
最高峰のJSB1000クラスのみカーボンニュートラル燃料が投入されました。コースサイドにいても独特な臭いが鼻をつきます。
●文/写真:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏)
2021年から通算25連勝の中須賀克行
2023年シーズンが開幕しました。MotoGPアメリカズを早朝にライブで見て眠い月曜日でしたが、ル・マン24時間に比べれば何ともないですかね……。リンちゃんの優勝はドキドキでしたねぇ…、などと独り言を言っている場合ではなく、久しぶりのレース通信になってしまいました。
全日本ロードレース選手権シリーズも4月1日・2日に栃木県・モビリティリゾートもてぎで開幕しました。JSB1000クラスは、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が他を圧倒しダブルウインを達成。2021年の開幕戦から続く連勝記録を25に伸ばしました。レース1では、コースコンディションが予選のときと変わり、そのアジャストがいち早くできた中須賀が勝利しました。以前からST1000クラスの走行後は、グリップが変わるという中須賀を始めJSB1000クラスのライダーがコメントしていました。今年もその辺は変わっていないようです。
要は、ST1000クラスのダンロップタイヤのラバーがアスファルトに乗ると、JSB1000クラスの多くのライダーが使っているブリヂストンタイヤとの相性から来ています。2&4レースでも、フォーミュラマシンが走るとグリップが悪くなるということもありましたが、最近は、それほど聞かなくなりました。タイヤメーカーによって使っているゴム・素材の違いによって変わってくるみたいですね。
世界に先駆けて投入されたカーボンニュートラル燃料(CN燃料)への対応もヤマハファクトリーが一歩も二歩も進んでいる印象でしたね。CN燃料はエンジンオイルへの希釈率が高いため毎セッションオイル交換しなければならず、チームへの負担は大きいですね。課題は多々ありますが、オイル代の負担もしていく方向という話も出ているようです。第2戦鈴鹿2&4レースは、鈴鹿8耐トライアウトを兼ねており、スポット参戦も多いためハイオクも使えるようになりましたが第3戦SUGOではCN燃料に戻るようです。
ST1000クラスはコースレコードラッシュ
2國峰啄磨が力強い走りで開幕戦を制した。次戦SUGOは昨年制しているだけに連勝したいところ。悔しい思いをしたライバルは逆襲を狙う。
ST1000クラスは予想通りCBR勢による見応えのあるトップ争いが繰り広げられました。その中でST1000デビュー戦となった國井勇輝がポールポジションから2位と元気のいい走りを見せました。優勝した國峰啄磨も金曜日の大転倒から、よく修正して勢いのある國井を抑え込みましたね。注目された高橋巧は、まだST1000の理解度が進んでいなかったのが敗因だと語っていましたが、それでもトップグループにつけての5位ですから、次戦のSUGOはJSB1000クラスのコースレコードを保持しているコースだけに速さを見せてくれそうですね。
フロントに新しいハードタイヤが投入されたのですが今回のもてぎ使った選手はいなかったようです。アジアロードレース選手権(ARRC)と共有のもので形状も違うため、これから気温が上がってから使う選手も出てくるかもしれません。コースレコードラッシュになりましたが、ここ2年は天候がよくなかったり、気温が低かったりしたので、昨年の岡山や鈴鹿でのタイムの上がり方を見れば当然なのかもしれません。まぁ、それでも國井の1分48秒台は速かったですね。
4年振りに全日本に復帰した高橋巧は事前テストから速さを見せ注目を集めた。決勝では、その速さが影を潜めてしまっていたが…。
走らせているライダーの技量もありますが、Honda勢が強すぎるので、将来的に性能調整を考えてもいいのではないでしょうか? BSBのような共通ECUが理想ですが、現実的にはウエイトになるんでしょうかね。SUPER GTのように結果に応じてというのもプロモーション的にはありなんじゃないでしょうか。
J-GP3クラスは、尾野弘樹が強さを見せましたね。激しい2位争いも見応えがありました。ST600クラスは、井手翔太が速さを見せましたがARRCとダブルエトリーの阿部恵斗の成長、芳賀涼大の転倒をギリギリ避けた“コヤマックス”の巧者ぶり、ピットスタートから6位まで追い上げた羽田太河と、今年もレベルの高い戦いが繰り広げられそうです。
さて、今週末は、三重県・鈴鹿サーキットで鈴鹿2&4レースです。JSB1000クラスのみですが、エントリー台数は何と70台! 土曜日のレース1は、鈴鹿8耐トライアウトを兼ねています。4輪のスーパーフォーミュラとの併催なので、どちらも楽しめますよ~。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
久しぶりに表舞台に立った平忠彦氏は笑顔を見せてくれた。 バイクブーム全盛の時代に活躍した平忠彦 平氏は全日本ロードレース選手権GP500で1983年から3連覇を果たし、1986年ロードレース世界選手権[…]
伊藤真一さん以来のウイリー転倒 第4戦SUGOからの鈴鹿テスト取材を終えて、ようやくひと息ついています。とは言っても、今まで出ずっぱりだったので事務仕事やら、片付けやら、いろいろやることはあるので、休[…]
