’17年、イギリスに技術センターを設けるなど、ブランドの原点回帰に邁進するインドのロイヤルエンフィールド。空冷方式ながら最新の排ガス規制ユーロ5をクリアしたベーシックなネオクラシックモデル「INT650」をチェック。W800やストリートツインほどモダンになりすぎず、それでいて現代の交通事情に十分以上のマッチングを見せる。ネオクラシックブームに対するロイヤルエンフィールドの回答がコレだ!
コンテンツカテゴリー:試乗インプレッション
[◯] 素直なハンドリングと扱いやすいブレーキ
’20年5月に日本での正規輸入総代理店がピーシーアイへ移行、同年秋より再び本格的な販売がスタートしたロイヤルエンフィールド。今回試乗したINT650は、生産拠点をインドに移してから初となる並列2気筒モデルで、セパハンやバックステップを採用した兄弟モデルのコンチネンタルGT650を以前に試乗している。INT650はセミアップハンドルやティアドロップタンクを持つベーシックなスタイルが特徴で、ライバルとなりそうなのは、排気量がやや上になるが、カワサキのW800シリーズやトライアンフのストリートツインだろう。
目立たないようオイルクーラーを巧みに隠した648ccの空冷パラツインは、同じ2気筒のホンダ・レブル500とほぼ同等の47.7psを公称する。270度位相クランクと1次偶力バランサーが組み合わされたことで、吹け上がりは非常にスムーズであり、しかも体に伝わる微振動が驚くほど少ない。3000~4000rpm付近での脈動感が実に心地良く、耳障りなメカノイズはほぼ皆無。そして、スロットルを大きく開ければ、5000rpmから上でスペックから受ける印象以上の力強さを見せる。さらに、スリッパークラッチを採用しているためレバーの操作力は非常に軽く、見た目とは裏腹に中身は間違いなく現代的だ。
ハンドリングもいい。兄弟モデルのコンチネンタルGT650は、腰を引いた”後ろ乗り”を意識した方が気持ち良く向きを変えたが、このINT650はどんな乗り方でも実にニュートラルで、なおかつピッチングを使うとより高い旋回力が引き出せる。ホイールトラベル量はフロント110mm/リヤ88mmと決して長くはないが、しなやかなフレームとワイヤースポークホイールらが相まって、走りでもクラシックバイクらしさをうまく演出しているのだ。
そして、この良質な走りを支えているのがバイブレ製のキャリパーを採用したブレーキセットだ。フロントはシングルだが絶対制動力に不足はなく、さらにコントロール性も優秀。ABSの作動も不満なしだ。
【ハンドルやステップが異なるカフェ仕様も】’19年9月号で試乗したコンチネンタルGT650は、INT650の言わばカフェレーサー版。セパレートハンドルやバックステップ、専用のタンク&シートなどを採用しているのが特徴で、こちらはセンタースタンドを装着していない。
昨秋のミラノショーで発表されたロイヤルエンフィールドの新型2気筒モデル・コンチネンタルGT650。同じアイシャーモータースの傘下にあるイギリスの伝説的ビルダー、ハリスパフォーマンスがダブルクレードルフ[…]
[△] 左ステップの位置が少し気になった程度
コンチネンタルGT650にはなかった問題が発生。それはステップ位置だ。クランクケースとの干渉を避けるためにフレームから離れ気味で、特に左側は内くるぶしやカカトで車体をホールドできない。とはいえ、気になったのはその程度だ。
[こんな人におすすめ] SR400ではパワー的に……、という方にぜひ
W800やストリートツインほどモダンになりすぎず、それでいて現代の交通事情に十分以上のマッチングを見せる。ネオクラブームに対するロイヤルエンフィールド社の回答がこれだ。SR400からのステップアップにも最適だ。
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