縦置き直列4気筒・BMW K100RSをメンテナンス
創業当初の’20年代から、フラットツインのエンジンを搭載したシャフトドライブ駆動のバイクを開発し続けてきたBMW。ハーレーダビッドソンに似たVツインエンジンは数多く登場しているが、フラットツインはBMWだけのメカニズムである。
そのBMWが1983年に送り出したのが直列4気筒のK100だった。日本のメーカーが量産化した4気筒エンジンは80年代初頭には珍しくなかったが、BMWはクランクシャフトを進行方向と同じ縦置きとして、なおかつシリンダーを90度寝かせてレイアウト。なぜ他人と違うことを、といってもBMWにとって合理的だったのだから仕方ない。ちなみに現在ではBMWの直列4気筒は横置きで搭載されているが。
見た目こそ個性的だが、’90年式K100RSの車体に使われているボルトナットはミリ規格で、現行BMWのようなトルクスボルトオンパレードでもなく、日常的なメンテナンスは日本製バイクと同じ工具で実践できる。
ただ、各部パーツの収まりにはタイトな部分があるので、スリムでコンパクトな6.3sq.のソケットレンチが重宝する。この年代になるとプラスビスは少なく六角頭のボルトかキャップボルトが主流で、精度の高いKTCネプロスのソケットやビットを使えば快適に作業できる。
4バルブのK100は第2世代にあたるが、それでも今年で30年となる。今でも通用する走りを維持するには、日常的なメンテナンスが不可欠であることは言うまでもない。
ボルト固定のタンクカバーを外してリアブレーキのフルード量を確認〈ヘキサゴンビットソケット&ラチェットハンドル〉
KシリーズにABSが装着されたのは’90年モデルからで、車体左右のステップ上部に大きなABSモジュールが付く。リアブレーキのリザーブタンクは車体右側のサイドカバー内側にあり、ガソリンタンクにボルト固定されたニーグリップラバー一体式のようなカバーを外して確認する。日本製のバイクではまず見ることができないパーツ構成である。
手になじみバランスが良いから早回しで使いたくなる〈ドライバー型&T形ハンドル〉
オイルパンはクランクシャフトの下ではなくシリンダーの下部にあり、アンダーカウルと外すとオイル点検窓が確認しやすい。バッテリーのアース線は丸端子でフレームに接しているので、ボルトを外して酸化の有無を確認する。
シリンダーヘッドカバーは車体左側にあって、真上から真下に向かってインレットポートがあり、エキゾーストパイプはエンジンの真下に向かっている。T形レンチでプラグカバーを外すと、吸排気カムの間にプラグがある。
エキゾーストパイプへのストレスを避けて均等に増し締めを行う〈エクステンションバー〉
K100RSのマフラーはエキゾーストパイプからテールまで一体式。無理な取り付けや転倒が原因で、エキゾーストパイプとサイレンサーの溶接部が割れることがある。脱着時はボルトを均等に回すことが重要だ。
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