手頃な価格と動力性能で人気のミドルクラス帯。2気筒が主流のこのクラスに、希少な並列4気筒で独自の存在感を放っているのがCBR650RとCB650Rの兄弟だ。最新排ガス規制に対応した’23モデルでもその魅力は変わらぬまま。ヤングマシンメインテスターの丸山浩による試乗で、この2車の味わいを改めて明らかにする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
エンジン特性は同一ながら走りのキャラクターに違い
共通プラットフォームを持つCBR650RとCB650R。’23のモデルチェンジは性能的な面で言うと令和2年度排出ガス規制適合のみで、車重と最大トルクにも若干の変更を受けたとはいえ、先代と大差ない。他に変わったのは車体色で、CBRは今回試乗した新色のパールグレアホワイトが登場したほか継続色のレッドとブラックもケースカバーなど一部配色を変更、CBも同様に車体配色を変更した。特にCBRの新色ホワイトは爽やかで売れそうだ。
さて、この2台の最大のセールスポイントは、なんと言っても国産ミドルクラスでは今や貴重になった直列4気筒エンジンだろう。その特性はどちらも同じで、CBR600RRのようにヒュンヒュンと高回転まで一気に吹け上がる軽い感じではなく、ブン回して乗らずとも下からモリモリと盛り上がる力強いフィーリング。存分にビッグバイクらしい雰囲気を楽しませてくれるというものだ。
この低中回転域に寄せた特性は、箱根の坂をなんなら4000rpm程度でも気持ちよく駆け上がってしまうなど、峠でも実に扱いやすい。マフラーもスロットルを開けるとガオーッと吠えて大排気量直列4気筒らしさを感じさせる演出だ。もちろん直列4気筒なので高回転もしっかり回り、レッドゾーンは1万4000rpmから。この高回転域もレーシング系直列4気筒のようなギュンと一気に上がり詰めたところから急激にストールしていくタイプではなく、上がりきっても緩やかにパワー感が下がっていくので分かりやすい。
ライディングポジションで2台が異なるのはハンドルバーの設定のみ。しかし、それだけで明確に走りのキャラクターには違いが生み出されていた。セパレートハンドルのCBRは絞り角が付いて狭まっている分、CBより若干の重さや手応えを感じるように。また軽めだが前傾姿勢なのでフロント荷重を使って丁寧に走りを組み立てるスポーツバイクらしい乗り方がより楽しめる。一方、CBの幅広でフラットなバーハンドルはストリートファイター的で軽快感を押し出しており、ライダーとの距離もより近いことからあまり難しく考えなくても峠をヒラヒラと走ってくれ、ビギナーを中心に万人向けな感じだ。
車重はCBRが208kg、CBが203kgと同クラスの2気筒マシンよりは重くなるものの辛すぎることは無く、むしろその手応えや安定感でビッグバイクらしい所有感をも満たしてくれる。そんな本格直列4気筒大排気量マシンの醍醐味を、CBRだと(単色モデルで)107万8000円、CBだと100万1000円から味わわせてくれるとは実に良心的と言うほかない。
ホンダ CBR650Rディテール解説
ホンダ CB650Rディテール解説
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(CBR650R/Eクラッチ)
実用性と趣味性の両方を高める機構、しかも廉価に 正直言って感動せずにはいられなかった。何がって、CBR650RとCB650Rに初搭載された「Honda E-Clutch(以下、Eクラッチ)」だ。エンジ[…]
フルカウルとヘッドライト意匠を変更 ホンダはCBR650Rをマイナーチェンジし、2024年モデルとして6月13日に発売する。外観はヘッドライト、アッパーカウル、ミドルカウル、アンダーカウル、リヤカウル[…]
ユーロ圏では400ユーロ差、フランスではEクラッチ仕様のみ発売、英国は100ポンド差……!! 昨秋のEICMAで発表されて以来、注目の高いホンダの新しい技術「ホンダEクラッチ(Honda E-Clut[…]
192psを発揮したCBR1000RR(SC77)ベースの4気筒エンジンを搭載するCB1000ホーネット 新設計のスチール製ツインスパーフレームに、CBR1000RR(最後のダブルアールことSC77)[…]
クラッチ操作「する/しない」が選べる?! ホンダ「Eクラッチ」って? 発進/変速/停止時のクラッチ制御を自動で行うホンダの新世代MTがEクラッチ 。シフトペダル操作は必要だが走行中のクラッチ操作は不要[…]
最新の関連記事(CB650R/Eクラッチ)
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
実用性と趣味性の両方を高める機構、しかも廉価に 正直言って感動せずにはいられなかった。何がって、CBR650RとCB650Rに初搭載された「Honda E-Clutch(以下、Eクラッチ)」だ。エンジ[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
ベース車両の価格は1万1000円アップ ホンダはCB650Rをマイナーチェンジし、2024年モデルとして6月13日に発売する。外観はヘッドライト、シュラウド、リヤカウル、テールランプなどのデザインを一[…]
人気記事ランキング(全体)
エンジンもシャーシも一気に時代が進む 第1回の記事では、新型CB400がトータルバランス路線を取り、77psを発揮するカワサキZX-4Rのような高性能路線には踏み込まない…という情報に対し、プロは「バ[…]
日本で登場したときの想定価格は60万円台か カワサキはタイに続き北米でも「W230}を発表。空冷233cc単気筒エンジンはKLX230のものをベースとしているが、レトロモデルにふさわしいパワー特性と外[…]
世界初、デイタイムランニングライトにウインカーを統合 ホンダは欧州で新型「X-ADV」を発表。ヘッドライトまわりを含むフェイスリフトに加え、テクノロジーやオールラウンドな扱いやすさに磨きをかけたという[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
車検のある機種は熊本製作所で作る? 新開発の400cc4気筒エンジンを搭載し、CB400スーパーフォアの後継機として、開発中のホンダ新型CB400。WEBヤングマシンでの注目度もとても高く、2025年[…]
最新の投稿記事(全体)
世界屈指のバイクを味わい尽くすには、日本最高峰の鈴鹿サーキットをおいてほかにない 近畿/東海圏でBMWディーラーを展開するミツオカグループ(光岡自動車)。店舗ごとにさまざまなイベントを随時開催している[…]
違いますよね、分かってます。でも比べてみたんです。 原付二種・異種格闘技戦勃発?! 今回は人気の125ccの中から趣味性の高いマニュアルトランスミッションモデル、いわゆる“ギヤ付き”のヤマハXSR12[…]
エンジンもシャーシも一気に時代が進む 第1回の記事では、新型CB400がトータルバランス路線を取り、77psを発揮するカワサキZX-4Rのような高性能路線には踏み込まない…という情報に対し、プロは「バ[…]
2024 MotoGP日本グランプリが開幕(10/4) FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が主催する世界最高峰の二輪レース「2024 MotoGP™ 世界選手権シリーズ」の第16戦・日本グランプリ[…]
まるで極楽浄土に迷い込んだような景色 例年は、9月ごろが見頃の埼玉県日高市の巾着田の曼珠沙華。2024年は暑さが長引いたせいか、10月前半が見頃とのことで、さっそく、日高市に向けてツーリングに出かけた[…]
- 1
- 2