レース後もファンサービスを続ける、その姿 ホームストレート上で集合写真を撮影し終えた加賀山就臣さんは、集まったハヤブサオーナーたちにお礼とミーティングの散会を告げると、ツナギ姿のまま、おもむろに駆け出[…]
彌榮 郡(みえ・ぐん)/2006年4月生まれ。鹿児島県鹿屋市出身。4歳からポケバイを始め、ミニバイクからロードレースへ。10歳でポケバイ日本一、11歳でミニバイク全国大会で優勝し、12歳でNGK杯を制[…]
何を狙っての契約か?:クアルタラロ ヤマハがファビオ・クアルタラロとの契約更新を発表したのは、去る6月2日。'23〜'24年の2年間ということだが、「久々に通常通りの契約スタイルに戻ったな」と妙な安心[…]
最新の関連記事(レース)
伊藤真一さんが代表兼監督を務める『Astemo Pro Honda SI Racing』は、、FIM世界耐久選手権第3戦”コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会(8月3日決勝)のチーム参[…]
φ355mmとφ340mmのブレーキディスクで何が違ったのか 行ってまいりました、イタリア・ムジェロサーキット。第9戦イタリアGPの視察はもちろんだが、併催して行われるレッドブル・ルーキーズカップに参[…]
ブレーキディスクの大径化が効いたのはメンタルかもしれない 第8戦アラゴンGPでも、第9戦イタリアGPでも、マルク・マルケスが勝ち続けています。とにかく速い。そして強い。誰が今のマルケスを止められるのか[…]
現代の耐久レーサーはヘッドライト付きのスーパーバイクだが…… 近年の耐久レーサーは、パッと見ではスプリント用のスーパーバイクレーサーと同様である。もちろん細部に目を凝らせば、耐久ならではの機構が随処に[…]
「2025 鈴鹿8耐 Kawasaki応援グッズ」を期間限定でオンラインショップにて販売 株式会社カワサキモータースジャパンは、2025年鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するカワサキチームを応援するた[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
この外見でツーリングもOK 本気系が多様な進化を果たし、レプリカ系のフルカウルに身を包みながら街乗りからツーリングまでこなすモデルが誕生した。本気系にレッドゾーンは一歩譲るものの、後にFZR250やG[…]
2025年モデル概要:渋系のダークカラーにメタリックの輝きも XSR125は、可変バルブシステム=VVAを採用した水冷単気筒エンジンをスチール製デルタボックスフレームに搭載し、倒立フロントフォークやア[…]
購入前に読みたい2025ヤマハMT-07関連記事3選 ヤマハの新型「MT-07」が、フレーム設計から見直され、大幅な進化を遂げて2025年モデルとして登場。その概要やスイングアームのこだわり、Y-AM[…]
余裕の動力性能を持つシリーズ最大モデル ヤマハが誇るフロント2輪のLMW(Leaning Multi Wheel)機構を採用するスクーター「トリシティ300」の2025年モデルが登場した。ともに新色の[…]
人気記事ランキング(全体)
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
スズキが鈴鹿8時間耐久ロードレースの参戦体制を発表! スズキは2025年8月1日(金)から3日(日)に鈴鹿サーキットで開催される「2025 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8 時間耐久ロードレース」に「チ[…]
高評価の2気筒エンジンや電子制御はそのままにスタイリングを大胆チェンジ! スズキは、新世代ネオクラシックモデル「GSX-8T」および「GSX-8TT」を発表。2025年夏頃より、欧州、北米を中心に世界[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
最新の投稿記事(全体)
【モリワキエンジニアリング取締役名誉会長・森脇護氏】1944年、高知県生まれ。愛車だったホンダCB72のチューニングをヨシムラに依頼し、それをきっかけにPOPこと吉村秀雄氏に師事し、チューニングを学ぶ[…]
北海道という「ハードルの高さ」 ライダーにとってのひとつのあこがれ、北海道ツーリング。しかしフェリーの予約が面倒だったり、北海道までの移動で疲れてしまったり。 そういったライダーの悩みを解決し、「手ぶ[…]
カワサキ「エリミネーター」2026年モデルへ!! カワサキが人気ミドルクルーザー「エリミネーター」シリーズの2026年モデルを発表。2025年7月15日に発売予定だ。主要諸元に変更はなく、カラーリング[…]
フリュガンの展示会に行ってきました! どうも、2輪ジャーナリスト兼動画クリエイターの相京です。 フランスのバイク用品メーカー・フリュガンの展示会に行ってきました。 この日はゲストスピーカーとして呼んで[…]
ホンダ CB1300スーパーボルドール(2018)試乗レビュー この記事では、平成28年度排ガス規制に対応しモデルチェンジを行った2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月公開時の内[…]
- 1
- 2