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ランブレッタやファンティックなどを扱うモータリスト。’22年3月に開催された東京モーターサイクルショーでは、自社ブランドの電動バイクを新たに3機種も初公開して注目を集めた。そのうちの1台が今回紹介するストリートモデルの「VMS6」である。近藤スパ太郎氏が試乗してその走りを確かめた。
●文:ヤングマシン編集部(近藤スパ太郎) ●写真:輪 ●外部リンク:モータリスト
- 1 モータリスト VMS6:ミッションを搭載してバイクの楽しさにこだわった!
- 2 モータリスト VMS6 試乗インプレッション
- 3 モータリスト VMS6 バッテリー性能:充電方法はプラグインのみ。家庭用100V電源で約4~5時間!
- 4 モータリスト VMS6:車両紹介
- 5 [連載] 近藤スパ太郎の電動バイクに乗っタロウ!に関連する記事
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モータリスト VMS6:ミッションを搭載してバイクの楽しさにこだわった!
’22年の3月に開催された東京モーターサイクルショーでボクはとても驚いた。ランブレッタやファンティックなどを扱う「モータリスト」が、オフロード2機種とストリート1機種の電動バイクを、モータリスト製「VM」シリーズとしてお披露目したのだ。
電動バイクの生産技術を持つ中国の「威利科技実業有限公司」(通称:べリモーター)とパートナーシップを組み、モータリストが求めるデザインや仕様を共同開発して「乗って楽しい電動バイク」を実現したという。
これまではエンジンを製造するような大手がバイクを作ってきた。でも電動はそうじゃない。モーターやバッテリーを作る企業は世界中に沢山ある。これらをチョイスまたはアレンジして、既成概念にとらわれない発想や技術を用いることで、大手でなくても新規参入できるという特徴がある。モータリストはそれを実践したのだ。
本記事では、中でもネオクラシックな雰囲気を持つ「VMS6」のプロトタイプに試乗する機会を得たので、これを紹介しよう。
【MOTORISTS VMS6】■全長×全幅×全高(mm):1912×850×1085 ■シート高:850mm ■ホイールベース:1375mm ■車体重量:115kg ■原動機:72V永久磁石式ブラシレス空冷センターモーター ■トランスミッション:自動クラッチ4段ギア ■駆動方式:チェーン駆動 ■定格出力:1.0kW ■最大出力:6.0kW ■最大トルク:280Nm ■最高速度:100km/h ■航続距離:≒120km ■最大登坂角:38度 ■駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー ■バッテリー電圧/容量/充電時間:72V/70Ah(5.0kWh)/約4~5時間(100V充電器使用) ■電力回生方式:ナシ ■ブレーキ:油圧式ディスクブレーキ(コンビブレーキ装備) 車両区分:原付二種 運転免許:AT小型限定~ 乗車定員:2名 ■タイヤサイズ:F=120/70-17 R=130/70-17(※14インチのオプション有り) ●車体色:赤 緑 黒 紺 ●価格:99万円
【ライディングポジション】原付二種としては少し大型で150cc~200ccクラス同等の車格がある。シートも幅広でどっしりと座れるが、シート高が850mmと高めなので人によっては足着きが悪いかも? そのため購入時にオプションで14インチの前後タイヤを選ぶことも可能だ(標準は17インチ)。ボクの場合も両足の踵が着かないが、重量物を下方に配置した低重心設計のため、取り回しは安定感がある。ハンドル切れ角は小さくヨーロッパ車的な感じだ。[身長173cm/体重77kg]
モータリスト VMS6 試乗インプレッション
跨ってみると原付二種としては大きな車格で、トランスミッション付きだ。自動クラッチ4段ギアは、一番上がニュートラルでシフトペダルを踏むことで1速、2速とギアが上がるトップニュートラル式で、大昔の英国車やレーシングマシンと同じような操作がとても新鮮で面白い。
電動バイク特有のスロットルレスポンスの良さに加え、センターモーターが生み出す最大トルク280Nm/最大出力6kWというスペックで、他の電動原付二種と比べて群を抜く加速力を持つ。また、チェーンドライブが適度なメカニカルノイズを発生させて、シューイ──ン! というモーター音と協奏。モータリストが考える「楽しいバイク」が随所に反映されているのだ。
