
旧車や絶版車の外装に欠かせないクロームメッキパーツを輝かせるアイテムとして威力を発揮するのが、重曹を研磨剤として吹き付け汚れや錆を除去する「EZブラスト」だ。サンドブラストとウェットブラストの2パターンで使えるのが特長で、水道水を併用してウェットブラスト化した時の能力が、クロームメッキをはじめ各種パーツのクリーニングにちょうど良いのだ。
●取材協力:EZブラストジャパン
マジックパウダーのクリーニング力がスゴい!!
素材の上にニッケル/クロームの順で電気的に金属皮膜をつけるクロームメッキは、目に見えないほどの穴が無数に存在し、そこから侵入した水分によってサビが発生する。
物理的にこすれば、サビは落ちるが傷が残る。アルミナやガラスビーズを用いたドライブラストやウェットブラストでも同様だ。重曹はそれらのメディアに比べて柔らかく、相手を傷つけない。ステンレス製のシンクをクレンザーで擦ると汚れは取れるが細かな傷も入るのに対して、重曹なら汚れは落ちるが傷つけるほどの硬さがないのと同じ理屈である。
「EZブラスト」は水を緩衝材としながら高圧の空気で重曹を噴射するのだから、汚れ落としに適しているのは当然といえば当然だ。汚れ/くすみ/サビが発生したクロームメッキを擦ることなくクリーニングできるほか、カーボンやスラッジで汚れたエンジン内部もマスキングなしで洗浄できる。
磨きにもいろいろなパターンと手法があるが、メッキの汚れやカーボン除去に関して言えば、EZブラストのパフォーマンスはトップクラスといっても過言でないだろう。
【EZブラスト EZ WETスタートセット】●セット内容:EZ40-SX本体 WET/DRY切替ノズル 0.2mm粒径メディア(10kg) ●価格:6万1380円
EZブラストをウェットで使用するには水道ホースから水を供給するが、この水はタンクには入らずノズル部分で混合される。タンク内には乾燥したマジックパウダーだけが入っているが、空気中の湿気や圧縮空気内の水分で固まる場合もある。EZブラストジャパンの技術スタッフによれば「使い勝手がイマイチと感じる時はタンク内のパウダーの状態を確認してみてほしい」とのこと。
EZブラストはクロームメッキの汚れやサビ取りに最適。重曹メディアの硬さが水道水とミックスされた状態でちょうど良い効果を発揮するのだ。連続的に噴射するには三相200Vで3馬力以上のコンプレッサーが推奨されているが、休みながら使うのであれば一部の100V-3馬力仕様でも対応できるというのがEZブラストジャパンの見解。
クロームメッキのサビはメッキ表面ではなく下地に発生することも多いが、重曹メディアが表面のサビを叩き落とせば美しいクロームが現れる。ただしサビの範囲が広く深い場合は、下地のサビが露出したりメッキ皮膜がごっそり剥がれることもある。このような場合はEZブラストのクリーニング範囲を超えているので再めっきなどの対応が必要だ。
エンジンのカーボン汚れやオイル汚れにも
エンジンのカーボン汚れやオイル汚れを落とす場合、泡タイプのクリーナーや塗装剥離剤をブラシでこすると、燃焼室にひっかき傷が残るのが当たり前だった。EZブラストなら短時間で隅々までクリーニングでき、傷も残らずバルブシートやバルブガイドにもダメージを与えない。オーバーホールやチューニングの事前準備に最適だ。
燃焼室のカーボン除去はもちろん、ガスケット除去にも効果がある。シリンダーフィンやクランクケース外側の汚れも落ちるが、塗装を勢いよく剥離するほど研削力が必要なら、アルミナメディアのサンドブラストの方が適している。
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