自転車に取り付けて原付登録できる中国製のエンジンを手に入れたバイクメンテナンス系YouTuber DIY道楽テツ氏。購入編/分解編に続いて、本記事では単体始動テストを行う。小さくても立派なレシプロエンジン、大排気量車に勝るとも劣らないその鼓動の魅力をお届けしよう。「このエンジンは当たりだぜ~!」
●文/まとめ:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
- 1 今回はこのエンジンが本当に動くのか?そのチェックを兼ねて「単体始動テスト」やってみます
- 2 「仮」のフレーム 実はこれが一番悩ましい? と思ったらまさかの突破口
- 3 点火系の電装部品の取り付け。つっても配線二本繋ぐだけですが(笑)
- 4 吸排気系の取り付けでもマイナートラブル発生(笑)
- 5 仮の燃料タンクは百均アイテムのドレッシング入れで代用!
- 6 旧型トラクターを始動する要領で動かしてみます!
- 7 【祝】エンジン始動! 吹き出す白煙、漂うオイルの香り
- 8 エンジン始動は確認できた。いよいよ次回から本格的な改造作業にはいります
- 9 動画解説はこちら↓
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今回はこのエンジンが本当に動くのか?そのチェックを兼ねて「単体始動テスト」やってみます
原付バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買いしてしまった…というのが前回/前々回のあらすじ。
しかし、疑うわけじゃないのですが…この玩具みたいなエンジン、本当に動くのでしょうか?
いやいや、不良品を疑ってるわけじゃないですよ!? その逆で、前回バラしてみたらまるで模型か教材かのようにあまりにシンプルな構造だったので、エンジンとしてちゃんと動くのか? 本格的な改造に入る前に、試してみたいなと思いましてね。
だってだって、苦労して改造を終わらせた後に、肝心のエンジンが「動きませんでした! チャンチャン♪」←じゃ、あまりに悲しいじゃないですか(笑)。てことで今回は、最低限の部品を取り付けて、エンジンが動くかどうかのテストをやってみたいと思います。
さてさて、単体始動テストの課題は4つあります。仮フレーム/点火系/吸排気系/燃料系…つまりは、【1】エンジンを何かしらの方法で固定して【2】スパークプラグから火花が飛んで【3】キャブレターとマフラーが装着されていて【4】適正な燃料(混合ガソリン)を供給してさえいれば、エンジンが始動するはず! …ですよね??
それでは…ひとつひとつ、やってみましょうか~!
「仮」のフレーム 実はこれが一番悩ましい? と思ったらまさかの突破口
仮とはいえエンジンを固定する…いきなりですが、コレが一番悩ましい。
というのもこのエンジン、基本的に三角フレームの自転車に取り付けるのが大前提なので、今回の実験のために用意したママチャリには形状が合わないんです。つまり現時点では固定できるフレームが存在してないわけで、かといってゴロンと地べたに置けるような形でもない。なんたって二か所のパイプクランプがその取り付けステーとなっているのです(※テキトーな図参照)。
マウンテンバイクやビーチクルーザーならそのままポン付けできる車種があるようですが、ママチャリにはフレーム改造しないと取り付けられません。そもそもパイプの径が合わないし…。
かといってエンジン始動テスト用だけにフレームを作っちゃうのも無駄だってんで、どうしたものかと悩んでいたのですが…そこで目についたのが、古い脚立。
形状の都合上一箇所しかクランプできませんので、どう考えても強度不足&振動で動いてしまうでしょうが、エンジンが動くかどうかのテストに使うぐらいだったら、まぁ大丈夫でしょう!
点火系の電装部品の取り付け。つっても配線二本繋ぐだけですが(笑)
お次は電装系の装備です。点火用の配線を取り付けるのですが…つっても、二本のコードをイグニッションコイルに繋ぐだけ! (シンプルだ…)ちなみに、ギボシが二股端子になっているので、ここにキルスイッチ(イグニッションスイッチ??)の接続が可能です。ただし付属のスイッチのコードが未加工のため、実際に取り付ける際の長さがまだ分からない今の段階ではパスしておきます(※ちなみに写真では配線の色を間違えてますが、ご容赦いただけますと幸いです)。
このタイミングで火花が飛ぶかどうかのテストを行います。しかしスパークプラグを外そうとしたところで思わぬトラブル発生。
シリンダーヘッドのフィンが干渉して付属のプラグレンチが使えない!!
…おい、マジか。
早くもお得意の破壊アイテム「ディスクグラインダー」で空冷フィンの一部を削ります。それにしても付属のプラグレンチが使えないって…いやもう、面白いですね。ここらへんが大陸クオリティ。
気を取り直して、スパークプラグを外してプラグキャップに接続。キックペダルを踏んで…ができないので(モペットは基本的にペダル走行からクラッチを繋ぐ押し掛け式スタート)、直接スプロケットを回します。
ドライブスプロケットの取付ボルトが19mmだったので、ソケットを取り付けたラチェットで直接クランクを回すと…おおおっ! ちゃんと火花が飛んでますね~。そこそこ力強い火花なので一安心。
これで、課題の二つ目クリアー!
