今も絶大な人気を誇る’80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末長く楽しむには、何に注意しどんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家から奥義を授かる本連載、今回は「ホンダ CB400FOUR」について、バイクショップ・アゲインの創業者、松永直人さんに話を伺った。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:アゲイン
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乗り手に応じた整備とカスタムのプランを準備【CB400FOUR アゲイン】
16歳からミニバイクレースを始めた松永さんにとって、若き日の興味の対象はレーサーレプリカで、旧車にはあまり感心がなかったと言う。とはいえ、自身のショップを創業した’90年前後は、旧車カスタムが注目を集め始めた時代で、同店には多種多様な’70~’80年代車が入庫。その中の1台として、CB400フォアに出会ったそうだ。
「当時は何でもかんでも太いタイヤという時代で、僕が初めて体験したヨンフォアもそういう改造車でしたから、いきなりピンと来たわけではないです。でもあるとき、ノーマルに近い車両を試乗したら、あ、このサイズ感と軽快なフィーリングはすごくいいなと。その印象が契機になって、以後はヨンフォアに力を入れるようになりました」
取材時の同店に入庫していたヨンフォアは、ほとんどが何らかのカスタムが行われていた。ノーマルにこだわる人は、あまり多くないのだろうか。
「ウチのお客さんの場合はそうですが、いつでもノーマルに戻せるように、純正パーツを保管している人は大勢います。なおカスタムに関しては、ライディングポジション関連/マフラー/リアショック/点火系などから始めるのが定番ですね」
現役時代のCB400フォアは、海外では動力性能がいまひとつ…と言われることが多かったようだが、現代の日本の道路を走るうえで、物足りなさを感じることはないのだろうか。
「そのあたりは乗り手の感性によりけりで、例えば現代のCB400SFと比較すれば、いろいろな意味で物足りないのは事実ですが、動力性能はノーマルで十分と言うオーナーさんは少なくありません。ただし、パワーや制動力の向上を希望するお客さんには、排気量を455~510ccに拡大するボアアップキットや、フロントブレーキの強化キットをオススメしています」
同店を訪れるCB400フォアオーナーに対して、松永さんが話す機会が多いのはオイル管理の重要性だ。
「逆に言うなら、このバイクの注意点と言うべき要素はそれくらいなんです。交換サイクルは半年か2000km以内で、ルックス的にOKなら、オイルクーラーと油温計を装着したほうがいいでしょう。’70年代と現在では道路事情がまったく異なりますから、エンジンオイルにはできるだけ気を使って欲しいです。もっともそれは好調な車両の話で、整備履歴が不明な車両の場合は、オイル管理以前に、要修理という部分がたくさんあるのが通例です」
旧車専門店の中には、他店やネットオークションで購入した車両はお断り、というケースがあるものの、アゲインではそういった区別は行わないそうだ。
「車両購入の経緯はさておき、せっかくヨンフォアを購入したなら、本来の資質を味わって欲しいですからね。ウチに新規のヨンフォアオーナーが来店した場合は、まず各部の点検で問題点の洗い出しを行って、完調に至るまでの費用を概算し、オーナーさんと相談したうえで、作業の優先順位を決定します。ウチで準備している整備済みの中古車を購入すれば、そういった手間は省けるのですが、とりあえず走れるレベルから、徐々に好調を取り戻していく作業は、それはそれで楽しいと思いますよ」
CB400FOUR専門ショップ アゲインのおすすめ年式
ここ最近の中古車市場で、最も高値で取り引きされているCB400フォアは、日本のみで販売された398cc仕様。その背景には、大型2輪免許が不要という事情があるのかと思いきや、必ずしもそうではないようだ。
「398cc仕様が高い理由は、希少性です。シリンダーの数字と車検証に記された昭和の文字が、マニアの間ではステイタスになっているようですが、これからCB400フォアを乗ろうという方は、そこにこだわる必要はないと思いますよ。408cc仕様と比べて、乗り味に秀でたところがあるわけではないですから。なおカワサキZも傾向は同様で、日本仕様の750ccのほうが高額ですが、CB400フォアとは異なり、750ccのほうが楽しいと言う人がいるようですね」
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