クローズドで各ギアの速度を試したところ、1速が38km/h/2速57km/h/3速78km/h/4速88km/hをマーク(体重77kgでの実測値)。トルクがあるので1速よりも2速や3速からの発進の方が快適なほど。また車体上部の重さはあまり感じず、スラローム走行も軽快。これは重量物のトランスミッションが功を奏しているのかもね。そして後進機能もあって、駐輪場や狭い場所でのUターンでとても重宝した。
足回りのパーツはノーブランドだけど、ブレーキの効きも前後サスペンションの働きも満足。しいて言えば、急ブレーキを掛けると若干フロントがよれる感じがあったけれどこれも許容範囲だろう。ブレーキを掛けるとモーターパワーが遮断される仕様なので、ボク的にはこれが改善されればよりスポーティな走りが出来るのにな…と思った次第。
今後の市販車両での改良点を聞いてみたら、ロー/ミドル/ハイのパワー切替えの味付けをもっと明確にしてギア比も見直すそう。そして現在のトップニュートラルから、ペダルを上にシフトアップするボトムニュートラルへの変更も検討中らしい。そうなの? ボク的には今の方が面白いんだけどなぁ…。今後はイベント等で一般の方にも試乗体験ができるようにすることも、検討中のようだ。
【幹線道路で余裕!】加速がとても良く、状況に合うギヤを選択して走れるため、幹線道路の車線変更も楽々走行できる!
【坂道でも余裕!】写真は激坂ではないけれど、ハイパワーなモーターと4段ギアの恩恵で、38度の激坂も走行できる!
モータリスト VMS6 バッテリー性能:充電方法はプラグインのみ。家庭用100V電源で約4~5時間!
現行の原付二種クラスとしては群を抜く大容量の5.0kWhのリチウムイオンバッテリーをダミータンクの下に搭載している。とても重くて持ち運びが困難であるため、メンテナンス時以外は外さない事を前提に、プラグイン充電のみで設計されている。
100Vの充電器が付属し、3ピン仕様のアース付き。充電器もプロトタイプで少し変更があるかも? でも軽い仕様なのでボクなら持ち運んで出先でも充電するだろうな!
充電口は車体右側のシートとステップの中間位置にあり、真下から真上に向かって差し込む。「充电口」と書かれたバネ付きの蓋は、電源コードを抜くと自動で閉じる仕組み。満充電になると緑に点灯する。
シート下にはブレーカーやDC‐DCコンバータが!
モータリスト VMS6:車両紹介
モーター
【センターモーター搭載。チェーンドライブで駆動】最大トルク280Nm/最大出力6.0kWのパワーを生むセンターモーターに、さらにバイクを楽しく操れるように自動クラッチの4段ギヤを備えた。そのパワーはチェーンで後輪に伝えられる。
コントローラー(フィンのパーツ)は走行風で冷却。
ペダルを踏んでシフトアップするトップニュートラル式。
さらにロー/ミドル/ハイの3つのモードと後進機能も備える。
足まわり
スポーツバイクのスタンダードである前後17インチのタイヤにはアルミダイキャストホイールを採用(14インチも選択可)。前後にディスクブレーキを採用し、リヤブレーキにはフロントと連動するコンビブレーキを搭載する。
剛性が高くステアリング慣性が小さい倒立サスペンション採用。
リヤのモノショックサスペンションがマスの集中化にも貢献!
タイヤはノーブランドでちょっと固めな印象だった。
主要装備
メーターはモノクロ液晶パネルで必要最小限の見やすい表示。
グリップはアルミパーツのアクセントでお洒落感と個性がアップ!
ダミータンクカバーは少し幅広なデザインになっている。
長時間ライドでも疲れにくい肉厚なタックロールデザインのシート。真ん中で前後の段差が少しあり前側は少し狭い印象だった。
車体の起動には、シンプルなシリンダーキー式を採用している。
【モータリスト・ファクトリーで車両が見られる!】個性的なバイクが並ぶモータリストは、京浜急行本線・雑色駅徒歩3分! 国道15号(第一京浜)沿い。事前に要電話確認! ●所在地:東京都大田区仲六郷2-41-8 ●TEL:03-3731-2388 ●営業時間:10:00~18:00 ●定休日:水・木曜/祝祭日
[連載] 近藤スパ太郎の電動バイクに乗っタロウ!に関連する記事
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