愛車への愛着度アップ! [ゴーライド]

超初心者でも自分でできる簡単バイクメンテナンス【その1:メンテを始める前にまずは洗車から|セロー250】


●文:ゴーライド編集部(小泉裕子) ●写真:舟橋賢 ●取材協力:YSP川口

そろそろツーリングが気持ちいい季節。しばらく動かしていなかった愛車のカバーを外す人も増える頃だろう。そんな愛車で颯爽と走る楽しさに加え、ちょっとしたメンテナンスを自分の手でできれば、愛車への愛着度がさらに増して、過ごす時間も密に愛あるものへと昇華するハズ! 今回はオフロードマシン総合誌『ゴー・ライド』より、超・初心者でもできる簡単メンテナンスを、ヤマハ セロー250をモデルにじっくりと紹介する。第1回目はメンテナンスを始める前に覚えておきたい超基本や心得を伝授するゾ! (これからメンテナンスを始める人や超初心者に向けた内容なので、経験者の皆様は暖かく見守ってあげてください♪)

YSP川口|超初心者でも自分でできる簡単バイクメンテナンス
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【取材協力&レクチャー:YSP川口】「YSP川口」はヤマハバイク専門ディーラーであり、人気モデルから最新モデルをズラリと店内に展示するほか、試乗車も多数用意。修理/車検/点検はもちろん、カスタムも含むさまざまなサービスに定評のある頼れるショップだ。また、オフロードコーナーが常設され、オフロードファン必見の林道走行にスポットを当てたカスタム車「セロー250 YSP川口オリジナル林道コンプリート」も取り扱うなど、オフロードモデルにも強い。●住所:埼玉県川口市朝日1-1-30 ●営業時間:10時〜19時半 ●定休日:月曜 第2/4火曜 特別定休日

実際にメンテナンスに挑戦する前に

“自分で愛車をメンテナンス”と聞くと、難しそうだったり下手したら壊してしまいそうというイメージや、手は汚れる&なんだか面倒くさそう、そもそもメンテナンスできそうな広い場所もないし…などなど、ショップ等のプロに任せてしまえば十分だと思う人は意外に多いように思う。

もちろんメンテナンスをその道のプロにお願いするのは、自分では気づかないマシンの小さな問題も見逃すことなく発見できるし、メンテナンスにかかる時間をマシンを走らせて遊べる時間に使えるなど、正しい判断であると言える。

だが、洗車や消耗しやすいパーツのチェック、ちょっとした注油や調整などを少しでも自分の手でできるようになっておけば、大切な愛車の状態の変化にいち早く気付けるようになり、より一層愛車への愛着も増すことになるだろう。

この簡単メンテナンスでは、メンテナンス初心者であったり、これからメンテナンスを始めようとしている人や、メンテナンスに興味はあるけどちょっと…という人たちでもできそうな超簡単メンテナンスやちょっとしたコツを、”本当に分かりやすく”紹介したい。

なぜならば、”初心者向け”を謳うメンテナンス本をはりきって読んだものの、終始”分かっている前提”で進んでいき、肝心のメンテナンスポイントに至るまでの工程が省かれていたことでやる気を失ってしまった…という声をよく聞くからだ。

メンテナンス初心者・5つの心得

知っているのと知らないのとでは、失敗やケガの確率が大きく変わってくる。また、知っているつもりや当たり前だと思っていたことが実は違ったということもあるので、しっかりと読んでほしい。

[その1] 工具は押すチカラ8割+回すチカラ2割で使うようにしよう

耳にしたことがあると思うメンテナンスにおける「ネジ穴がナメちゃったよ」という言葉。”ナメる”とは、ネジやボルトの頭を工具でつぶしてしまうことで、これはまさにこの回す力と押す力の加減の間違いによるものが大きい。押す力が弱いと、工具が滑ってしまうからだ。なお、ネジ穴やボルトに合った工具を使わなかったり、ネジが固着していた場合などにも発生する。

[その2] ネジやボルトはナット側を回そう

ボルト側で回すとねじれが生じたり…などなどいろいろあるが、難しいことは考えずに”ボルトを固定しナットを回して締めたり緩めたりする”と覚えておけば問題なし! しっかりとナットの形状を覚えて、こちらを回す、と心に留めておこう。

[その3] ボルトやネジをつける際は、最初に手で締めてから工具でキッチリ仕上げよう

最初から工具を使ってしまうと、気づけば加減が分からずにキツ〜く締めてしまう危険がある。ある程度のところまで手締めをして、最後に工具でトルクをかけよう(ナットが動かなくなってから、工具を使ってグッと1回転程度)。

[その4] 外した部品やボルトは1カ所にまとめてなくさないようにする

メンテナンス初心者でなくても気をつけたいのが、外した部品の紛失だ。「いま外したばかりだから覚えているし大丈夫」は絶対に禁物。足で蹴ってしまうことあるし、初心者なら部品を失くしてしまったことすら気づかない危険性もある。なので、外した部品は常に1カ所にまとめて置いておこう。また、外す前にスマホのカメラなどでどこにどの部品が使われていたかなど撮影しておけば、さらに安心だ。

