
スズキの逆輸入車として日本でも買うことができていたGSX-R750およびGSX-R600は、それぞれ2018年/2017年モデルを最後に排出ガス規制の関係などから国内導入が終了している。しかし、北米仕様は今も生き残り、今夏は2024年カラーが発表されるに至った。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
38年の歴史を誇るナナハン・スーパースポーツ
1985年当時、ナナハンと呼ばれていた750ccクラスに油冷エンジン搭載のGSX-R750でレーサーレプリカの概念を持ち込んだのがスズキだった。AMAスーパーバイクをはじめとしたレースシーンでは4ストローク4気筒の排気量上限が750ccに設定されていたこともあり、これによって“ナナハン”はレースユースに直結したクラスとして隆盛を極めていく。
1992年にGSX-R750は水冷エンジンとなり、比較的短いスパンでモデルチェンジを繰り返してきた。1996年モデルではツインスパーフレームを採用し、その翌年には兄弟車としてGSX-R600も登場。ともにスーパースポーツとして支持されてきた。
情勢が一気に変わったのは2004年だ。スーパーバイク世界選手権で4気筒の排気量上限が1000ccに引き上げられ、それまでレースとは一線を画して公道でのスポーツ性を高めてきていたリッタースポーツがこぞってレースベースとしての資質を備えるようになった。これにはモトGPの4ストローク1000cc化の影響もあったほか、CBR900RRの登場に端を発したリッタークラスの充実で、ナナハンクラスはレース以外での活躍の場が減ってきていたこともあっただろう。
という具合にGSX-R750の誕生から近年までの歴史を駆け足で振り返ってみたが、他メーカーが750ccスーパースポーツをラインナップから外していくなか、最後まで生き残っているのが他ならぬGSX-R750であることは間違いない。
日本では2018年まで逆輸入車として買うこともできたが、現在は中古車として流通するのみ。しかし、排出ガス規制の関係でまだ販売が続けられる北米市場においてはGSX-R750およびGSX-R600が継続販売され、毎年のようにカラーチェンジを続けている。
参考: マルコ・ルッキネリ[1981年]
さて、北米の2024年モデルとして公開されたGSX-R750は、モトGPレプリカのトリトンブルーは2023年モデルが継続販売されるほか、往年の青×白を最新版にして復活。また、藍色がかった白×青は2023年モデルから差し色を変更し、1981年にマルコ・ルッキネリがロードレース世界選手権GP500ccで世界チャンピオンに輝いたときのマシンにやや近いイメージになった。また、2023年モデルでGSX-R1000に採用していた黒を、差し色を変えながら継承。計3色ともすべてニューカラーとなった。
なお、スペックに変更はない模様で、価格は2024年モデルのGSX-R750が1万2999ドル(日本円換算約186万8000円)、2023年モデルを継続販売するGSX-R750Zが1万2949ドル(約186万円)だ。
SUZUKI GSX-R750[2024 U.S. model]
【SUZUKI GSX-R750[U.S. 2024 model]】主要諸元■全長2030 全幅710 全高1135 軸距1390 シート高810(各mm) 車重190kg■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 750cc 出力未発表 変速機6段 燃料タンク容量17L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ※諸元は北米仕様
SUZUKI GSX-R750Z[2023 U.S. model]
このマシンは、2020年にスズキ創業100周年を記念してイタリアで製作された歴代チャンピオンレプリカのGSX-R1000Rのうちの1台だ。1954年生まれのイタリア人、マルコ・ルッキネリは1981年シーズンに5勝を挙げ、さらに2つの表彰台を追加することでワールドチャンピオンを手にした。この時期のスズキはコンストラクターズタイトルも支配しており、ライダータイトルのトップ10に5台のスズキがいたほど。マルコは「クレイジーホース」のニックネームでも呼ばれていた。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
1980年代カラーと最新スーパースポーツを融合 スズキが北米で2023年モデルのGSX-Rシリーズを発表した。GSX-R1000R/GSX-R1000/GSX-R750/GSX-R600それぞれにニュ[…]
