【もしかしてこれが最後?!】“ナナハン”4気筒だけのグッドバランス……スズキ「GSX-S750」に青木宣篤が試乗

  • 2022/06/24
  • 【BRAND POST】スズキ

こんなにもいいバイクが、こんなにも素晴らしい4気筒ナナハンが、ニッポンにはまだある──。地元・群馬のワインディングを駆けながら、青木宣篤さんは静かに感動していた。コーナーを愛でるように、GSX-S750を走らせる。伸びやかなエンジンフィールに包まれて……。

●まとめ:高橋剛 ●写真:長谷川徹 ●BRAND POST提供:スズキ

Suzuki GSX-S750[2022]

【TESTER 青木宣篤】全日本ロードGP250クラスを経て、’93年から世界GPへ。’97年、最高峰のGP500クラスでランキング3位となり、新人賞を獲得。翌’98年にはGSX-R750で鈴鹿8耐にも参戦している。 [写真タップで拡大]

扱い切れるスポーティ、それが4気筒ナナハンの真骨頂

「やっぱりナナハンは面白い!」

 ワインディングロードをGSX-S750で流しながら、ワタシはしみじみそう思った。

イマドキ、ハイパフォーマンススポーツバイクの主流は1000ccになった。実際、よくできたバイクも多い。

しかし正直なところ、1000ccともなるとワタシのようなレーシングライダーでも持て余す場面が多い。サーキットを走るにも緊張感があるし、公道ではあまりに速すぎるがゆえに、そうおいそれとスロットルレバーをひねることができない。ステイタス性はたっぷりあるが、使いどころが悩ましいのが1000ccだ。

ナナハンにそこまでの気負いは不要だ。GSX-S750を走らせ始めてすぐに感じるのは、圧倒的な軽さによる旋回力の高さだ。排気量が小さく、コンパクトな車格だから、クルクルとよく曲がってくれる。

パワーそのものは、1000ccには及ばない。排気量が3/4なのだから当たり前だ。だがGSX-S750には、引っ張り切れる爽快感がある。エンジンを回す気持ちよさは、4気筒ということも大きい。残念ながらほぼ絶滅種になりつつある4気筒のシルキーな回転上昇フィールは、ぜひとも多くの皆さんに味わってほしいものだと心から思う。

Suzuki GSX-S750[2022]
Suzuki GSX-S750[2022]

~現行唯一、スズキが育んできた4気筒750ccに乗る~ [写真タップで拡大]

……と、絶賛しながら、実はワタシ、反省してもいる。最初のウチはナナハンをちょっと下に見ていたのだ。

10年ほど前のこと。もうすでにハイパフォーマンススポーツバイクと言えば1000ccが当たり前、という時代だ。レースカテゴリーの排気量レギュレーションもあって、スーパーバイクは1000cc、スーパースポーツは600ccが常識だった。

筑波サーキット・コース2000で行われたとある走行会で「ちょっと、GSX-R750にも乗ってみてよ」と声を掛けられたのだが、「う~ん」と、あまり気乗りしていなかった。

ところが、いざ走り出してみると、ものすごくイイ(笑)。あまり緊張せず、でもほどよいスポーツライディング感覚が味わえて、物足りなさもない。

その時、「ナナハン=扱い切れるちょうどよさ」という言葉が脳裏に浮かんだのだった。さすが、スズキが長年にわたって大事にし続けてきた排気量だけのことはある。

そして言うまでもなく、今回試乗したGSX-S750もその流れを汲んでいる。ネイキッドだからメインステージは公道ということになるが、そこでの楽しさ、そして車格と排気量のバランスはピカイチだな、と改めて感じ入るものがあった。

「バランス」ということでひとつ美点を挙げておきたいのは、前後バランスのよさだ。フロントにしっかりとした接地感があり、街乗りからワインディングまで、路面状況に関わらず安心感が高い。「扱いやすさって、こういうことだよなあ」と感心するほどだった。

Suzuki GSX-S750[2022]

【RIDING POSITION 身長178cm/体重70kg】またがって足を下ろすとそこにステップがあり、手を伸ばすとそこにハンドルがある。すべてにわたって自然で、「作り込まれているな」と感じさせるポジション。コンパクトだが窮屈感はない。 [写真タップで拡大]

原点であるGSX-R750が発売された当時、ワタシはまだミニバイクレース真っ最中の15歳だった。だから「ナナハン」はまだ遠い憧れだった。プロのレーシングライダーになってからはほぼサーキットオンリーで、とにかくタイム、タイム、タイムという世界に生きてきた。バイクのフィーリングや心地よさなんてまったく眼中になかったのだ。

でも今、こうして年齢を重ねて公道でもバイクを楽しむようになると、改めて「ナナハン」の価値がよく分かる。GSX-S750で無理なく味わえる、スポーツライディングの気持ちよさ。そして回し切れる4気筒エンジンの爽快感は、一般ライダーの皆さんでも十分に感じていただけるものだ。

実は映画版「ナナハンライダー」にもチラリと友情出演したことがあるワタシ。「ナナハン」という言葉の響き、そして「4気筒ナナハン」が示してくれるスポーツライディングの喜びに対しては、ちょっと特別な思いがある。

