ホンダの「ジャイロ」といえば、配達などでも人気のある、原付3輪スクーターの代表的な存在だ。すでに日本ではビジネス用“電動”3輪スクーターが走っており、ホンダは後発になってしまったが、いよいよ電動版ジャイロが発売された!
●文:近藤スパ太郎 ●写真:輪 ●取材協力:ホンダ
あらゆる面で優等生的な作り。きっと配達が楽しくなる!
’21年3月に発売が開始された「ジャイロe:」のメディア試乗会に参加。ジャイロシリーズはホンダのビジネス用原付3輪スクーターで、’82年にジャイロXが登場し、その後’85年にジャイロアップ、’90年にキャノピーが発売され、今もなお人気がある。この”働く3輪スクーター”が、いよいよ電動化されたというワケだ!
ジャイロe:は、’08年に生産を終了したジャイロアップの特徴を引き継いだ車両だ。前側は’20年春に発売されたベンリィe:をベースに、後ろ半分はジャイロアップの構造となる。ベンリィe:と同じ脱着式の48Vホンダモバイルパワーパックを2個直列でつなぎ、96Vで走行する。モーター/シート/メーター/灯火類もベンリィe:と同じものが搭載されている。なお、サイドスタンドのようなものはなく、停車時にパーキングロックレバーを引けば自立できる。
さて、試乗した印象だが、スロットルレスポンス/停止状態からの加速力はEVの特性が活かされた設定で、エンジンのジャイロよりも良い。街中を走っても他の車両に混じって走ることができた。最大積載量30kgの荷物を積んだ状態で傾斜15°の登坂性能を実現できたり、後進機能ができるのもEVならではの機能だ。左手のリバーススイッチと右手のスタータースイッチを押せば後進し、駐車スペースからの出し入れや狭い場所など活躍するシーンは多い。
「やっぱホンダは作りが違うな…」と痛感したのが、ブレーキを掛けてもモーターからのパワーが遮断されないこと。ブレーキを掛けながらスロットルを開けられるのは良いね。それに141kgもある車両なのに重量バランスが良く、走行フィールが軽やかでブレーキングも滑らかだ。
ジャイロe:の特徴として、大きな荷台が常に路面と並行で傾かないことがある。前側だけが2輪車と同じようにリーンをして、気持ちよくコーナーを走れるのだ。これはジャイロアップと同じスイング機構とナイトハルト機構を採用し、機構内部のラバーが変形する反力を利用している。またスロットルを戻しても惰性で結構走るし、走行音も小さく早朝や住宅街の配達にもピッタリだ!
優等生的な作りで良い所だらけのジャイロe:だが、法人向け販売のみで一般購入はできない。国や東京都等によるEV車購入補助金制度が拡充されているので、事業者の方は導入を検討する価値あると思いますよ!
ジャイロe: ディテール写真解説
ホンダモバイルパワーパックを2個直列で搭載。満充電まで約4時間!
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