
金属製品加工コウワが開発、製造するクロモリ製アクスルシャフト『KOOD(クード)』が、奈良県警察本部交通部交通機動隊に正式採用された、というニュースが飛び込んできた。奈良県警交通機動隊がクードを導入した理由はどこにあるのかを探ってみよう。
●文:ヤングマシン編集部(山下剛) ●写真:KOOD
高精度加工によるクロモリシャフトで、奈良県警白バイ隊員も納得の性能変化!
そもそも交通機動隊の白バイは、納入の段階である程度のメーカーカスタムがされている。赤色回転灯や速度違反取締りのための計器類の追加は当然だが、エンジンやシャシーに関するパーツはほとんどの場合フルノーマルだ。
しかし納入後の白バイに、アフターパーツが導入されるケースはめずらしい。
KOOD(クード)のアクスルシャフトを採用したCB1300P。追いかけられたくはないがお目にかかってはみたい。
クロモリ製アクスルシャフトを製造するコウワは、交通安全を守り、バイク事故を減らすためのライディングスクールを主催してきた。そうした取り組みのなかで奈良県警交通機動隊との縁ができ、クードのアクスルシャフトを装着した白バイを試走させる機会を得られたという。
奈良県警交通機動隊に使われている白バイは、ホンダ・CB1300Pだ。CB1300SBをベースとしていると思われ、ノーマルの重量272kgだが、補機類追加のため300kgを超えているといわれている。
それだけにハンドリングにはシビアさが要求されるし、緊急走行時には急発進や急減速、急旋回を多用する白バイのアクスルシャフトにかかる負荷は高い。
コウワのブログに掲載されているレポートによれば、試走ではスロットル全開と思しき強烈なスタートダッシュからはじまり、間髪なく車体をバンクさせたかと思うと高速スラロームに入る。そして再び急加速してからのフルブレーキ。
数人の隊員が同時に試走をしていたが、なかにはいつまでも試走を続ける隊員もおり、クードの感触を何度もたしかめているようだったという。そうして戻ってきた隊員は、やわらかな表情で「センタースタンドをはらって、乗り出してすぐに剛性の高さを感じました」とコウワ担当者に語りかけた。
・アクセルオンから加速時の安定感が大きい
・フルブレーキングにおけるフロントタイヤの安定性と接地感が高い
・そのためグリップを失う怖さがなくなった
・小回りが効くようになった
隊員によれば、300kg超のCB1300Pでもこのような効果を感じられ、交通機動隊の活動をさらに安全に行えるとの判断から正式採用になったという。
厳選したクロモリ鋼を素材とし、焼入れによってアクスルシャフトに最適な素材へと調質されたクードのアクスルシャフトは、ノーマルよりも高い強度と硬度を持つ。クロモリ鋼は旋盤によって高精度で加工された後、徹底した研磨を施す。物体表面の粗さを測定する単位Rzは、ノーマルアクスルシャフトが11~13であるのに対し、クード製は0.7。表面の円滑度がまるで違うのだ。ひとことで言うと「ツルツル」なのである。
つまり、それだけホイールが滑らかに、そして安定して回転できるようになる。そのため、直進や旋回、加減速と、走行中のいかなる状態においてもハンドリングが向上し、安定性が高まるのだ。結果としてそれは安全運転に直結し、交通事故を軽減できる。白バイ隊への採用実績が、何よりもその事実を物語っているだろう。
クードアクスルシャフトは、小排気量車から大排気量車まで、国産・外車を問わず豊富な車種に対応する。参考までに一例をあげると、フロント用アクスルシャフトならホンダ・スーパーカブ50用が2万3100円、CB1300SF/SB(’20年式~)用は4万4000円だ。気になる人は、まず愛車に適合するかを調べてみよう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
2022年12月より警視庁の白バイ隊も着用! より安全なライディング装備として、バイク用のエアバッグを手に取るライダーは年々増加している。なかでも25年以上の歳月をかけて研究開発し誕生したダイネーゼの[…]
白バイ史上最大排気量 栃木県警察本部に、ハーレーダビッドソンの白バイ2台が寄贈された。交通機動隊に配備され、交通事故防止の啓発活動などに活用されていく。 白バイ仕様の『ストリートグライドスペシャル[…]
A95:現在は法律で白に規定 警察がバイクを使い始めたのは1918年で、当時は赤色に塗られていたが、1936年に白バイが登場。 白色の理由は欧米にならったのと、白色が「平和と清潔」を表す色だからとか。[…]
0-50km/hの加速は2.8秒、最大トルクは0-4650rpmの全てで7.34kg-m ビー・エム・ダブリューがBMW Motorrad(BMWの二輪車部門)初の電動スクーター「BMW C evol[…]
