![[’86-]ホンダ VFR400R:ワークス直系! ホンダ本気のレプリカ【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/05/108-01c.jpg)
’80年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。本記事ではホンダのレーサーレプリカ大本命、VFR400Rとその後継であるRVFを取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
勝利しか認めぬホンダの本気〈ホンダ VFR400R〉
世界初の水冷V型4気筒を搭載したマシンは、’82年に登場したホンダVF750マグナ/セイバーとなるが、400クラスでは同年12月発売のVF400Fが最初であった。このVF400Fはレースでも強く、全日本TT-F3ではFZRから年間タイトルを奪取。’85年以降、3年連続でチャンピオンを獲得している。
’86年、ワークスレプリカとして、またVFの後継として車名も新たに登場したのが、このVFR400R(NC21)だ。心臓部はVFと同様のボア×ストロークを持つ水冷90度V4だが、動弁系を高回転時の伝達ロスが少ないカムギアトレーンに一新した全くの別物。これを搭載するアルミフレームは、2本の極太メイン部材を持つとともにエンジン自体を剛体の一部としたダイヤモンド式ツインチューブを採用。待望のフルカウルを身にまとい、優れた操縦性を実現した。
’87年にはワークスRVFと同様の片持ちスイングアーム=プロアームを装備したII型へチェンジ(NC24)。さらに’89年にはⅢ型へ進化。これはTT-F1レプリカのVFR750R(RC30)の400㏄版と言えるモデルで、型式名のNC30の名がよく知られている。初代から人気を博していたが、NC30で一段とセールスを伸ばした。
’94年にはRVF(NC35)に刷新。これが事実上の最終型となった。
【’86 HONDA VFR400R】■水冷4ストV型4気筒 DOHC4バルブ 399cc 59ps/12500rpm 4.0kg-m/10000rpm ■164kg ■タイヤサイズF=120/60R17 R=150/60R18 ●当時価格:74万9000円 ※諸元は’89年式
独特なサウンドを奏でる水冷90度V4。2気筒並みのスリムさとカムギアトレーンが特徴だ。
750クラスに匹敵する極太の目の字断面アルミフレーム。ラジエターはアルミ製で上下2段に配置する。
【お楽しみ特別仕様】II型では8耐男のガードナーになりきれるロスマンズ、III型ではVFR750R/RC30カラーを用意。[写真左 ロスマンズ/写真右 RC30カラー]
【エンデュランススペシャルカラー】’92年の8耐はガードナー+RVFが制覇。そのOKIカラーを再現。
ホンダ VFR400Rの系譜
’86 ホンダ VFR400R:伝家の宝刀カムギアトレーン
【’86 HONDA VFR400R】常勝レーサーRVFのレプリカとして登場。ホンダ独自のカムギアトレーン+水冷V4を搭載。
’87 ホンダ VFR400R:プロアームや集合管を採用
【’87 HONDA VFR400R】両持ち式から片持ち式のプロアームに。集合管を採用し、トルクは3.7→4.0kg-mにアップ。
’89 ホンダ VFR400R
【’89 HONDA VFR400R】シリーズ決定版となったNC30は本年式から。2眼となり、5角断面フレームやバックトルクリミッターを装備。マフラーは左出しに。
’90 ホンダ VFR400R
【’90 HONDA VFR400R】前後サスペンションの強化が施され盤石の体制に。
派生モデル:’86 ホンダ VFR400Z
【2眼は耐久イメージ!?】カウルレスのZは、RC30に先駆けて2眼を採用。Rより3万円安く、ハンドリングも軽快だった。
400最強の座は後継機へ〈ホンダ RVF〉
’94年に全面改良されたVFRは、車名をワークスと同じRVFに変更。V4はレスポンスを向上し、新設計フレームに搭載。倒立フォークやラムエアのほか、リヤ17インチを採用した。400レプリカの決定版として’99年頃まで販売された。’96年型でグラフィックを変更したが、諸元に変更はない。
【’94 HONDA RVF】■水冷4ストV型4気筒 399cc 53ps/12500rpm 3.7kg-m/10000rpm ■165kg ●当時価格:78万円
【’96 HONDA RVF】
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
多岐にわたる仕様変更が行われた9年間 9年に及んだ生産期間中の仕様変更は多岐に及んでいる。ただしそのおもな目的は、最高出力や最高速の向上ではなく、扱いやすさや安全性に磨きをかけることだった。 1969[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
既存の常識を打ち破る驚異的な動力性能 昨今ではあまり話題にならないものの、’70年代以降の2輪業界で、もっとも長く”世界最速”の称号を保持していた…と言うより、もっとも世界最速に”こだわっていた”メー[…]
未知の領域だった大型スポーツバイク市場 第二次大戦後の’48年に創立したにもかかわらず、’60年代初頭には欧米の古豪を抜き去り、販売台数で世界一の2輪メーカーになっていたホンダ。もっとも当時の主力機種[…]
2ストロークで大型フラッグシップの高級路線へ挑戦! ホンダが1968年にCB750フォアで世界の大型バイク・メーカーに挑戦を開始すると、スズキも高価格で利益の大きなビッグバイクへのチャレンジを急いだ。[…]
人気記事ランキング(全体)
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたヤマハ「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
低く長いデザインが個性マシマシ! レトロモダンなボバークルーザー 中国から新たな刺客がやってきた! ベンダは2016年設立の新興メーカーで、独自設計のエンジンを搭載したクルーザーを中心に、ネイキッドな[…]
既存の常識を打ち破る驚異的な動力性能 昨今ではあまり話題にならないものの、’70年代以降の2輪業界で、もっとも長く”世界最速”の称号を保持していた…と言うより、もっとも世界最速に”こだわっていた”メー[…]
最新の投稿記事(全体)
バイクを楽しむ人は、幾つになろうと、心は若者です。 夢への挑戦は、誰でも、一度は考えるでしょう。レースの世界でも頂点に立つ、華やかなステージでスポットライトを浴びる、新たなビジネスチャンスに賭ける、そ[…]
3Way仕様で秋から春まで使える高機能モデル:RY2003 ウィンターロングジャケット ワイズギアの2025-2026秋冬モデルとして登場した「RY2003 ウィンターロングジャケット」は、一着で秋か[…]
多岐にわたる仕様変更が行われた9年間 9年に及んだ生産期間中の仕様変更は多岐に及んでいる。ただしそのおもな目的は、最高出力や最高速の向上ではなく、扱いやすさや安全性に磨きをかけることだった。 1969[…]
高機能ジャケットから防寒パンツまで多彩なラインナップ 朝晩の冷え込みに、本格的なツーリングシーズンの到来を感じるこの頃。バイクウェアの老舗ブランド「クシタニ」より、2025-26年秋冬モデルの新作テキ[…]
ゼロハンが一番熱かった夏 多くの若者がバイクを愛し、GPライダーが同世代共通のヒーローとなった1970年代後半。 それでもフルサイズの“バイク”は、経済的理由や悪名高い“三ナイ運動”の影響からなかなか[…]
- 1
- 2