
本格的な冬が到来。極寒シーズンでも快適にバイクに乗るには、防寒対策が欠かせない。特に手元の冷えは体に堪えるため、最優先で対処しておきたいところだ。その解決法として電熱グローブとグリップヒーターが挙げられるが、本記事ではグリップヒーターについてレポート。ビギナーでもDIYで取り付けられるのか、実際に試してみた。
●文:ヤングマシン編集部(カサ) ●外部リンク:エンデュランス
グリップヒーター、巻きつけ型かグリップ交換型か?
ヤングマシン編集部に籍を置く筆者が、高校生以来35年ぶりにリターンしたのは2022年2月のこと。ヤングの中の人でありながらバイク乗りでないとはナニゴトか、というのはさておき、当時、納車に付き合ってもらったヤングマシン本誌編集長・マツより金言を授かった。
「何はなくとも“グリップヒーター”だけは取り付けよ」
しかしながら当時の筆者は、納車されるだけでアタマいっぱいで、バイクいじりなんてとてもムリ…、ってことで、手っ取り早くUSB&巻き付けタイプを入手して、とりあえずは当座をしのぐことに。もちろんグリップ交換型よりも簡易的なため、効果が限定されることは承知していたが、それでもあるかないかでは大違いだったのは言うまでもない。
さて、それから数ヶ月が経ち、再び寒〜い季節がやって来た。先シーズンに使った巻き付け型をいそいそと取り付けてツーリングに赴いたものの、なんだか以前とは異なる感覚があり。
だいぶ手が疲れてる? 巻き付け型だと握りが厚くなる&若干滑りやすいため、強めに握り続ければならなかったのだろうか、ツーリング後に握力をかなり消耗していることに気づかされたのだ。
もちろん取り付けの手軽さにおいてメリットの大きい巻き付け型ではあるが、長時間走行時の快適性まではカバーしきれないのかな、と判断。初心者にとって取り付けハードルがぐんと上がるグリップ交換型にチャレンジすることと相成った次第だ。
初心者でも自分でグリップヒーターを取り付けられるのか?→無事にできた
…というわけで、数あるグリップ交換型の選択肢から、今回はエンデュランスの「汎用グリップヒーター HG120M」をチョイス。電圧の上下によって通電量を自動調整する“レギュレート機能”や、エンジン始動時にだけ加熱設定を高くしておける“スタートアシスト機能”などが備わったモデルなのだが、いちばん惹かれたのは“電圧計機能付き”ってことかも。なんせ古い車両なんで、バッテリー電圧を常にチェックできるのは嬉しい話ということで。
【エンデュランス 汎用 グリップヒーター HG120M】●価格:1万890円 ※写真はエンデュランス公式サイトより [写真タップで拡大]
さて、結論から申し上げよう。初心者にグリップ交換型グリップヒーターの取り付けはできたのか? →結果、無事に取り付けられて、今まさに手元ぬくぬく極上の幸せを味わっている。
初心者にとって、グリップヒーター取り付けのハードルは2つあるだろう。
- そもそも電源をどこからどう引っ張ればいいのか?
- 元のグリップをうまく取り外せるのか?