※画像はYouTubeチャンネル『Bikes and Beards』より。 高価なハーレーを泥だらけにしちゃう、なんとも素敵なオフロード遊び! 「耐えられるバンク角はわずかだけ!」 「90[…]
最新の関連記事(カスタム&パーツ)
筑波サーキット向けにカスタム中 「X350ウィズハーレー編集部号」は、2024年12月現在、サーキット、とくに筑波サーキットでタイムを削るためのカスタムを進めている。過去、全日本選手権に出場し、筑波サ[…]
ヘッドユニットオーディオ「WHD14+」(プレシジョンパワー):Apple CarPlay&Android Autoワイヤレス対応 高機能かつ高性能のオーディオヘッドユニットを取り扱うプレシジョンパワ[…]
量産車ではこだわりきれないパーツを独自の技術で高品位化。完全ボルトオン設計によりパーツ装着が容易で、ユーザー自身によってアップグレードを図ることができると好評を博しているのが、スピードラのカスタムパー[…]
ヤンマシ勝手に断言。これでレースに出るハズだ!! 「CB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング(以下モリワキCB)」は、見ての通り、ホンダCB1000Fコンセプトをレーサーに仕立てたカスタムモ[…]
ラバーマウントスポーツでは、シート下周辺がボテッと重厚感のあるスタイルになりがちなところを、オイルタンクおよびソロシートをワンオフにて製作し、スッキリさせつつ見事なまでのくびれで魅せているから舌を巻く[…]
最新の関連記事(CB1300シリーズ)
2021年カラーがSP版で蘇った?! ホンダのキングオブネイキッド「CB1300スーパーフォアSP」および「CB1300スーパーボルドールSP」の2024年モデルには、赤いフレームのニューカラーが導入[…]
メタリックレッドのフレーム、30周年記念ロゴほか特別色を採用 1992年にCB1000スーパーフォアが『プロジェクト ビッグワン(PROJECT BIG-1)』の名のもとに誕生してから、2022年で3[…]
スロットルバイワイヤでさらに進化 オーバーリッタークラスのフラッグシップネイキッド「CB1300 SUPER FOUR」「CB1300 SUPER BOL D’OR」および各々のSP、すべてのラインナ[…]
CB1300シリーズに「ファイナルエディション」が登場! 1992年に生まれたCB1000 SUPER FOURから始まり、Honda「PROJECT BIG-1」を現代にまで継承してきた「CB130[…]
往年のCBを思わせる伝統のカラーリング 2020年モデルのCB1300 SPシリーズに追加されたのは、1980年代に販売されたCB750Fシリーズ(海外ではCB900FやCB1100Fも)の中でも、青[…]
人気記事ランキング(全体)
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキが、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させたのは、2024年[…]
新5色ラインナップとなった2022年モデル 2022年モデルが発売されたのは、2022年6月23日のこと。2021年のフルモデルチェンジの際には、新設計の水冷エンジンが4バルブの「eSP+(イーエスピ[…]
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
最新の投稿記事(全体)
モンキーFSシリーズの最新作として誕生! ホンダ「CB1000F コンセプト」で往年のフレディ・スペンサーが駆ったレーシングマシンのカラーリングが話題になったばかりだが、憧れの“スペンサーカラー”をま[…]
孤高のパニガーレV4Sと友好的なパニガーレV2S パニガーレV4Sでサーキットを3本ほど走ると、強烈な疲労感が僕の身体を襲う。汗は止まらず、足腰に力が入らなくなる。試乗直後は格闘技を終えたような感じだ[…]
1999年、東京モーターショーに突如CB Fourが出現! CB Four、ホンダファンは憶えているはず。1999年の東京モーターショーに、何の前ぶれもなく展示されたショーモデル。その名も「CB Fo[…]
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 あえてベールに包まれたファルコ 以下は、元スズキ社員としてファルコラスティコ(以下ファルコと表記)の[…]
メンテナンスが必要になった時に必要な部品が手に入る 全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスでEXACTホイールやダイレクトドライブレーシングディスクのユーザーが増加し、MotoGP Moto2クラ[…]
- 1
- 2