折りたためる電動3輪ミニカー「フューチャーモビリティF1」試乗インプレッション

フューチャー社の電動パーソナルモビリティ・GOGO!は、商店街での活用やリゾート地のシェアリング車両としても注目されている。本記事で紹介する電動3輪ミニカー「フューチャーモビリティF1」はGOGO!シリーズをパワーアップしてカーボンパーツを多用した、ちょっとマニアックな車両だ。


●文:ヤングマシン編集部(近藤スパ太郎) ●写真:輪 ●外部リンク:フューチャー

自動車のノウハウを採用した新感覚の電動モビリティ

フューチャー社は「フューチャーモビリティ F1」の他にも、フロント2輪/リヤ1輪の電動3輪モビリティ「GOGO!」シリーズをラインナップする。レーシングドライバーで日産自動車の社外取締役も務める井原慶子氏が、地元(愛知県春日井市)の商店街の方から「デリバリーのバイクでは大きすぎて怖くて…」という声を聞いたことがきっかけとなり、”軽くて誰もが扱いやすく、電動アシスト自転車以上デリバリーバイク未満”をコンセプトに「GOGO!」を開発した。部品は海外から調達するものもあるが、設計/開発/製造は三重県鈴鹿市で行っている。定格出力は600W(50ccと同じ区分)だが、第一種原動機付自転車のミニカー(市区町村登録の水色ナンバー)であるため、原付や2輪免許では乗れず普通自動車免許が必要である。ヘルメットの着用義務はないが、着用を推奨している。

【FUTURE FUTURE MOBILITY F1】■全長×全幅×全高(mm):1000×600×1000 ■シート高:640mm ■車体重量:18.5kg(バッテリー含む) ■原動機:ホイールインブラシレスモーター ■定格出力:600W ■車両区分:原付一種(ミニカー) ■最高速度:45km/h ■駆動用バッテリー:リチウムイオンバッテリー ■バッテリー電圧/容量/充電時間/単体重量:48V/16Ah (768Wh)/~4時間/約3.5kg ■一充電走行距離:30km ■ブレーキ:F/R=ディスクブレーキ ■タイヤサイズ:F=10×2.125 R=10×3.2 ■サスペンション:マルチリーンステアサスペンション(特許出願済み) ■機構:イスの取り外し/ハンドルポストの折り畳みが可能 ■ボディ:カーボンモノコックフレーム ■乗車定員:1名 ●価格:47万800円

【シッティングポジション】板にクッション素材と表皮が貼られたシートでイスに座っているような感覚。ステップボードは両足を揃えて置ける広さがあり窮屈さは感じないが、ハンドルはとても高く感じる。ショックアブソーバーもないため路面からの振動はけっこう伝わってくる。[身長173cm/体重77kg]

【スタンディングポジション】座って乗るのが基本だが立ち乗りも可能。ポジションは電動キックボードそのものだがシートが足に当たるためちょっと前寄りに立つ。ハンドルの高さは少し低めに思うが、路面からの振動も軽減され、立ち乗りの方がより楽しく走れる。[身長173cm/体重77kg]

F1はモノコックカーボンフレーム製で、車重はGOGO!より4.5kgも軽く、よりパワーのあるモーターを搭載し最高速は45km/hだ。跨ってみると座席がとても低い。これは商店街の誰もが安心して乗れる…の名残なのかもしれない。走り出すと走行の挙動にレーシングカートのような感覚がある。これは独自開発の「マルチリーンステアサスペンション」によるものだと思う。この懸架装置は車体を自立させ、ハンドル操作と連動して2つの前タイヤの方向を定め、タイヤと車体をリーンさせる役目を持つ。タイヤが小径でショックアブゾーバーがないこともレーシングカートを連想させる走行感なのかもしれない。

また、F1のリーンは一般的なバイクのそれとは全く異なる。これは2つの前タイヤに異なる内輪差が発生していることも影響していると思われる。だがこれは乗りこなしたくなる楽しい新感覚で、ボクは座るよりもスタンディングポジションの方がコントロールしやすかった。さらに面白いのが、ブレーキはリヤメインで使うように設計されていること。これは自動車レースの考えを導入しているそうだが、フロントブレーキも制動性はなかなか良い。加速も良く坂道も登るので、交通量の多い都内でも楽しく走れる。

最大走行距離は30kmだが、バッテリーを使い果たしたとしても大丈夫。座席は手締めのネジで止まっているので簡単に取り外せ、車体を折り畳んでタクシーに楽々積み込める。これはイイね! 現在販売代理店は全国に7か所あり、試乗車を持つ店も多い。この新感覚の走り、ぜひ体験してもらいたい。

【商店街にも馴染むスタイル】商店街の方の要望から開発がスタートしているフューチャーの車両は、歩行者が歩く速度域でも安定して静かに走行できる。

【急坂も登る】最大登坂角度は非公表だが、速度は落ちるものの住宅街の急坂でも不満なく力強く登った。

フューチャーモビリティF1 ディテール写真解説

【タイヤも車体もリーンする】フューチャー社オリジナルの懸架装置「マルチリーンステアサスペンション」の技術で人車一体のリーンを実現。

【特許出願済みの懸架装置】車体を自立させ、ハンドル操作と連動してタイヤの向きや車体の傾きをコントロールする特許出願済みのマルチリーンステアサスペンションは、自動車の懸架装置技術を応用している。

【インホイールモーター】走り出しが良く登坂力もあるインホイールモーターは中国製を採用し、F1のために専用設計された自社製コントローラーで制御している(リヤフェンダー前側に搭載)。スロットルはレバー式ではなく、ライダーには嬉しいグリップ式を採用しているため、繊細なスロットル操作が可能だ。

【前後にディスクブレーキ】前後ディスクブレーキで制動性を確保。ブレーキパーツはATV用を採用している。

【座席一式を取り外し可能】座席は車体の裏側から手締めネジ4本で固定されているため、工具がなくても取り外せる。メーカー推奨ではないが、電動キックボードのような使い方もでき用途の可能性が広がる。

メーターの+-ボタンで走行モード5パターンを選択できる。

【グリップ式スロットル】スイッチ類は左側に集約。赤が電源起動スイッチ。右のグリップの内側部分がスロットルになっている。

右ブレーキレバーには、パーキングロックを掛ける機能がある。

【灯火類はLEDを採用】コンパクトなLEDヘッドライトはホーン機能を内蔵。グリップエンドウインカーの採用で視認性とオシャレ度をアップする。

テールランプ/ウインカーには装飾効果のあるテープ式LEDを採用する。

【折り畳んで車載もできる】折り畳めば車載したり、コンパクトに収納できる。折り畳めるハンドルポストはレバーで固定。

バッテリーを外して専用充電器で約4時間でフルチャージ

【ステップボードの下にバッテリーを搭載】カーボン製のステップボードはバッテリー収納スペースのカバーも兼用している。

【バッテリー重量は3.5kg。パナソニック製セル採用】48V/16Ah・容量768Whのバッテリーは415×75×90(mm)とコンパクト。重量も約3.5kgでとても軽い。バッテリーを外す時は前部を持ち上げるとロックが解除される。装着時は端子部分を差し込んでから前部を押し込むとロックされる。

【充電はプラグを差し込むだけ】充電器を挿して4時間で満充電。

近藤スパ太郎[タレント/プロデューサー]:環境番組のパーソナリティを担当したことを機に、電動バイクの強烈なパワーにひと目ぼれ。俳優・MCの他、企画プロデューサー、芸能・制作プロダクションSPANCHOOSの代表を務める。[URL]近藤スパ太郎SPANCHOOSTwitter


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