイメージしたものでハンドルはセパレートタイプだった。

取材協力:本田技研工業/ホンダモーターサイクルジャパン

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