GSX-S750の生産終了が予定されているという。こういう傑作モデルが消えて行くのは、とても寂しいことだ。スポーティでありながら扱いやすい「4気筒ナナハン」の魅力を味わえるのも、残りわずかだ……。

──記憶に残るナナハン── 750ccが最高峰という時代があった

’69年に登場して大ヒットとなったホンダ・ドリームCB750FOURは、ナナハンブームに火を点け、国産高性能スポーツバイクの雄として世界にその名を轟かせた。国内仕様の排気量上限を750ccとするメーカー自主規制のきっかけにもなり、「ナナハン」は憧れの的となった。各社がネイキッドを中心にナナハンを展開する中、スズキは’85年、アルミダブルクレードルフレームに油冷エンジンを搭載するGSX-R750を発売。’96年にフルモデルチェンジを果たすと熟成を続け、そのスポーティさは最新ネイキッドGSX-S750にも受け継がれている。

HONDA CB750FOUR / KAWASAKI Z2(750RS)

【HONDA CB750FOUR / KAWASAKI Z2(750RS)】国産高性能ナナハンの発端となったのはCB750FOUR。カワサキがZ2を登場させるなど各メーカーが追随し、ナナハンは大ブームに。 [写真タップで拡大]

SUZUKI GSX750S[1982]

【SUZUKI GSX750S[1982]】1100ccだったカタナだが、国内には750ccの自主規制があった時代。セパハンも違法で、苦肉の策として登場したGSX750Sは「伝説の迷車」に。 ※写真はスクリーン標準装備のSS [写真タップで拡大]

SUZUKI GSX-R750[1985]

【SUZUKI GSX-R750[1985]】軽量コンパクトな車体にハイパワーエンジンを搭載し、スポーツバイクの常識を覆した’85年リリースのGSX-R750。スーパーバイクの礎に。 [写真タップで拡大]

SUZUKI GSX-R750[1996]

【SUZUKI GSX-R750[1996]】WGP500マシンRGV-Γのディメンジョンを参照したアルミツインスパーフレームに128psエンジンを搭載。軽量化も果たし運動性能向上。 [写真タップで拡大]

【マシン解説】よく曲がる車体、よく回るエンジン

Suzuki GSX-S750[2022]

【レーシングテクノロジーを惜しみなく投入】GSX-R750直系のエンジンを搭載するなど、レースで鍛え上げられたテクノロジーを惜しみなく投入。スポーツライディングの楽しさとツーリングに対応する快適性を兼ね備えたミドルクラスネイキッド。’17年に登場したベストバランスモデルだが、生産終了が取り沙汰されている。

【GSX-S750 ABS】主要諸元■全長2125 全幅785 全高1055 軸距1455 シート高820(各mm) 車重212kg(装備)■水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 749cc 112ps/10500rpm 8.2kg-m/9000rpm 変速機6段 燃料タンク容量16ℓ■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:98万7800円 ●色:青×黒、灰×黒、艶消し黒 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

アスリートの引き締まった筋肉を思わせる有機的なフォルムが特徴的。彫刻のように陰影が強調され、スポーツバイクらしい躍動感と凝縮感、アグレッシブさを備えている。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

バンク角を稼ぐために異形断面形状を採用したマフラー。最新モデルではマフラーカバーがシルバーに。デザインのアクセントになっている。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

低く構え、厚みのあるフロントまわりが迫力を醸し出す。倒立フォークのアウターチューブの色は、車体色によりゴールドまたはブラック。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]
Suzuki GSX-S750[2022]

視認性が高いデジタルメーターには3モードトラクションコントロールの表示も。ハンドル左側のスイッチにより、1~3の3段階とOFFの設定可能だ。テーパーハンドルバーはマットブラック仕上げ。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

実績あるGSX-R750の高性能エンジンを、ストリート向けに最適チューニングし、パワーと扱いやすさを両立。シルキーな回転上昇フィールに加え、ライダーの耳を刺激する官能的な直4サウンドを奏でる。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

シャープに跳ね上げられたテールカウルまわり。ウインカーとナンバープレートはステーマウントされており、軽快なリヤまわりを演出する。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

シャープな形状のヘッドライトは、両下端に野獣のキバをモチーフにしたポジションランプを備え、ダイナミックな生命感を表現している。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

フューエルリッドまわりのエッジの利いたディテールが特徴的な燃料タンクが、ボリューム感のあるマッチョさを演出する。容量は16Lだ。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

着座面がタイトに設計され、運動性能の高さと快適性を両立するライダーズシート。タンデムシートも十分なクッション性を確保している。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

前輪は120/70ZR17 、後輪は180/55ZR17を履く。前後のバランスは高い次元でまとめられており、接地感とトラクション感が良好だ。 [写真タップで拡大]

Suzuki GSX-S750[2022]

ペタルタイプのダブルディスクをフローティングマウント。NISSIN製4POTキャリパーはラジアルマウントで剛性とコントロール性を両立。 [写真タップで拡大]

※本記事はスズキが提供したものであり、著作上の権利および文責は提供元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。

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