
ニンジャH2/Z900RS/ニンジャZX-25Rと、近年とにかく凄まじいのがカワサキのハジけっぷり。今後はその勢いがさらに加速していきそうだ。親会社の川崎重工から分社し「カワサキモータース」として新生。よりスピーディで身軽になったカワサキの2輪車部門が、伝統モデルの増強から電動化、さらに次世代燃料に至るまで今後のニューモデル戦略を明らかにしたのだ。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:カワサキモータース ヤングマシン編集部 ◆外部リンク:カワサキモータース
主要機種の多くを電動化。でも内燃機も見捨てない!
近年、とにかく勢いのあるカワサキ。’21年10月1日には川崎重工から「カワサキモータース」として2輪部門が分社化したが、これもよりスピーディで小回りが利く組織を目指したもの。この改革を機に今後の事業方針についてメディア向け説明会が開かれた。
その場で語られた新社長・伊藤浩氏の所信表明は、「カーボンニュートラルの分野で2輪業界を牽引していく」という強い決意で、そのために取り組むとされた内容は「CO2削減に向け、やれることを全部やる!」といったもの。その内容はとにかく野心的だ。
まず目立つのは電動化だ。’25年までにハイブリッド車(HEV)/ピュア電動車(BEV)を10機種以上投入し、’35年までには先進国向けの主要機種もHEV/BEV化を完了させるという目標は、ヤマハが発表している「’50年までに2輪の90%を電動化」を大きく上回るもの。現2輪業界では最大級の電動化政策と言えるだろう。
その一方、水素/eフューエル/バイオ燃料といったカーボンニュートラルな次世代燃料の開発にも注力し、内燃機関の継続にも意欲を見せるのが実にカワサキらしい。水素は親会社の川崎重工も全社的に推進しているうえ、トヨタとタッグを組んで実証実験にも参加中だから、こちらからのフィードバックも大いに期待できるはずだ。
さらに伊藤社長は「メグロやZ900RSに代表される、伝統を継承するモデルは今後も投入する」と明言。加えて出資しているビモータとは、より深い協業も検討中と示唆した。
つまり新生カワサキモータースは、「電動をやり、ハイブリッドをやり、水素をやり、ビモータもやりつつネオクラシック系もガンガン増やすゼ…」という、超全方位展開を仕掛けていく予定なのだ。’30年には売上高を現在の倍近い1兆円に成長させると発表したことも踏まえれば…、今後のカワサキは怒涛のニューモデルラッシュが待っているハズ。大いに期待したい。
【10/1に分社化。メディア向け説明会で発表】カワサキモータースの社長に就任した伊藤浩氏が明かしたこれらのニューモデル戦略は、’21年10月6日に開催されたメディア向け事業方針説明会で発表されたもの。超野心的。
水素:トヨタとのタッグに加え次世代燃料や水素エンジンも開発
トヨタが水素社会の実証実験として推進中の「水素エンジンカローラプロジェクト」に、海外で作った水素を自前の運搬船で運ぶという提携を発表した川崎重工。両社の間では水素エンジンの共同開発も検討中とのこと。また、カワサキモータースも水素エンジンの開発を進め、eフューエルやバイオ燃料など、内燃機関を継続させるカーボンニュートラル燃料の研究にも力を注ぐとのこと。
水しか排出しないのに“快音”を響かせる 水素エンジンを搭載するトヨタの研究車両兼レース車両「水素エンジンカローラ」が、市販車で競われる「スーパー耐久」レースで確実に成果を残している。初参戦となった20[…]
2系統の燃料ライン。他燃料との混焼も想定? 10月1日に川崎重工から分社化し「カワサキモータース」を名乗ることとなったカワサキの2輪車部門。そのメディア向け説明会の会場に展示されていたのがこのエンジン[…]
ハイブリッド:初公開! 市販前提のハイブリッド車
今回、市販を前提に開発中のハイブリッド車を初公開。ニンジャ250または400(排気量は未公開)のエンジンにモーターを組み込み、エンジン/モーター/両者併用の3モードでの走行を可能とする。バッテリーは自社開発品(今回は未公開)をシート下に置く。
【オートマでも走れる!?】モーターはクランクケース上。シフトチェンジはボタン操作を想定したアクチュエーター制御としており、クラッチレバーは廃されてている。
EV:電動なのに4速マニュアル!?
ハイブリッド車と同じく、説明会に展示されたピュア電動バイクのプロトタイプ。’19年のミラノショーに展示されたものの改良版で、EVながらクラッチ付きの4段ミッションを持つ。左手親指で操作する回生ブレーキも特徴だ。
ネオクラシック:脱炭素を進めつつコッチもやる!
伊藤社長は、脱炭素だけでなくファンが待望するネオクラシック/ヘリテイジモデルにも言及。メグロやZ900RSのような、伝統を継承するモデルは今後も投入していくことを明言した。Z650RSの発表直後だっただけに、これはもう「Z-RSはさらにシリーズ展開します」と振られたも同然!
カワサキモータースの伊藤社長は「メグロやZ900RSに代表される点灯を継承するモデルを今後も投入」と明言した。
ビモータ:より深い協業を検討中。国内でも動きアリ?!
’19年に出資した伊ビモータとはより深い協業を模索中とのことで、テージH2の設計者・マルコーニ氏からのメッセージも公開された。日本国内での協業についても近日発表があるとのこと。プラザ店で買えるようになるか?
ビモータ S.p.a.最高執行責任者 ピエルルイジ・マルコーニ氏
※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
日本のSNSでは「Zの歴史を皆様に紹介」と穏便だったが…… カワサキは、「#Z50thCelebration」「#KawasakiZ」のハッシュタグを付けた動画『祝!Z生誕50年。』を各SNSなどで公[…]
やらないわけがない! Z1誕生50周年記念モデル カワサキは、「#Z50thCelebration」「#KawasakiZ」のハッシュタグを付けた動画『祝!Z生誕50年。』を各SNSで公開。これが我々[…]
国内外メーカーによる電動バイクの展示&試乗会、そしてトライアルなどのショーも 東京都は、CO2を排出環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現に向け、都内で新車販売される二輪車を2035年までに100[…]
国内の交換式バッテリー規格に進展! 国際標準はどうなる? 本田技研工業、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工業のバイク国内4メーカーによる「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム(以下、コンソーシアム)[…]
2系統の燃料ライン。他燃料との混焼も想定? 10月1日に川崎重工から分社化し「カワサキモータース」を名乗ることとなったカワサキの2輪車部門。そのメディア向け説明会の会場に展示されていたのがこのエンジン[…]
最新の記事
- 中古相場もわかる! カワサキ「ニンジャ400」歴代モデル図鑑【2020モデル:レーシングカラーKRT登場】
- PCXより(出足は)速い! ホンダ電動原付二種スクーター「CUV e:」入魂の完全新設計モデル〈開発者インタビュー〉
- 「カウル&セパハンの先駆け! 」2ストレーサーレプリカの代名詞:1983スズキRG250Γ(ガンマ)【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 「ヤマハRZ250に勝て! 」1982ホンダVT250F:打倒2ストを誓った4ストVツイン【あの素晴らしい名車をもう一度】
- 【2025年4月版】250ccバイク 国内メーカーおすすめ23選! 軽二輪は車検不要だけが魅力じゃない!
- 1
- 2