2022年8月には新世代GSX-R1000と思われるエンジンの特許情報が公開され…… スズキは国内の公式HPで、リッタースーパースポーツ「GSX-R1000R」および軽二輪スクーター「バーグマン200[…]
レプリカの一時代を築いたGSX-R 令和2年排出ガス規制≒ユーロ5に未対応のGSX-R1000Rが生産終了(国内および欧州モデル)。このニュースに衝撃を受けたライダーは少なくないだろう。モデルチェンジ[…]
さらばトップパフォーマー!【スズキGSX-Rを振り返る パート1】大排気量レプリカの先駆け! はこちら 1000cc時代を戦う「No.1 Sportbike」を目指す 21世紀に入り、大排気量スーパー[…]
扱い切れるスポーティ、それが4気筒ナナハンの真骨頂 「やっぱりナナハンは面白い!」 ワインディングロードをGSX-S750で流しながら、ワタシはしみじみそう思った。 イマドキ、ハイパフォーマンススポ[…]
最新の関連記事(新型スーパースポーツ)
“グローバルカラー”をうたうマットパールホワイト インディアヤマハモーター(IYM)は、水冷単気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ「R15 V4(V4=第4世代の意 ※日本名YZF-R15)」の新[…]
欧州仕様に準じた仕様でKYB製フロントフォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを採用するR1 2026年シーズンをヤマハ車で戦うライダーに向け、サーキット走行専用モデルの新型「YZF-R1 レ[…]
兵庫県西明石発、エンジニアリングの宝石がここに まだまだ続くよ北米で! 国内では2021年モデルの予約受注をもって販売終了が宣言されたニンジャH2/H2カーボン、およびクローズドコース専用のモンスター[…]
新ライムグリーンのほかグレー系2色も新ラインナップ カワサキは、4気筒600ccスーパースポーツ勢に対し37ccのアドバンテージを持つ「ニンジャZX-6R」の車体色を変更し、スマートフォンアプリの新機[…]
購入希望者は改めての発売案内を待つべし Ninja ZX-10RRのエンジンを搭載したビモータ製スーパーバイク「KB998 Rimini」が正式発表されたのは2025年5月。スーパーバイク世界選手権を[…]
最新の関連記事(新型大型二輪 [401〜750cc])
オーバー500cc・ビッグシングルの力強さ 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。 歴史的ビッグネームの「ゴールドスター」は1938年から1963年まで製造された、BSAの代名詞の[…]
イタリア魂が込められたフルサイズ125ccネイキッド 2018年デビュー以来、その美しいスタイリングと俊敏なハンドリングで世界を魅了してきたキャバレロは、今回の2025年モデルで「クオーレ・イタリアー[…]
新型CL500の進化が! 気がつけば長距離を走っているスクランブラー「CL500」がマイナーチェンジを果たして新登場します! ご存じかと思いますが、CLシリーズには250ccの「CL250」も存在しま[…]
世界の二輪市場にBSA復活を知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
日本では400だが、グローバルでは500(451ccエンジン)のエリミネーター 欧州でエリミネーター500/SEに新色が登場した。日本仕様でプラザエディションとしてラインナップされる『メタリックインペ[…]
人気記事ランキング(全体)
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
カスタムスピリットから生まれた英国ブランド まずMUTT Motorcyclesというブランドについておさらいしておこう。2016年、英国バーミンガムでカスタムビルダーのWill RiggとBenny[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
最新の投稿記事(全体)
エンデュランス バイクETCケース 汎用 EK395HANA1の概要 エンデュランスのETCケース EK395HANA1は、材質にSUS304を採用した黒塗装仕上げで耐久性と防錆性に配慮された製品です[…]
FLHXSE CVOストリートグライド:CVOでは唯一となるバットウイングフェアリング フラッグシップモデルを象徴するバットウイングフェアリング。そのアイコンを持つ最上級仕様が「CVOストリートグライ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
- 1
- 2