
自分一人分の荷物をバイクに積んで、気の向くままに時を過ごせるソロキャンプスタイルは、他の手段では得られない格別な”自由”を堪能できるのだという。では何をどうすればその自由を手に入れられるのか? 本記事では寒くて眠らない夜を過ごすことのないよう、適切なシュラフの選び方について取り上げる。
●文:ヤングマシン編集部(谷田貝洋暁) ●写真:武田大祐
【ガイド役:谷田貝洋暁】登山/自転車/カヌーによるキャンプ歴が、バイク歴より随分長いライター。運ぶ荷物が限られる縦走登山からの反動か、バイクキャンプはとにかく大荷物。
軽量コンパクトなのは登山用のマミー型
ファミリーキャンプ用では四角い封筒型も使うが、積載スペースの限られるバイクキャンプでは、少ない布量で最大限の保温性を確保した山岳用のマミー型が便利。それに、そもそもシュラフが重要になるのは、高地や春秋の肌寒い場所で使用するような状況。寒くて眠れない夜は想像するより過酷で、それだけでキャンプを嫌いになる理由になる。シュラフはケチらず、ちょっとオーバースペックぐらいの製品を選んでおくと、いつでも快適なキャンプライフが送れるだろう。
選び方その1:対応温度
まともなシュラフは「これ以下の気温では使わないでください」という、使用限界の温度が設定されている。暑いぶんには中に入らなければいいだけなので、マイナス気温対応のアイテムを選んでおくと、春先や秋口の使い勝手がいい。逆に温度設定がないモデルは”その程度”と心得て使うこと。
“寒くて寝られない…”のがイヤなら、シュラフはオーバースペックな方がいい。筆者は春秋はマイナス10度対応のシュラフを常用している。
選び方その2:化繊かダウンか?
暖かさも、軽さも、コンパクトさにおいても断然ダウンが有利。…なのだが、ダウンはとにかく高価で、化繊のシュラフの倍近いと思っていい。一方の化繊は、畳寸法が大きく嵩張るが、それさえ我慢できれば、手軽に洗えて使い勝手がいい。
化繊のシュラフでも、別売のコンプレッションベルトを使うとちょっとだけ小さくできる。
選び方その3:伸縮性
一見、窮屈そうに見えるマミー型のシュラフだが、最近は内部にゴムが内蔵され、ストレッチ性のある寝心地のいいモデルも増えている。肩幅が広めの自覚があったり、寒がりの人はこのストレッチタイプのモデルを選んでおこう。
メーカーによっては、レギュラー/レディス/ロングなど、身長でサイズが選べる場合もある。
選び方その4:収納サイズ
化繊のシュラフを選ぶとすれば、兎にも角にもキャンプ道具の中で一番大きな荷物になる。化繊であまりコンパクトではないシュラフを選ぶなら、シートバッグはとにかく容量の大きなものを用意した方がいい。
ほぼ同じ温度設定のモデルでも、並べてみるとここまで変わる。
おすすめシュラフカタログ
デイトナ NANGA オーロラライト400DX ツーリングエディション
760フィルパワーのダウンを使い、快適温度が3度、下限温度がマイナス2度に設定されたシュラフ。ちょっと値段は張るが、ナンガによる永久保証付き(一部有償修理)で、修理可能な限り面倒を見てもらえるのが嬉しい。収納袋は、防水にこだわったデイトナオリジナル仕様。対応身長は180cm。
【デイトナ ナンガ オーロラライト400DX ツーリングエディション】●中綿:ダウン(760FP) ●重さ:850g ●収納サイズ:φ17.5×30cm ●下限温度:3度/-2度 ●色:ブラウン ●価格:4万2900円[デイトナ]
ナンガはダウンにこだわる国内のアウトドアメーカーで、シュラフは永久保証付き。
コールマン コルネットストレッチII/L-5
使用下限温度がマイナス5度以上に設定された化繊のシュラフ。ジッパーがセンターにあり、サイド部分のジッパーを開けば、手足を出して着たまま動くことも可能。全長は205mmと長めのアメリカンサイズで余裕を持ってゆったり寝ることができる、使用下限温度を0度に設定したコルネットストレッチII/L0(1万1800円)もある。