[その5] 分からなくなったらショップに持ち込もう

正直、コレが一番大切な心得。分からなくなったらプロに助けを求める! そのためのショップでもあるのだ。実際、そういった相談や持ち込みも少なくないという。自分でできる範囲のメンテナンスをまずは楽しみ、もっとやってみたいと思うのなら、少しずつスキルアップしていけばいいのだ。最初は誰でも初心者。わからないことは無理をしたり恥ずかしがらずにプロに聞こう。

洗車もマシンの状態を知るための大事なメンテナンス

「洗車って洗えばいいだけでしょ?」と思うかもしれない。だが、汚れを取り除くことで見えてくる不具合や、防げるトラブルもあるのだ。洗車はメンテナンスの初めの一歩であり、基本とも言える。

また、洗車は洗車場や広い場所がないと迷惑をかけてしまう…など心配もあるだろう。ここでは広い場所がなくても手軽に時短でできる洗車法を紹介する。

一般的な散水ホースと洗剤だけでOK

洗車と聞くと、洗車場やガソリンスタンドなどにある異常に高い水圧を使ったもの、と思うだろう。だが、実はマシンにとってそれは逆効果だったりもする。マシン寿命を考えずに使用するオフロードモトクロッサーなどを洗うノリで高圧洗浄するのは、市販車ではNGと覚えておこう。

水やりに使うような一般的な散水ホース/ウエス/バケツなど。バイク用シャンプーがあればいいが、なければ家庭用の中性洗剤などでも全然OKだ。

洗車時に気をつけておきたい6つのポイント

  1. 洗う前に車体を触れるくらいに冷やしておく
    車体が熱いと、洗った先からまだらに蒸発し水アカの原因に
  2. スポンジを使う時は、ボディ用と足まわり用を分けて使う
    足まわりには油汚れが付着している。ボディに汚れを移さないように
  3. 洗う順番は、足まわり→エンジン→外装と汚れの強い下から順番に
    汚れの強い足まわりを最後にすると、汚れが散って結局また洗い直す羽目に
  4. 水の役割は、水圧で泥や汚れを落とすのではなく、水分で汚れをふやかすこと
    やさしく水を当てるだけで、汚れは水分を吸ってふやける
  5. シャンプーなどケミカルを使う時は、水分で汚れをふやかしてから
    水で濡らさず直接シャンプーをしても、ムダに量を使ってしまうだけ
  6. 高圧洗浄は市販車ではNG
    必要以上の高圧の水は単にマシンが傷むだけ

いよいよメンテの第一歩、洗車をする!

バイクはクルマと違っていろいろと剥き出しの部分が多い。いや、むしろほぼ剥き出しだ。もちろんなるべく水を当てない方がいい部分もある。そこでポイント別に注意点を上げながら洗車を進めよう。

カギを差したままだと、カギ穴に水分がしみ込み動きが渋くなる可能性が。あらかじめカギは抜いておこう。

電装系は当然のことながら直接水を当てないように。どこか分からなければ、電気が通っていそうな配線や、ビニールのキャップを被って見える線のつなぎ目などには水を当てない、と意識しておけば大丈夫だ。

シガーソケットやUSBなどについているカバー(ブーツ)は、しっかりはめておく。ここがしっかりはまっていないと、接続部が気づかないうちにサビたりする原因になる。

マフラーの穴には水が入らないように気をつけよう。特に社外品マフラーを装着している場合は本当に注意。

フォークブーツは下部に水が抜ける穴があるので、ざっと水で汚れを洗い流してもサビにくく安心だ。

スキットプレート(アンダーガード)は汚れを溜め込んでしまうので、洗車の際は外しておいた方がいい。

ステムベアリング(左)やサスペンションのリンク部分(右)など、シーリングされた部分は水を強く当てないこと。水が入ってグリスが流れ出し、サビを引き起こすことがあるので注意。イメージとしては、滑らかに動かないと困るから潤滑されているような場所と覚えておこう。

たかが洗車、されど洗車

ここまでで、洗車の大切さとともに洗車も立派なメンテナンスだということを分かってもらえたことと思う。ピカピカのツヤツヤにすることももちろん素敵な洗車ではあるのだが、しっかりと洗車を通して愛車のコンディションやどこかネジが緩んでいないか、違和感を感じる場所はないか、などにも気を配ってみよう。

ちなみに、洗い終わった車体は、タオル1枚ではカラっと拭き上げられないくらい濡れている。また、見えているところ以外にも水がたっぷり溜まっていたりするのだ。そこで、5分くらいマシンを走らせて、水を軽く飛ばしてから拭き上げると効率がいい。

次回は、クラッチやペダルなど操作系の簡単メンテナンスを紹介する。


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