ひと昔前に比べれば絶対視されなくなったとはいえ、”速さ”がバイクのパフォーマンスを示す重要な指標であることに変わりはない。そこでヤングマシンが長年に渡って取り続けている実測走行データを総ざらい。本記事では停止状態から400mまでの加速タイムを競う”ゼロヨン”の歴代ランキングをお届けする。
●まとめ:ヤングマシン編集部(沼尾宏明)
※当記事に掲載されている各テストは、路面状況/気温/ライダーなどが異なり、厳密な同一条件ではありません。すべて参考数値とお考えください。また、『ヤングマシン』本誌以外の計測データが一部含まれています。ご了承ください。
- 1 トルクもパワーも必要。ゼロヨン=使える”速さ”の勝負
- 2 第1位〈9.907秒〉カワサキ ニンジャZX-14R[’13]:打倒ハヤブサのために磨き上げた弾丸超特急が、唯一の10秒切り!
- 3 第2位〈10.017秒〉スズキ ハヤブサ[’21]:9秒台目前! 9ps減でも新型の方が速い。現役最強は譲らない!
- 4 第3位〈10.052秒〉スズキ ハヤブサ[’13]:旧型も今だ超速。13年前デビューながら実力は一線級
- 5 第4位〈10.088秒〉ホンダCBR1000RR-R[’20]:怒濤のパワーが途切れない
- 6 0→400m加速タイム トップ20:直4カウル付きが大挙ランクイン。中にはネイキッドも
- 7 番外編:気になる面々をピックアップ
- 8 参考:”速い”は絶対的真理なり
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トルクもパワーも必要。ゼロヨン=使える”速さ”の勝負
バイクの加速性能を知るメジャーな手法が”ゼロヨン”だ。最高速とは異なり、普段の走りでも感じられる”速さ”に直結しており、ひと頃はカタログにもタイムが記載されていた。また、この距離で行われるドラッグレースも多く、米国を中心に人気を博している。
クルマの世界では1000万円超の高級スポーツカーで11秒台だが、バイクなら10〜11秒台がズラリ。しかも100万円台から買えるのだから、コスパを考えれば圧倒的に優秀だ。
さて、歴代の『ヤングマシン』誌実測記録では、驚異の10秒切りを果たしたカワサキ ニンジャZX‐14Rが1番時計を叩き出した。各車はすべてノーマルながら、気温や路面状態など同一条件ではないため、あくまで参考数値として捉えてほしいのだが、9秒台は圧巻。頭ひとつ抜けた加速力だ。ゼロヨンは、トルクの太さや車重の軽さが重要ながら、400m地点では250km/hに迫り、最高速も求められる。ZX-14Rの10秒切りは、これらをバランスよく備えた賜物だろう。
2位は、’21年4月に登場したばかりのスズキ新型ハヤブサ。1位とは0.11秒差に過ぎず、あとわずかで9秒台が見えてくる。新型は3位の先代ハヤブサを上回っており、ダッシュ力が確実に進化していることを証明した。
これらに僅差で続くのは、ホンダとヤマハによる自慢の旗艦スーパースポーツ(SS)。大排気量のトルクでタイムを稼ぐZX-14Rとハヤブサに対し、1000ccの中高回転パワーで勝負している。以降の順位についてもジックリ見比べてほしい。
第1位〈9.907秒〉カワサキ ニンジャZX-14R[’13]:打倒ハヤブサのために磨き上げた弾丸超特急が、唯一の10秒切り!
旗艦ZZR1400の後継機として、’12年にデビューしたメガスポーツ・ZX-14Rが歴代唯一の9秒台でゴール。カワサキの旗艦は、長年ゼロヨンでハヤブサの後塵を拝してきたが、当時トップ級の200ps+16.6kg-mで打倒ハヤブサに見事成功した。’20年型を最後に日欧では生産終了したが、新型登場の噂も根強い。
第2位〈10.017秒〉スズキ ハヤブサ[’21]:9秒台目前! 9ps減でも新型の方が速い。現役最強は譲らない!
’21年に復活を遂げた現行の3代目ハヤブサが銀メダルを獲得。体感では先代より明らかに中間パワーが増強されており、最新の電脳アシストやクイックシフターも記録に貢献したようだ。記録はAモードだったが、さらに設定を煮詰めれば9秒台もイケそう!
第3位〈10.052秒〉スズキ ハヤブサ[’13]:旧型も今だ超速。13年前デビューながら実力は一線級
ZX-14Rの登場までゼロヨン無双を誇った2世代目ハヤブサが3位を獲得した。デビューは’08年で、日欧では’18年型で生産終了。最新モデルのような電脳デバイスもないのに、並み居る強敵を退けてこの順位なのだから驚異的。10秒を切っても不思議ではない。
第4位〈10.088秒〉ホンダCBR1000RR-R[’20]:怒濤のパワーが途切れない
4位は、’20年に投入されたホンダの入魂作・CBR1000RR-R。直4SS最強の217psを誇り、シフトアップでも加速の落ち込みが少ないのが特徴だ。測定は冬のJARI(’20年4月号)で、路面温度が高ければもっと記録が伸びそう。
第5位〈10.166秒〉ヤマハYZF-R1M[’17]:8耐4連覇の実力
低回転からフラットに伸び上がり、200psを発生する唯一無二のクロスプレーン直4がタイムに直結。会場はウエットのJARI(’17年11月号)で、この記録は立派だ。なお、5年ぶりにマイナーチェンジした’20モデルは未測定。
0→400m加速タイム トップ20:直4カウル付きが大挙ランクイン。中にはネイキッドも
200ps級が居並び、空力で有利な直4フルカウル勢が上位を独占。カウルを持たないVMAXが14位、ロケットIIIが20位と健闘した。ともに問答無用の大トルクで押し切った成果だろう。3気筒ではMT-09が最高位だ。
番外編:気になる面々をピックアップ
〈10.426秒〉カワサキ ニンジャH2R[’15]:十分速いが真価はまだまだ
〈11.198秒〉ミライ 韋駄天ゼロ[’15]:電動バイクも侮れない!
〈13.009秒〉ホンダNSR250R[’93]:やっぱり2ストは速い!
〈14.253秒〉カワサキ ニンジャZX-25R[’21]:4気筒パワー炸裂! 現行250最強だ
参考:”速い”は絶対的真理なり
4輪で史上最速は3.58秒:ロケットでブッ飛べ!
世界最大のドラッグレース団体=NHRA(全米ホットロッド協会)における公認の史上最速タイムが3.623秒。ただし’09年から事故防止のため、計測距離が1000ft(304.8m)に短縮されていた。さらに調べると、非公式ながらロケットエンジンの4輪が、’84年に英国でゼロヨン3.58秒を記録している。
バイクの世界最速は5.507秒:やっぱりニトロ!
ギネス世界記録でバイクのゼロヨン最速は、ピーター・スヴェンソンによる5.709秒(’12年8月)。その後まだ認定されていないが、’19年11月にラリー・マクブライドが5.507秒で記録を更新している。ともにニトロを使用したトップフューエルマシンで、1000馬力超だ。
自然吸気の最速は6.720秒:心臓はハーレー製
自然吸気(NA)マシンで争うNHRAのプロストッククラスでは、ゼロヨン6.720秒がギネス世界記録。当時のマシンは、専用フレームにハーレーFXDRベースの2621ccVツインを積み、400ps&24.4kg-mオーバーを誇る。このクラスではハヤブサエンジンも活躍中だ。
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