東海岸発・太陽を追いかけながらから日本海へ

SSTR2020:ハーレーを駆って日本列島縦断!目指すは千里浜なぎさドライブウェイ

千里浜の夕日と2台のハーレー

“Chasing the Sun(太陽を追いかけろ)”をテーマに掲げた壮大なスケールのツーリングラリー「SSTR2020」に、ウィズハーレー編集部はロードグライドリミテッドとファットボブ114を駆って参加。首都圏から石川県羽咋市の千里浜なぎさドライブウェイへ片道500km 、往復で1000km余り。ドライブレコーダーで走行の想い出を記録しながら、2日間で一気に走った。

東海岸から千里浜なぎさドライブウェイを目指す

砂浜の上を海を見ながらハーレーで走っているなんて信じられない。仲間たちと来てよかった。大袈裟かもしれないけれど、一生の想い出にきっとなる。

千里浜なぎさドライブウェイ。全長約8kmに及ぶ絶景ロードで、国内で唯一、波打ち際をクルマやバイクで走ることが可能。砂の粒子が非常に細かく、適度に湿って締め固まっているから、重量級のツーリングモデルも問題なく走れる。西日を浴びながら、打ち寄せる波のすぐ横をボクたちは夢中で駆け抜けた。

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訪れるのは初めてではないけれど、今回は格別の感動がある。朝、太平洋岸で海からのぼる朝日を見て、そして日本海側の海に沈む夕陽に間に合うよう、列島を縦断してきた。「SSTR(サンライズ サンセット ツーリング ラリー)2020」にエントリーしたのだ。

SSTRは、世界的なオートバイ冒険家・風間深志氏が発案した独創的なツーリングイベント。基本ルールは、日の出とともに参加者自身で定めた日本列島の東海岸からスタートし、日没までに日本海の千里浜にゴールするという単純明快なもの。

優劣をつけるものではなく、それぞれのライダーが自身の旅のテーマに沿い、無事にゴールゲートを通過し、全国から集ったライダー同士で交流を深めることを主な目的とした自己完結型のラリー、いや自作自演のドラマと言えるかもしれない。

風間氏は’80年にキリマンジャロをバイクで登り、’82年にパリ・ダカールラリーに日本人ライダーとして初出場。オートバイによるエベレスト6005m到達(ギネス世界記録)、北極点(’87年)、南極点(’92年)到達など、数え切れないほどの偉業を成し遂げた日本が誇るバイク冒険家。テレビや新聞でもお馴染みだ。

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言わずと知れたオートバイ冒険家・風間深志さん。「パリダカの感動体験を日本のライダーたちにも」と発案したSSTRが人気過熱。

SSTRは2013年に130台の参加台数でスタートし、年々ヒートアップ。今年も5000台の募集定員があっという間に埋まる人気ぶりだった。

新型コロナウイルスの影響で5月23日(土)の開催を延期し、さらに実施日を固定せず、’20年10月1日〜’21年3月31日までの期間(10月24日を除く)に各々が走行する「My SSTR」にルール変更となった。風間氏はこう話す。

「パリダカのゴールであるダカールの海岸をヴィクトリーランした感動が忘れられない。あの素晴らしい体験を日本のライダーにも味わってもらいたいと、このラリーイベントを思いついた」

「自然を相手に冒険するときは、いつも太陽だけが頼り。スマホばかりを見て、空を見上げることが少なくなった現代。参加するライダーのみなさんには、ぜひ太陽がどの位置にあるか一日中感じながら走ってもらいたい」

ロードグライドリミテッドを筆者(ウィズハーレー編集長・青木タカオ)が運転し、リヤシートには磯部カメラマン。ファットボブ114に乗る友人・タクちゃんも一緒だ。

まだ暗いうちから3人は大黒埠頭に集まり、のぼる太陽を見た。そして風間さんが言うように、僕たちは太陽の位置を見ながらひたすら日本海を目指した。

首都高を経由し、中央自動車道を西へ。ロードグライドリミテッドのクルージング力には脱帽で、タンデムでも疲れ知らずで淡々と距離が稼げる。後部シートも快適そのものだと、70年代から世界選手権グランプリを回った巨匠カメラマンは意気揚々とシャターを押し続ける。

