一時、現場は騒然──。サーキット、オフィシャルの迅速な作業によってレースを開催することができました。何があったのか、映像では確認できなかったので写真と関係者の証言で全貌を把握することに。このほか、ST600のレース2もオイル処理が大変だったことでしょう。
●文/写真:佐藤寿宏、ヤングマシン編集部(HRC発表部分)
伊藤真一さん以来のウイリー転倒
第4戦SUGOからの鈴鹿テスト取材を終えて、ようやくひと息ついています。とは言っても、今まで出ずっぱりだったので事務仕事やら、片付けやら、いろいろやることはあるので、休みの日を作らなければと思っているのですが…。9年振りに購入したMacBook Proも手元に来てから一カ月以上も経っているのに、まだ開封の儀を行えておりませんし…。
今年の全日本ロードレース選手権SUGOラウンドは、金曜日こそ天気が荒れましたが、土日はいい天気に恵まれたのは、よかったのですが、ST1000クラスとST600クラスのレースは荒れましたね。ST1000クラスの2周目のアクシデントは、1コーナーにいたので写真を撮りながら、前田のマシンが向きを変えてこちら側に走ってきたので逃げましたが、グラベルとスポンジバリアのおかげで無事でした。
後で映像を見ると前田のマシンがグラベルを走ってくるところが一瞬しか映っておらず、これでは全く分からないと思いましたね。自分自身で撮影していたことと、関係者からの証言を聞くと全貌が見えて来ました。
このアクシデントで3人が転倒しているのですが、まずは、10%勾配を登り切ったところで谷本音虹郎がウイリーで単独転倒。谷本はイン側に、マシンはアウト側にすべっていき、アウト側に避けてしまった前田が、ほぼグラベルに出たところで谷本のマシンと接触。オイルクーラーを破損し、白煙を吐きながらグラベルを疾走。スピードを落とせない状態のため飛び降りたといいます。一方、谷本のマシンは跳ね返ってイン側に戻ってしまい鈴木孝志に接触。一瞬火が出る大惨事になってしまっていました。前田は右手首を骨折。鈴木は両手、骨盤骨折と重傷でしたが、命に別状がなかったのが不幸中の幸いでした。このアクシデントのきっかけとなった谷本は、所属するドッグファイトレーシングの8番ピット辺りまで滑っていきましたが大きなケガはありませんでした。
決勝中にウイリーで転倒するなんて1992年に全日本第11戦GP500の伊藤真一さん以来のこと。約30年も前とは違って、現在のマシンは制御も進んでいてリフトコントロールもありますが、その制御の割合と向かい風が強かったこともあり、竿立ち状態で転倒してしまったといいます。
「チームである以上、責任を取らなければいけないことは常に覚悟しています。今回の転倒は、ライダー自身の反応が遅かったのが原因です。スタートで豊島を抜いて戻って来て気合いも入っていたのは分かりますが、レースを続けるには危なすぎると谷本にはいいました」とドッグファイトレーシングの室井秀明代表。
鈴木と前田の一刻も早い復帰を祈るばかりですね。
ST1000クラスのレースは、スポット参戦の埜口遥希が盛り上げてくれましたね。1000ccルーキーながら、先日アジアロードレース選手権(ARRC)ASB1000で優勝し、今回もファステストラップをマークするなど速さを見せてくれました。その埜口を抑えクラス初優勝を飾った國峰啄磨も一皮むけた感じがしました。2人とも、次のレースが楽しみですね。
全日本SUGO仕事も終わらないまま向かった鈴鹿テストも、いい天気になりましたが、まだまだ湿度は低く、日陰は涼しい感じでしたが、ライトの付いたマシンが走っていると鈴鹿8耐らしい雰囲気になるから不思議。3年振りの決勝に向けて精力的に走り込んでいました。
HRCは、まだラインナップを決めていませんが(追記:2022年6月20に正式発表。記事末に詳細)、このテストを走っていた高橋巧と長島哲太は、一発タイムもアベレージもよかったので使わない手はないでしょう。前週にテストしていたSBK勢のイケル・レクオーナとチャビ・ビエルゲは、鈴鹿初走行のわりには、よかったとのことですが、鈴鹿8耐の経験のないライダーを使うのはリスクがあるでしょう。それ以前に、イタリア・ミザノで行われたSBK第4戦のレース2でビエルゲは転倒し、右手を痛めてしまったため、残る1席は水野涼とレクオーナのどちらかというところでしょうか。
一方、ヨシムラSERT Motulはライダーラインナップが発表され、裏方で活躍してきた渡辺一樹が実戦を走ることになりました。シルバン・ギュントーリ、ザビエル・シメオンの3人で臨みます。SDG Honda Racingは、名越哲平、榎戸育寛にスペインスーパーバイクに参戦している浦本修充が組むことが正式決定。Team ATJは岩田悟と小山知良、高橋裕紀という日本郵便TP勢と組みます。鈴鹿8耐に自身のチームとしては初参戦するSANMEI Team TARO PLUSONEは、代表兼エースの関口太郎を中心に奥田教介と佐藤太紀というラインナップ。清成龍一が復帰したTOHO Racingは國峰と國川浩道で参戦することが発表されました。カワサキワークスは、レオン・ハスラムのみがテストを行っていましたが、前週にアレックス・ロウズもテストを行い、2019年からの連覇を狙っています。ヤマハもファクトリーチームを参戦させてくれれば、さらに盛り上がったんですけどね。バレンティーノ・ロッシが走ってくれたら最高ですよね。
厳しい新型コロナ対策をして何としても鈴鹿8耐を3年振りに開催したい鈴鹿サーキット。EWCのレギュラーチームが何チーム来られるかは、まだ流動的ですが、今年こそ鈴鹿8耐を見たいですよね。7月の合同テストも現地に行きますよー。
ホンダが2022 FIM世界耐久選手権シリーズ “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会参戦体制を発表!
ホンダは、2022年8月7日に決勝レースが行われる「FIM 世界耐久選手権シリーズ(EWC)“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第43回大会」に参戦する主なチーム体制を正式発表した。
ワークスチーム「Team HRC」は、HRCテストライダーを努める長島哲太と、英国スーパーバイク選手権(BSB)に参戦中で、これまでに鈴鹿8耐で3回優勝している高橋巧に加え、FIMスーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦中のイケル・レクオーナの3名体制。
2017-2018シーズンに日本国籍のチームとして初めてEWCシリーズチャンピオンを獲得した「F.C.C. TSR Honda France」は今シーズンもレギュラー参戦してしており、レギュラーライダーのジョシュ・フック、ジーノ・リア、マイク・ディ・メリオの3名で、現在ポイントランキング2位(第2戦終了時)。シリーズチャンピオン獲得に向け、確実に上位への進出を目指す。
「SDG Honda Racing」は、MFJ 全日本ロードレース選手権JSB1000クラス参戦中の名越哲平に加え、スペインスーパーバイク選手権(ESBK)に今年からHondaで参戦している浦本修充をパートナーとした。
FIMアジアロードレース選手権ASB1000クラスに参戦中の「Honda Asia-Dream Racing with SHOWA」からは、モハメド・ザクワン・ビン・ザイディと、ゲリー・サリムの参戦が決定している。
いずれのチームもマシンは「CBR1000RR-R FIREBLADE/SP」だ。
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