【コールマン コルネットストレッチII/L-5】●中綿:化繊 ●重さ:約1600g ●収納サイズ:φ45×25cm ●下限温度:-5度以上 ●価格:1万5800円[コールマンジャパン]
モンベル シームレスダウン ハガー800#3
より暖かい800フィルパワーのダウンを使用し、限界温度をマイナス1度に設定。特筆すべきは、登山用として開発された555gという軽さとφ13×26cmという収納サイズ。特に収納サイズは他の化繊モデルに比べると半分と考えていいだろう。着用したままあぐらもかけるスーパースパイラルストレッチシステム搭載。
【モンベル シームレスダウン ハガー800#3】●中綿:ダウン(800FP) ●重さ:555g ●収納サイズ:φ13×26cm ●下限温度:4度/1度 ●色:緑 赤 ●価格:3万3000円[モンベル]
φ13×26cmの納サイズは、ちょっ大きめのレインウエアぐらいのサイズ感だ。
※本記事は2021年7月に公開したものを再編集しています。※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([特集] バイクでキャンプツーリング)
バイクへの積載は創意と工夫。自分流を見つけ出せ! この記事の写真をまとめて見る ※写真タップ(クリック)で拡大 写真1 写真2 写真3 写真4 写真5 写真6 写真7 写真8[…]
シートバッグの場合:パッキングは平物→長物→大物→小物がセオリー 今回は、ヘンリービギンズ(デイトナ)のキャンプシートバッグプロ DH-745を使用。55L→70Lの容量可変機能を持っており、今回は7[…]
焚き火もやらずにナニがキャンプかっ!? 昔は地面で直接火を起こす、いわゆる“直火”の焚き火しかななく、焚き火を楽しむためには直火OKのキャンプ場を探す必要があったが、最近は状況が一変。焚き火台が流行し[…]
作りたい料理によってバーナーの使い勝手が異なる キャンプ用品の中で、バーナーやクッカーほどオーナーの個性が表れるアイテムもないだろう。というのも、バーナーには燃料の種類の違い、また縦型/横型があり、ゴ[…]
チェア:長時間使うものだけに、可能なら購入前に座って吟味を 食事に焚き火…、なんにせよキャンプしている間は座っていることが多い。一番使うアイテムだけに、いかに寛げるか? というところに徹底的にこだわり[…]
人気記事ランキング(全体)
世界初公開のプロトタイプ&コンセプトモデルも登場予定! ホンダが公式素材として配布した写真はモーターサイクルショー展示車および鈴鹿8耐時点のもの、つまりミラー未装着の車両だが、JMS展示車はミラー付き[…]
YZF-R1/R6のレースベース車が受注開始! ヤマハがロードレースやサーキット走行専用モデル「YZF-R1 レースベース車」と「YZF-R6 レースベース車」の発売を発表。いずれも期間限定の受注生産[…]
夏のツーリングで役立つ日除け&雨除け機能 KDR-V2は、直射日光によるスマホの温度上昇や画面の明るさ最大時の発熱を軽減するために日陰を作る設計です。雨粒の付着で操作がしにくくなる場面でも、バイザーが[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
ウィズハーレー掲載記事のウラ側がわかる 俳優/タレント/サックスプレイヤーとしても活躍する武田真治さんが、故郷・北海道を同級生たちと結成するハーレーチーム「BLACK NOTE」とともに駆け抜けた!ハ[…]
最新の投稿記事(全体)
スマホ連携機能で魅力を増した、ボッシュ製ARASを備える最高峰ツアラー カワサキは「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルを11月1日に発売する。カラー&グラフィックの変更およびスマートフィンア[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
- 1
- 2