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筆者の記憶だと、磯部氏と初めてふたりだけで取材に出かけたのは、米フロリダのデイトナバイクウィーク。先に磯部氏が現地入りし、駆け出しだった頃の筆者が後追い。深夜のオーランド空港で何時間も待ったことを今でも覚えている。携帯電話など海外で手軽に使えない時代、誰もいないロビーで、ただただ待ち続けた…。

磯部氏は70歳を過ぎてもなお元気。筆者のリヤシートでどれだけの距離をこれまで走ってきたことか。アメリカでは、肉料理ばかりで食欲を落とすボクとは対照的に、1ポンドのステーキを軽く平らげる。今回も2日間、誰よりも食欲旺盛、元気溌剌とはこういうことを言うのだろう。

安房トンネルを経て信濃から飛騨へ抜ける。数年前、気の遠くなるクネクネ道が続く安房峠の旧道を走った時も磯部氏がリヤシートに乗っていたから、「トンネルだとすぐだね」なんて短い会話を交わす。ふたりとも情緒あふれる旧道をまた走りたいと、心の底では思っていたりするから面白い。

深まりゆく秋、そして冬の訪れを感じつつ、北陸へと着実に進んでいく。のと里山海道へ出ると、ついに左手に日本海が見え、感激もひとしお。サンセットを逃してはならないと、休憩もほとんど取らず急ぎ足でやってきた。

しかし、実はこれではいけない。SSTR参加者には、ゴールの千里浜レストハウスまでに高速道路のSA/PAや指定された道の駅に1ヶ所以上立ち寄って、合計10ポイントをためるというミッションが課せられ、それをクリアしなければ”完走”扱いとはならないのだ。

簡単そうだが、そこはエベレストもバイクで登ってしまう風間さんが考えることだけあって、かなりハードに設定されている。特に日が沈むのが早い季節、首都圏からの参加で完走するのはかなり難しい。太陽を追いかけ、千里浜で夕陽をただ眺めたいボクたちは完走を早々に諦め、ミッションを無視して走った。

当然ながら完走ではないけれど、ボクたちは千里浜をヴィクトリーランの気分で駆け抜けた。とても気分がいい!

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磯部氏と訪ねたデイトナビーチもクルマやバイクで走行することができ、インターナショナル・スピードウェイが1959年に完成するまでは砂浜でレースが行われていた。そんなことを考えていると、翌日の寄り道先が決まった。

千里浜なぎさドライブウェイを会場に、ヴィンテージバイクのレース「CHIRIHAMA SAND-FLATS」をこれまで7回開催しているウィリーズ(石川県金沢市)へ行くことに。同行した友人・タクちゃんもバイクのことなら何でも興味があり、どんなジャンルでも信じられないほどに造詣が深い。サンドタイヤを履いたレーサーを見せてもらい、帰路へ着くことにしよう。

千里浜レストハウスにはゴールゲートが設置され、みんなで記念写真。駐車場には平日でもたくさんのバイク乗りがいて、自然と会話が弾む。スーパーカブで完走する強者もいるからスゴイとしか言いようがない。休日ならもっと大盛況で、浜辺で写真を撮るのも難しいほど混雑するらしい。

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ゴール後の宿泊は、開湯1200年の名湯・和倉温泉で少し上等な旅館に。能登の厳選された山海の幸を堪能し、温泉に浸かると畳の上でゴロンと横になった。道中のすべてはドライブレコーダーで記録したから、パソコンで走行シーンを見ようと決めていたが、旨い酒を飲んで語らっているうちにすっかり忘れてしまった。

それはまた集まったときの楽しみにすればいい。来年もぜひSSTRに参加し、千里浜の夕陽を見よう。完走を目指すに越したことはないが、今回のようにまたリタイヤも悪くない。

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〈次のページは…〉SSTR旅の想い出/スペシャルサンクス

※この記事はハーレーダビッドソン専門誌『ウィズハーレー』に掲載したものを加筆修正したものです。最新の雑誌は書店もしくは下記サイトにてお買い求めください。

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