吸排気系の取り付けでもマイナートラブル発生(笑)
まずはキャブレターとアクセルのスロットルホルダーをケーブルで接続します。
キャブレター自体は小さいですがそれほど珍しい形状ではないので、迷うことはありませんね。始動テストなのでスロットルホルダーはフリーでもOK。キャブレターをエンジンに取り付けるのですが…ねじ一本で締めこむだけ。…いや~、これは振動で動いちゃいそうな気がしますが、ここらへんの構造についてはもう気にしません。
そしてお次は、大根くらいの大きさしかないちっちゃいマフラー。短すぎる気がするし、パイプにサイレンサーっぽいのが付いているだけ。変に高回転型なくせにパワー的にもちょっと辛そうな気配ですね
~。自転車に取り付けるという制約上これが精一杯だと思いますが、もし適正な容量のチャンバーを取り付けることができたら劇的にパワーアップしそうな気もします。
そしてこのマフラー、これはナット二個で簡単に取り付けられ…る…ハズなのですが締め付けられない!?
何か変だと思ったら、フランジの溶接がモリモリ過ぎてナットに干渉、締め付けができないようです(笑)。細かなマイナートラブルが続きますね~!! ここも、ディスクグラインダーにて切削作業。
ええもう、予想はしていましたが…この自作モペット用エンジン、ある程度の工作機械と加工技術は必須です。いちいちクレームなんて入れてはいられないですね。こういったマイナートラブルを「面白い」と思える人向けのディープな趣味の世界なのでしょう、きっと、多分。
仮の燃料タンクは百均アイテムのドレッシング入れで代用!
最後は燃料です。この自作モペットは「混合ガソリン」指定なので、チェーンソーや草刈り機同様、ガソリンと2サイクルオイルを混合したものを使います。今回はたまたま隣にあるNSR50がサーキット走行用になっていて混合ガソリン仕様なので、そちらから失敬(笑)しました。
よし、これで準備は整った!!!
旧型トラクターを始動する要領で動かしてみます!
エンジン、取り付けオッケー、
イグニッションコイル、スパークプラグの火花オッケー、
キャブレターとマフラーの装着、オッケー。
そして燃料もオッケー、っと!
これで始動実験の用意は整った(はず)です!
しかしここにきてもう一つ問題が浮上。それは「どうやって始動するか?」です。
火花テストのところでも触れましたが、モペット(ペダル付き自転車バイク)はまずペダルを漕いで勢いをつけ、その状態でクラッチを繋ぎクランクに動力を伝えてエンジンを始動する…という押し掛け(走り掛け?)方式になっているので、セルモーターやらキックペダル等といった高度(?)な機構を一切持っていません。
つまり、現時点では始動する方法はクランクを直接回す(ドライブスプロケットを回す)しかないということ。(ちなみに、ジェネレータ部分から回す方法もトライしたのですが、ナットの食いつきが弱いようでクランクが回る前にナットが緩んだので却下)。
しかも先ほどの火花テストとはちがって、エンジン始動した場合、スプロケットが勢いよく回るので、エンジンが掛かった瞬間に離さないと回した工具が吹っ飛ぶ(!!)危険性があるのです。
…怖いな!?
以前、ご近所の農家さんが所有する古いトラクターのエンジン始動を手伝ったことがあります。フライホイールにハンドルを取り付けて、ぐるぐる回してからクラッチを繋ぐとエンジンが始動するのですが、そのエンジン始動の際に手早くハンドルを抜かないと、同じようにハンドルが凄い勢いでまわるか、もしくは吹っ飛ぶ(!)のです。
なんともはや。
エンジン始動からすでにノスタルジック。
平成どころか昭和ですよ、ショウワ。下手すりゃ戦後時代の世界ですね~。
そんなわけで、エンジン始動と同時に引き抜く練習を繰り返したのちに、エンジン始動を試みます。
【祝】エンジン始動! 吹き出す白煙、漂うオイルの香り
ガシュンッ…ガシュンッ。数回のクランキングの後に…。
「ガシュッ ブッブッ ブトトトッタタタタッ!!!」
火が入った! エンジン始動キタ――(゚∀゚)――!!
スロットルを軽く捻ってみると、
「ベイイ~~イィィン…ベイイ~~イィィン…バタタタタタタタタッ!」
ブルブルと震えるシリンダー。吐き出される白煙。そして瞬く間に立ち込める、カストロールの甘い香りっ!! これぞ空冷。これぞ2サイクルエンジン!
小排気量のくせして精一杯自己主張するその姿はちょっと感動的ですらあります。といってもパワー無さそうな音してますがね~(笑)。
それにしてもやかましいですわ。正直、うるさい(笑)。
まだチェーンソーや草刈り機のほうが静かですね。音量的にはカートコースで走っているレンタルカートよりちょっと煩いくらい?
特にアイドリング時の「バタバタバタバタ」って音はまさに、「バタバタ」の語源になった昔の原動機付自転車の音そのものなのでしょう。
自分にとってはちょっと新鮮なこの音も、祖父世代にとっては思わず目を細めてしまう青春の音なのかもしれません。思わずガソリンが尽きるまで聞き惚れてしまいました。
エンジン始動は確認できた。いよいよ次回から本格的な改造作業にはいります
エンジン、無事始動しました~!
次回からいよいよこのエンジンをママチャリに搭載するための作業に入ります。まずはエンジンの搭載位置を決めるために、ドリブンスプロケットを取り付けるところからですね~。お楽しみに!!
今回もご視聴ありがとうございました~!!
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
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