GSX-S1000をベースに’19年にリリースされたスズキ・カタナが、令和2年排ガス規制の適合に伴い電子制御系をアップデートした。新たに電スロを導入し、出力特性を3種類から選べるSDMSを初採用。厳しい排ガス規制をクリアしつつ最高出力は2ps増の150psへ。クイックシフターの採用にも注目。
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:松井愼 ●外部リンク:スズキ
‘22 スズキ カタナ 概要
[◯] ドン突きが解消されてさらに扱いやすく進化
コンセプト的に好敵手となるカワサキのZ900RSとは販売台数においてやや開きはあるものの、存在感では一歩も引けを取らないスズキ カタナ。往年のGSX1100Sに憧れて限定解除を決意した人間からすると「セパレートハンドルで登場してくれていれば…」などと思わなくもないが、ビッグネイキッドとしての完成度は高く、サーキットでも存分に楽しめる点は大いに評価する。
そんなカタナが、ベースとなったGSX‐S1000と同様のマイナーチェンジを実施した。新排ガス規制に適合するとともに、SIRS(スズキインテリジェントライドシステム)と呼ばれる高機能なシステムを新たに搭載した。電子制御スロットルや3種類の走行モード、双方向クイックシフターが新採用されたほか、トラクションコントロールは3段階+オフから5段階+オフへと介入レベルが細かく選べるようになった。このSIRSの導入によって最も進化したのはスロットルレスポンスだ。A/B/Cの各走行モードにおいて最高出力150psはいずれも変わらず、レスポンスのみが変化する。先代はスロットルの開け始めで過敏に反応する傾向にあったが、新型は最も元気のいいAモードでもドン突きは皆無。よって、より扱いやすくなったと言えよう。
2ps増加した998ccの水冷並列4気筒は、低回転域からシルキーかつトルクフル。変速ショックの少なさではトップクラスと断言できるクイックシフターとの相乗効果で、上質さがより高まっている。なお、未舗装路でトラクションコントロールを試してみたところ、リヤタイヤがほとんど空転しない介入レベル5に対し、レベル1は断続的に空転しつつもしっかり前へ進むことを確認。これは安心だ。
ハンドリングは、スポーティかつ積極的に旋回力を引き出せるという本質はそのままに、エンジンのドン突きが解消されたことでさらに扱いやすくなった。ブレーキはフロントにブレンボのラジアルマウントキャリパーを採用するが、初期から強力に利くタイプではなくコントロール性を重視したもの。これも扱いやすいハンドリングの一部であり、ネイキッドとしての総合性能は高い。
昭和に誕生した伝統の刀ロゴが令和に蘇る
[△] 燃費ダウンによって航続距離さらに短く
車両価格6万6000円アップは想定の範囲内。WMTCモードでの燃費が13%ダウンしており、先代から指摘されていた航続距離の短さがさらに際立ちそう。とはいえ、このスタイリングに惚れて購入する人にとっては“あばたもえくぼ”だろう。
[こんな人におすすめ] カタナらしさをそのままに進化。買うなら新型だ
クルーズコントロールやETC2.0車載器を装備するGSX-S1000GTよりも1万1000円高いが、カタナが欲しい人はおそらくGTを比較対象とはしないはずだ。先代のドン突きをネックに感じていたので、買おうと思っている人には新型を強くお薦めする。
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