
今も絶大な人気を誇る’80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末長く楽しむには、何に注意しどんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家から奥義を授かる本連載、今回は「ホンダ CB400FOUR」について、メンテナンス上のポイントを明らかにする。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:アゲイン
中古車を購入する際はエンジン下部を要確認
旧車のトラブルと言ったら、エンジンからのオイル漏れ、キャブレターと点火系の不調、ハンドリングの違和感などが定番である。事実、松永さんによると、アゲインを新規で訪れるCB400フォアオーナーの多くも、そういった問題に悩まされているらしい。
「オイル漏れは各部の経年変化を考えれば当然ですが、エンジンをOHしたのに漏れる場合は、ヘッドガスケットの品質の問題かもしれません。キャブに関しては、当時のホンダ用のケーヒンは構造が非常に複雑なので、ある程度の知識がないと、本調子を出すのは難しいと思いますよ。点火系にそういった複雑さはないですが、ポイントの劣化や日本電装とミツバ製の混同で調子を崩しているケースはあります。ハンドリングについては、各部のベアリングとブッシュ、リヤショックなどの劣化が原因というケースが多いですが、ごくたまに、フレームのメインパイプが変形している個体がありますね」
旧車の定番以外では、クランクケース前部のカムチェーンテンショナーセッティングボルト周辺と下部のオイルラインの破損が、CB400フォア特有の問題が起こりやすい箇所のようだ。
「どちらも原因は前作業者のミスで、クランクケース下部のオイルラインの破損は、エンジンガード装着時の長いボルトをそのまま使った結果です。いずれもきちんと修理するにはエンジンの脱着が必要になるので、これからCB400フォアを購入する人は、その2点を確認したほうがいいでしょう」
ホンダ CB400FOUR メンテナンスポイント
キャブレター:気化器の状況でフィーリングは大きく変わる
ヘッドガスケット:最新の技術を用いて圧縮漏れを回避
オイルクーラー:冷却効率を高めることでエンジンの寿命は確実に伸びる
’70年代とはまったく異なる現代の交通事情を考慮して、同店では油温を適正に保つオイルクーラーの装着を推奨している。取り出し用のアダプターやホースを含んでのキット価格は5万5000円。また、オイルパンが破損しているエンジンには、マグネットドレンボルト付きのレプリカ:3万8500円で対処。 [写真タップで拡大]
エキゾーストシステム:根強い人気を維持する手曲げタイプの集合マフラー
純正マフラーの評価が高いCB400フォアだが、昔ながらの手曲げタイプも根強い人気を維持している。アゲイン製は現在販売を中止しているが、近日中にスチール製ブラック塗装/スチール製メッキ仕上げの生産を再開する予定。社外マフラー用として、“逃げ”を設けたセンタースタンドは2万2000円。 [写真タップで拡大]
プライマリーチェーン&ダンパー:CBフォア系に共通する駆動系の消耗パーツ
カムチェーンテンショナー:粗雑な調整作業でネジ山が破損する
クラッチ:独自のキットの目的は容量拡大と操作力軽減
トランスミッション:補修部品としても使えるクロスレシオのキット
スプロケット:マニア心をくすぐる純正タイプの520
シフトシャフトガイド:追加装備することで2つの美点を獲得
フロントブレーキ:制動力強化の手法には数多くの選択肢が存在
リヤショック:純正然としたIKONと現代的な構成のYSS
フレーム:転倒や衝突の痕跡を目視と触感で確認
細身のシートレールは、軽度の転倒でも曲がりやすい。燃料タンクの脱着時に妙な抵抗を感じる場合は、メインパイプが変形している可能性があるそうだ。なおシートに関して、同店では純正レプリカを筆頭とする6種類を販売。 [写真タップで拡大]
スイングアーム:ブッシュの状況次第で高速安定性が激変
エンジンマウント:ロングタイプのボルトがオイルラインにメリ込む?
スパークユニット:現代の点火ユニットで強力な火花を実現
ヒューズ:ブレーカータイプのスイッチ式が人気
ジェネレーター:ノーマルとは異なる方式で安定した電力を確保する
[連載] プロに学ぶ’80s国産名車メンテナンスに関連する記事
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
ホンダは、昨夏の発表でコロナ禍によるロックダウン、世界的な海上輸送・港湾の混雑、半導体供給不足などの複合的な要因から製品・部品入荷や物流の遅延が継続・長期化しており、生産・海外からの入荷見通しが依然と[…]
CBR600RR:20周年で新型登場?! 発表は鈴鹿8耐か 初代CBR600RRの誕生は2003年。それまで600ccクラスのレースにスポーツツアラーのCBR600F4iで参戦していたホンダだが、他社[…]
5年連続ベストセラーに充実のパッケージで挑む〈エリミネーター VS レブル250〉 250クラスのクルーザーでは’17年の登場以来、5年連続でホンダのレブル250がベストセラー街道をバク進している。ま[…]
快適ワーク研究所を設立、シフトールはVRやメタバース領域で活躍 2023年2月、ワークマンは労働寿命の延伸を目指し、企業や大学とのコラボ製品を生み出す「快適ワーク研究所」を設立。5月から1万着がテスト[…]
GB350はマットパールグレアホワイト、GB350Sはプコブルーを追加! 2022年にクラストップの販売台数を記録し、供給が追い付かないことから受注が一時停止されていたホンダ「GB350」「GB350[…]
最新の記事
- トップガン マーヴェリックの愛機「GPZ900R」に密着! 劇中車を徹底紹介!!
- Kabuto「F-17」に新グラフィックモデル『フォルテ』&『トリック』が登場!
- 【新車バイク4台・モニターレポート】カワサキ・Z125プロ編:その2
- ケンツのRG500Γ最新カスタムが完成!!【本物のワークス外装をベースにした究極レプリカ】
- バイクで高速道路の路肩走行OKの国もある?! 日本では国交省が壁になっているが……〈多事走論〉from Nom
- 1
- 2