KTM傘下の各ブランドの’22年型エンデューロマシンが国内導入されるにあたり、JNCCチャンピオンである渡辺学選手が福島県モトスポーツランドしどきで各モデルを徹底ライド!! ウッズやマディの低速セクションから全開走行ができるハードパックやサンド路面まで、バリエーション豊富な試乗コースでたっぷりとマシンの性能をチェックした。前編ではKTM3台のインプレ+競技専用車両2台を紹介。後編ではハスクバーナモーターサイクルズ/ガスガス(GASGAS)のインプレをお伝えするゾ!!
●まとめ:ゴーライド編集部 ●写真:堤晋一 ●試乗&インプレッション:渡辺学 ●協力:モトスポーツランドしどき
ハスクバーナモーターサイクルズTE150i:しっとりした安定感で乗りやすい
エンジンはKTM150EXC TPIと同じ型式だが、マップセレクトスイッチ/カーボンコンポジット製リヤフレーム/リンク式リヤサスペンションなどを装備。
学選手「エンジンマップⅠはトルク感があってパワフルですが、吹け上がりが速く、中高速域ではシフトチェンジが多くなります。マップⅡは吹け上がりはマッタリですが、高回転まで伸びがあり、乗りやすいですね。前後サスペンションはストロークにしっとり感があって、マシン挙動もゆったり落ち着いています。
TE150iのマッタリした吹け上がりは粘り強いトルク特性ということでもあり、そこにしっとりした前後サスペンションが加わることで、振られにくい安定感のある乗り心地になっています。軽い車体を生かしつつ、粘り強いトルクで路面を確実にグリップしながら走破できるので、2ストビギナーも乗りやすさを感じられる1台です」
ハスクバーナモーターサイクルズFE250:トレールマシンのように乗りやすい
4スト車のFEシリーズには、マップセレクトスイッチに加えてトラクションコントロールも標準装備されている。
学選手「元々のエンジン特性もパワーよりもトルクの粘りを重視していますね。マップ1は各ギヤにトルクがしっかり付いてくる感じで、確実に前に進む感じが伝わってきます。マップ2はトルク感が薄いですが、高回転でより伸びる感じです。マシン挙動がギクシャクせず、スムーズな乗り味になります。トラクションコントロールは滑る路面で効きます。アクセルを開けても、クラッチで駆動力を間引いている感じで、余分なスリップを低減してくれます。
前後サスペンションは剛性感があって、初期は硬めですが、奥でよく動いてくれます。荷重をかけると車体が低い姿勢をキープしてくれるので、路面に食いつくようにコーナリングできます。シャープな挙動はないけれど、長く乗っても疲れにくい乗り味なので、パワフルなトレールマシンに乗っているようで、かなり乗りやすいですよ」
ハスクバーナモーターサイクルズTE250i:パワーと安定感で安心して攻めていける
このTE250iのサスには、WP製XPLOR PRO 7548スプリングフォークと、WP製XPLOR PRO 8950ショックアブソーバーが装着されている。
学選手「前後サスはしっとりストロークし、コーナリング中の姿勢はFE250と同じように低く、フラフラしたマシン挙動がありません。エンジンもしっとり回転上昇していきますが、低速トルクが粘り、中高回転ではパワーもしっかり出ているので全域で扱いやすいです。
マップⅠはレスポンスがよくパワフル。マップⅡは回転上昇を遅く感じ、マッタリした乗り味ですが、確実に前に進む感じもあります。荒れた路面やレース後半の疲れた時に助けてくれますね。2ストの軽さとパワー、4ストの低重心とグリップ力を併せ持った安定感があるので、どんな状況でも安心して攻めていけます。今回試乗した中でレースで使うとしたら、抜群の安心感でTE250iを選びます」
ガスガスEC250F:乗りやすいムラのないパワー特性
KTMグループとなり、基本コンポーネントが共有化されたガスガスのエンデューロモデル。一部素材が変更され、装備の簡略化などもあり、車体価格が抑えられている。
学選手「エンジンは驚くほどパワフルではないですが、低回転から高回転まで、アクセル操作に対してムラなくパワーが出てくるのがいいですね。ドッカンではなくリニアな感じで、瞬発的な速さというより扱いやすさに振っていると思いました。
前後サスは初期がしっかりしていますが、ブレーキングギャップの通過やジャンプの着地では衝撃を柔らかく吸収してくれます。前後とも、もう少し初期を柔らかくセッティングしたほうが多くのライダーが乗りやすさを感じると思いますが、これは初期設定のスピードレンジや想定体重の違いでしょうね。
パワーがドンと出ず、荷重しやすいサスペンションはリズムを取りやすく、車重の重さも感じません。全体的なまとまりがよく、オフロードライディングが楽しいフルサイズマシンですね」
ガスガスEC250:エンジン特性でトラクションする
2ストエンデューロECシリーズは、この250と300がラインナップ。今回試乗した250のフロントサスペンションは、軽量化を狙ったWP製XPLOR PRO 7488エアスプリングフォーク。リヤサスも軽量なWP製XPLOR PRO 8950ショックアブソーバーが装着されている。
学選手「フロントのエアサスペンションは軽さがありますが、初期は少し突っ張る感じがありました(試乗時の空気圧が高めだったのが原因)。ただ、ストロークはスムーズで、軽さは軽快なハンドリングにも貢献しています。エンジンは低中速トルクが太く、それでいて1速は吹け上がりも軽いです。
アクセルを開けなくてもエンストしない粘りがあり、デロデロと走っていけます。2~3速はパワー感が出てきますが、トルクもしっかり出ていて、リヤタイヤは確実に路面をグリップします。低中回転域でのトラクション性がいいですね。
3ブランドの各モデルを試乗して感じたのは、KTMはシャープでレース向け、ハスクバーナモーターサイクルズは扱いやすさを重視、ガスガスは中庸だけど乗りやすい、ですね」
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