イマドキはYouTubeでいくらでもそのテの解説動画を観れるので、筆者もあれこれチェックしてみたが、結果的にまぁ一番手間のかからないやり方でやっつけられたかなと。
以下にその手順を紹介しよう。初心者の方々も臆せずにDIYに励み、冷えよさらば、冬の快適ツーリングを手に入れていただくことを心より願う次第だ(その挑戦は自己責任にてお願いしたくw)。
ハードル1:グリップヒーター取り付けの前に、電源どうするか問題
電源はヒューズボックスから取るのが無難
作業完了後に振り返ると、何に一番時間がかかったかと言えば、電源をどこからどう引っ張るか、あれこれ検討したことだ。もはや中学校の技術家庭科レベルすらおぼつかない筆者にとって、これがなかなかの悩みどころ。ネットの識者によれば、“ヘッドライトの配線から分配”だの、当たり前のように書かれているが、もしも間違った線を切ってしまい回路自体が逝ってしまったら…などと思うと、そんな勇気はとても出ない。
さまざま検討した結果、一番わかりやすくて安全なのは「ヒューズホックスから電源を取る」と判断。結果、ヒューズボックスからハンドルまで配線を延ばす必要が生じるが、それは良しとした。
とりあえずこれだけは用意しておきたい工具類
- プラスドライバー:家庭の工具箱に入っているレベルでOK
- ラチェットレンチ:安物でもいいからソケットレンチセットを持っとくべし
- 電工ペンチ:配線コードをつなぐギボシ端子を加工するため
- ラジオペンチ:ギボシ端子加工のサブとして
- 検電テスター:どの配線に電気が通っているかをチェック
今回、電源取り回しに調達したパーツ類
- ヒューズ電源:電流(A)とヒューズ形状(平型/ミニ平型/低背)の違いあり
- 配線コード:ヒューズ電源からグリップヒーターへの配線。
- ギボシ端子:配線コードをオス/メスで繋ぐ金具。塩ビカバーとセットで。
- クワ型端子:マイナス配線取り付け用
- 結束バンド:配線コードの取り回し固定用
(念のため)電気取り扱い上の基礎知識
- 電力(W)=電圧(V)×電流(A)
- 配線を繋ぐときはプラス極から、外すときはマイナス極から
さて、電源取り回しの手順
- ヒューズボックス内、ヒューズ電源を差し込むスロットを決める
- 対象のヒューズを取り外し、ヒューズ電源を差し込む
- ヒューズ電源に配線コードを繋ぐ
- 配線コードをハンドル側に取り回す
- 配線コードとグリップヒーター側の配線を繋ぐ
手順1:ヒューズボックス内、ヒューズ電源を差し込むスロットを決める
手順2:対象のヒューズを取り外し、ヒューズ電源を差し込む
手順3:ヒューズ電源と配線コードを繋ぐ
手順4:配線コードをハンドル側に取り回す
手順5:配線コードとグリップヒーター側の配線を繋ぐ
ハードル2:続いてグリップの付け替え。簡単に抜けるのか??
結果:恐れるに足らず
電源取り回しの課題をクリアして、お次はグリップの付け替え作業。ざっと見たかぎりでは、黄色い接着剤が一部はみ出ているなど、びったり張り付いて簡単には剥がれないんじゃないかと思っていたのだが…。
結果から言うと、あっさり抜くことができてしまった。電源課題でかなり時間を費やしただけに、なんだか拍子抜け…。
だがその後、ハンドルバー全面に塗りたくられた接着剤をきれいに取り除くことに意外にも時間がかかってしまったのは予想外だった(上手い方法がきっとあるんだろうが、今回は地道にこそげ取った)。
バーをキレイなカラダにしてあげた後、新グリップをぐいと差し込む。細かい調整を施して、全工程が終了と相成った。
ここで使った工具類
- マイナスドライバー:家庭の工具箱に入っているレベルでOK
- パーツクリーナー:スロットル側が樹脂製なので、プラスチックセーフタイプを使用
- カッターナイフ:こびりついた接着剤を地道にこそげ取る
作業手順(と言ってもごくあっさり)
旧グリップ取り外し後。見てのとおり接着剤がこびりついている。これをキレイにこそげ落とす。左手側はスチールパイプなのでまあまあの手間で済んだが、右手スロットル側は樹脂製のためなかなか剥がれず難儀。ゴールが見えているのに、その手前で足踏みさせられるのはしんどい…。 [写真タップで拡大]
全工程終了:これで冬ツーリングも怖くない!
すべての作業を終えて、試走タイムへ。走り出し直後にレベル5に設定しておくと、みるみる間に発熱。しかも巻き付け型とは異なりグリップ全体が温まることもあって、手元全体を包み込むような“ぬくぬく感”に、何にも代えがたい極上の喜びを覚えた次第だ。
始める前はどうなることかと不安もあったが、終わってしまえばそれほど大変な作業でもなく、またその後に得られる満足度の高さと合わせると、グリップヒーター換装DIYは、バイクいじり初心者が取り組む課題としてうってつけだと言えるだろう。
手元の寒さをどうにかしたいビギナー諸氏、どうぞお試しあれ!
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