
ダックスをもっとも強く特徴づけるパーツといえば、間違いなくT字型のフレームだろう。往年のダックスのイメージを受け継ぐため完全新規生産されたモノコックフレームは、丸みを帯びたカーブから溶接痕にいたるまで伝統工芸品のような仕上がり。その魅力を全方位から見つめてみたい! というわけで、さまざまな角度から激写しました。
●文:ヤングマシン編集部(宮田健一) ●写真:真弓悟史/編集部 ●外部リンク:ホンダ
ホンダ 新型ダックス125 フレーム:現代の最新設計で懐かしい味を再現
ダックスならではのアイテムとして現代に復活したプレス鋼板によるT字型のモノコックフレーム。生産性ではパイプフレームに置き換わってしまい、もはや「過去のもの」と思われていた製法をわざわざ蘇らせたのは、暖かみがあるダックス独自の世界観に、それが欠かせない要素であるからだ。
【’22 HONDA DAX 125】■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 123cc 9.4ps/7000rpm 1.1kg-m/5000rpm ■107kg シート高775mm 3.8L ■タイヤサイズF=120/70-12 R=130/70-12 ●色:パールネビュラレッド パールカデットグレー ●価格:44万円
まるで伝統工芸品のような仕上がりを見せる新型ダックスの鋼板プレスフレームは、懐かしい外観とは裏腹に、その設計手法は極めて新しい。一つのCADデータをフレーム設計とデザイン双方の担当者が常時共有することで一元化して開発を進めたのだという。
その上で、2人乗りや125ccに求められる強度剛性となるよう、メイン部材となる鋼板には1.6mmの厚さを選定(部位により板厚は異なる)。張り合わせ構造についても、旧ダックスの2ピースから3ピースへ変えるなど完全新規としてイチから開発。その造形美を余すことなく伝えるためにワイヤーやハーネス類が目立たないよう最新の注意が払われている。ダウンフェンダーとしたのもフレームを綺麗に見せたいという思いからだ。
さらには現代における環境&安全基準をも満たすために、各種補機類を収めるフレーム内部レイアウトも完全に見直し。その過程においてはマスの集中化といったセオリーどおりの作業はもちろんのこと、フューエルタンクのマウントラバーにフレームの内側から一定のテンションをかける役割を持たせ、鋼板フレーム特有の音鳴りを抑える効果を狙うといった工夫も取り入れられた。
こうして誕生したダックス125のプレスフレームのネック部分には塗装された後に旧ダックス譲りの“首輪”グラフィックが与えられ、さらには昔はなかったクラシックウイングマークの立体エンブレムも燦然と輝く。まさに過去と現代が時を越えてひとつになった新しい姿と言えるのだ。
【強度剛性を狙った3ピース構成】旧型のフレームは上下を溶接で張り合わせたモナカ状2ピース構造だったが、新型では強度剛性を狙って底面にも鋼板を追加した3ピース構造。その底面部は凹ませた形状にしてワイヤーやハーネスなどを隠す工夫が。
ホンダ 新型ダックス125:鋼板フレーム解説
【強度と機能とデザインを統合して構築】2人乗りや125ccの動力性能に対応する強度や機能と、ライダーだけでなく家族にも笑顔で迎えられるような親しみやすいデザインの両立を目標に開発。T字型のシルエットが際立つよう補強部材やステーなどが表側から見えないような作り込みも行われている。
【表情豊かな立体感が魅力】ライダーから最も目に入る首まわりは、暖かい気持ちにさせる懐かしいレトロ感が、鋼板プレスの表情豊かな曲面と美しい溶接ビードで表現されている。その仕上がりはまさに新ダックスの真骨頂と呼べる部分だ。
【下部の絞り込みで剛性アップ】胴体部分は燃料タンクやエアクリーナーボックスをはじめ様々なパーツを高密度で収納しつつ美しさも追求。また下部の絞り込みで剛性確保にも余念がない。フレームのメイン部材には1.6mm厚の鋼板が用いられている。
ホンダ 新型ダックス125:鋼板フレームギャラリー
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
50ccでも実用カブとは別系統のOHCスポーツ専用エンジンを開発! ホンダは1971年に、50ccではじめてCBの称号がつくベンリイCB50を発売した。 それまで50ccにもスポーツモデルは存在したが[…]
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
発売当初のデザインをそのままに、素材などは現在のものを使用 1975年に大阪で創業したモンベル。最初の商品は、なんとスーパーマーケットのショッピングバックだった。翌年にスリーピングバッグを開発し、モン[…]
最新の記事
- オフロードバイク初心者も大歓迎! 爆破走行も楽しめる「エンジョイライドinケゴン2025」参加ガイド
- 「限定車“R”は可変排気バルブEXUP初搭載」1986ヤマハFZR400:FZ400Rの発展進化形【ニッポン旧車列伝】
- 原付二種の電動バイクは実用的!? メリット/デメリット/航続距離/おすすめ車種を徹底解説【2025年8月最新版】
- カワサキ「Ninja」ファミリーの2026年モデルが登場! 新ライムのグラフィックにダーク系のニューカラーも【欧州】
- GP125/250/500 全クラスで勝利したカダローラ レプリカ再臨! アライ「RX-7X CADALORA RESTYLE」9月中旬発売
- 1
- 2